この熱量！　アメリカのヒーロー映画を想起する光景が、文章で表現できることに驚かされた。ストーリーの骨子はわりと王道だが、主人公アレックスの直情っぷり、中盤からの迷いと苦悩、などの感情がとてもわかりやすく、しかもとんでもない熱量で伝わってくる。それこそプロレス門外漢の当レビュー筆者にさえ、空気感が伝染して盛り上がってしまうほどだ。ファンタジーな要素もあるが、食われないアレックスの熱さ！　アクション盛り盛りの勧善懲悪、痛快活劇、熱くスカッとしたいあなたに、ぜひ。肉は大盛りで！

めちゃくちゃ面白かったです！

要らないところを削ぎ落とした無駄のない文章でとても読みやすく、なおかつ、分かりやすい表現でとてもいいです。
ストーリーもとても面白く展開に惹かれますね。

主人公、アレックスは売れない団体のプロレスラー。
プロレスに対する熱意だけはその筋肉と同じでモリモリなのだが、イマイチ人気が出ない。
今日もライオンの毛皮を被った『ライオン男』としてリングに上がり、盛り上がらない試合に肩を落とす。

そんなとき、オカルト記者のフィオナが取材にやってきて一言。
タイタンコーポレーションの創業者で、世界一の金持ちオーフェンにアレックスが命を狙われている。

ナンセンスなオカルト話を笑い飛ばすアレックスだけど、なぜかいきなり大ピンチ！
オーフェンが狙うアレックスのライオンの毛皮にはどんな秘密が……⁉

あらすじにもありますが、アーノルド・シュワルツネッガーの映画に影響を受けたというだけに、洋画的な雰囲気が漂う作風が魅力的です。
アレックスとフィオナの軽快なトークも面白く、起伏のあるストーリーから目が離せません。

自分をバカにされても我慢できるけど、フィオナの夢をバカにされちゃあ黙ってられない。
君こそヒーローだ！　頑張れアレックス、真のヒーローとして悪党なんかぶっ飛ばせ！

人と人の夢のために……
言葉にすれば陳腐かもしれません。

でもソレをできる奴がヒーローで……
結局はソレをできる奴が最高にカッコいい主人公。

生まれとか、スーパーパワーを持っているとか。
そういうのは、やっぱり二の次なんだなって思わされます。

彼は人のために“怒れる”、堂々とカッコイイ、最高のヒーローですよ。