第24話 大魔王の策略
自分はフェイトに教えた。こうなった経緯を。
すると……
『ぬ、う、ぅ、うわああああああああああああああああああああああああああん!』
フェイトは発狂したように声を上げた。
『何という、お、おのれぇ! 勇者め、シャイニ、アネスト、ラブリィ、ディヴィアス、キルル……殺す、必ずコロシテヤル。大魔王様に何という非道なことを!』
『うむ……落ち着け……』
『大魔王様に惚れるというのは分かります! 大魔王様は天地魔界含めて頂点に立つ御方です! し、しかし、その大魔王様の、ぼ、僕でも見たことのない素顔を見ただけでなく、ギ、ギアスのあの宝玉を使って……監禁して、性的凌辱……許せるはずがありません! 今すぐに全軍率いてその地に行きます!』
『待て、気持ちはありがたいが、状況はそう簡単な話ではない』
自分としてはあやつにすぐに迎えに来てもらいたいところだが、実際はそんな簡単なことではないのだ。
『まず、あやつらは常に大陸中に感知網を広げている。魔王軍の、ましてやそなたらほどの強者であればすぐに感知される』
『構いません! 感知されようとも、正面から―――』
『五人が力を合わせれば、大魔王たる自分をも倒す者たちだぞ?』
『うっ……そ……それは……』
そう、あやつらに気づかれずに魔王軍の兵たちが自分を救出することはほぼ不可能。
時空間魔法でもアネストとキルルに気づかれる。
『仮に、更なる大規模な戦力を投入しようとしても、そのときは身軽な五人。この地をアッサリ捨てて、自分を連れてまた違う地へと移り住むだけ』
『そ、そんな……』
『自分も角を定期的にへし折られてギアスが埋め込まれている以上、抗うこともできん。つまり、何も考えずに来ても、返り討ちに合うだけだ』
『で、では、どうすれば……』
構わず力づくに奪還しようにも、もはや五人の力を打倒できる力は流石にフェイトにも、軍の残存兵にも不可能という事実。
なら、どうすればよいか?
そこで自分は……
『フェイトよ。そなたは勇者も大魔王も生存していることを、世界中に流布するのだ』
『は、はい?』
『そして、戦乙女勇者五人は全員大魔王に捕らわれ……そうだな……不本意だが……『純潔を散らし、身も心も堕とされて大魔王の所有物となった』とな。そして同時に、この屋敷の所在地を、連合の奴らに間諜を使ってリークしろ』
『え? えっと、そうなると……えっと……』
『そうすれば、連合軍共は目の色を変えて勇者奪還に乗り出してこの地に来るであろう。だが、今のあ奴らは正直、かつての仲間たちよりも自分を取る……同士討ちさせることができる』
『ッ!?』
『さすれば、連合軍は壊滅的な被害を受け、絶望の中で敗北するだろう。そうなれば残存する魔王軍で一気に叩けば、戦争は魔王軍の勝利となる』
『お、あ……同士討ちから漁夫の利!?』
『五人も連合相手と戦って負けぬまでもタダでは済まないであろう。そのときはそなたたちの出番。仮に五人が戦わずに自分を連れて逃げようとしても、そこはかつての仲間たち……家族も居るであろう……まずは一度だけでも話をしてみようと思うはず』
そう、あやつらも問答無用というわけではなく、一度は話し合いをしようとする。
先日の王国の兵たちの時のように。
『なるほど、流石は大魔王様です! それがうまくいけば、大魔王様奪還だけでなく、戦争そのものも我らの勝利に―――――』
すると……
『でも、そんな簡単にいくかな~?』
『『ッッ!!??』』
自分とフェイトの念話に、突如割り込んできた声。
振り返るとそこには……
「んふふ~、ナニシテルノカナ~、ジャーくん? なにしてるのかなぁ? かなぁ?」
「おやおや、妻に隠れてコソコソと……感心しませんねぇ」
「んもぉ、いーけないんだーいけないんだー……いけない彼氏さんには、ラブリィがお仕置きしちゃうよ?」
「なーるほどね。急にヤケになったかのように私たちを強引に絶頂させようとしてたのはこういう訳ね」
「忍法・イッたふり……あ、イッたのは本当で失神してたけど……でも、私は口の中に気付け薬隠してたから」
裸でハイライトの消えた目で微笑む五人がユラリと立っていた。
――あとがき――
本作、色々とギリギリを意識してますが、ノクターンノベルズという場所で全解禁バージョンも始めましたので、興味ありましたらこちらもよろしくお願いします。
https://novel18.syosetu.com/n0709hw/
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