tr.10 仏恥義理! バトルラッパーズ

 ローディムーンが上空の虎縞模様の円盤を見上げると、叫ぶ。

「ヂャイアント光線、一斉照射ッッ!!」

 円盤から虎縞模様の怪光線が地上へ放たれる。

 そして、その地上ではまたも巨大化する影が数体――


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 此方こなた、シンク隊員ことレッドタイガーSSが操る機動要塞ダンボルジャイガンティス強攻型と、S.S.M.軍団のジェイ(巨大化)。

 対するゴスゴス側にはタイガーゴス、センチピータイガーゴス、デストラクトワイルドダローの三大巨大怪人。

「さて、未だ多勢に無勢だが、どう攻めたものか――」

 暫し黙考するシンク――レッドタイガーSSの眼に虎縞模様の怪光線が写る。

「――なっ!! まさか、まだ――」

 そう叫ぶ間もあらばこそ、再生怪人軍団が次々と巨大化していく。中にはさっきの海老――もといブラックタイガーゴスも居る。

 怪光線が収まる頃には彼女らは10体を超える巨大怪人に包囲されていた――。


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「な、なァーんてこったァー!!」

 雨音指令が驚きの余り天パーを掻き毟る。時折白いモノが飛散しているので近くの六花秘書はそれを避けつつ器用に掃除している。

「し、司令……もう、他に建造中の巨大ロボットなんかは……」

「ンなモンほいほいあるわけ無いだろーが!! ラノベじゃあるまいし!!」


「ラノベだろうがコレ」

「ヴィーちゃん、それ言っちゃ身も蓋も無いっしょや☆」

 ヴィー隊員とミサ隊員のツッコミに返す余裕もないようで、ぐぉーとか言いつつまた天パを掻き毟っている司令。

「国際救助隊を呼べー!!」

「駄目です、あちらは現在、映画出演中で動けません!!」

「科学救助隊も未来科学開発センターも駄目かー!! ナインスタイン博士のとこはー!!」

「それ今は全部ありませんよ。少し落ち着いて下さい司令」

 秘書の方がよっぽど落ち着いている。


 現状、味方の大型戦力はバッターロボが戦線離脱した今、1人と1機の計2。

 対する敵方の大型戦力は既に出現した3匹に加え7匹増えて計10匹。しかもまだ増えそうな勢いだ。

 人間大の戦力にしても自分たちが変身出来ない今、実質戦えるのはヒビキとシンクにS.S.M.軍団の6人を加えた僅か8人。

 対する敵方は雑魚レベルの戦闘員ばかりとは言えざっと100人は居る。更に悪いことにローディムーンの戦闘力は自分たちを凌駕している。

 彼我の状況を確認したソニアは静かに目を閉じ、やがて諦めたように遠くを見るようにその碧い双眸を見開くと、大きく叫んだ。


「再び我が許へ戻りなさい、剣虎サーベルタイガー!!」


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「はーっはっはっは!! 見よ我がゴスゴス驚異のテクノロジー!! これで貴様らを心置きなく葬ってやれるわ!!」

 次々と出現する巨大怪人を背景に勝ち誇ったように高笑いするローディムーン。

「み……美月、ちゃん」

 倒れて地に伏したヒビキ――仮面レコーダーBlaMagを踏みつけ、イラッとしたように叫ぶ。

「人であった頃の名などッ!! 疾うに捨てたとッ!! 言ったであろうッ!! ――のぅ、日々希――いやさブラマグサンよ?」

 苦痛に歪むヒビキの表情を愉しむように更にぐりぐりと踏みつけるローディムーン。

 敵わぬまでも助けに走ろうとしたシンク――レッドタイガーSSも他の隊員も電撃で大地に叩き付けられる。

「……参ったな、強いとは判っていたがここまでとはな」

「とてもじゃないけど手も足も出ないよこれ☆」

「ヒビキ先輩ー!!」

「ぐぬぬ……悔しいが生身のボクらじゃ雑魚戦闘員以下……あれ、ソニアは?」

 そういえば、と周りを見回すがソニア隊員の姿は無い。

「あんにゃろ敵前逃亡しやがったか(--#」

「ソニアに限ってそれはあるまい――が、一体どうしたのだ!?」


「――人が人を想い、人が人を恋ふる時、その魂の色は燃える夕陽のそれに似る。人、それを赤心と言いますわ」

 その言葉と共に一天俄にかき曇り、雷まで鳴り始めた。

 唐突に暗くなる視界、そして、校舎裏の崖の上から飛んだ鋭い電撃の槍がローディムーンに命中!!

 堪らず地に倒れるも、すぐさま起き上がって厳しく誰何するあたりは流石と言うべきか。


「何奴っ!?」

「悪党に名乗る名など御座いませんわ!!」


 先程電撃が放たれた崖の上からこちらに向かって飛び降りる一つの影。

 一振りの長大な剣を携えたそれは、ローディムーンの近くに着地するや、その剣の一払いで彼女を遠くへと弾き飛ばす。

「我が剣、剣虎サーベルタイガーの切れ味は如何?」

「……ぐ、ぐぬぬ……貴様、一体……」

「……ソニアちゃん、なの?」

「えぇ。遅くなって御免なさいね。わたくしも漸く決心が付きましたわ」

 倒れたヒビキ――BlaMagをそっと抱き上げ、そう告げるソニア。

「決心……って」

「今まで黙っていましたけど、実はわたくし、遠い星の機械生命体のおさなのです」

「「「「は?」」」」

「「へ?」」

 またか、と驚き呆れる一同。そういえば、いつの間にかソニアの服装まで替わっている。

 全身をメカメカしい外見の軽装鎧ライトアーマーに包み――ただ、顔のプロテクター以外はほぼビキニとブーツと手袋にしか見えないのだが――それが黄色地に黒の虎縞に彩られている様は、まるで。

「ラ●ちゃんだな」

「●ムちゃんだっちゃね☆」

「それ鎧というかほぼビキニw」


「お黙りっ!!」

 最後のヴィーのツッコミにそれこそ虎のように牙を剥いて怒るソニア。

「この格好になってしまうからやりたくなかったのですわ!! もう!!」

 ちょっと恥ずかしがっている。そのかなりレアな姿をスマホで激写するミサ隊員。

「ふ……ふふふ……貴様が多少強かろうと、たかだか一人増えた程度、何のことは無いッ!!」

「あら、誰が一人だと申しまして?」

「なッ!?」

 悪役令嬢よろしく不敵に笑うと、ソニアは愛剣を高く掲げ叫んだ。

「汝らが主、われラ=ムが命ず。金色の眠りから覚めて、出でよ我がしもべたち!!」


「ありゃ、ホントにラ=ムちゃんだったっちゃね」

「それなw」


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 ソニア隊員こと機械生命体のおさラ=ムの叫びに応ずるように、遠くから音が聞こえて来た。

 ジェットエンジンのような甲高い音、車の走る地響きのような低い音。それらはやがて一所ひとところに集まる。

 虎縞模様のF-5Eに似た戦闘機。同じく虎縞模様のⅥ号ティガー戦車のような戦車。虎縞模様のスポーツカーにバイクにトラクター。横にはやはり虎縞模様のピックアップトラックが2台。しかしこいつら、デカい。先程のダンボルなんちゃらと同程度はあるだろうか。


 そして、遅れて更に輪を掛けて巨大なトレーラーが走ってきた。これまた全体に虎縞模様と電飾が満艦飾のド派手な装飾デコレーションを施された、所謂『デコトラ』という奴である。所々に「猛虎一番星」だの「猛虎一匹ガキ大将」だのとステッカーが貼られている。

 そのド派手なトレーラーは「いィつゥまァでもォ~いッつゥまァでもォ~走れ走れ~」などと野太い声でBGMを響かせつつやはりソニア改めラ=ムの近くへ急停車すると、荷台を展開し始めた。

「さぁ~降りた降りた~おチビちゃんたちリルビッツ、とっとと支度なさい!!」 

 今度は一転オネェ声なのは何故か。


 トレーラーの荷台から走り出たのは他のヴィークルより一回り小さな色違い虎縞模様の軽トラックが4台。普通の軽トラっぽい白と青、乗用車っぽいフロントセクションの赤、一際小さいまん丸お目々がきゃわわな緑。軽トラとは言えローダウンされ巨大なエアスポイラーやリアウィングが装着され、かなり戦闘的な雰囲気ではある。


「おチビちゃん言うなぁーっ!!」と緑。

「そうだぜ姐さん、オイラはマー坊と呼んでくれ☆」と赤。

「なんぴとたりともオラの前は走らせねぇーっ!!」なんか喧しい白。

「はいはい、落ち着いて落ち着いて」えらく冷静な青。


「みんな揃ったわね~?」

 先程の巨大なトレーラーからオネェ声が響く。

「あー、あー、テステス。おほん。我ら機械生命体ダイアミクロンV、精鋭部隊バトルラッパーズ、只今馳せ参じました、ラ=ム姉さん♥」

 それに呼応するように他のヴィークル達からも声が上がる。

「来たぜお嬢!!」

「会いたかったよ~、お嬢!!」

「俺たちが来たからにゃ安心しな、お嬢!!」


 それを聞いているソニアことラ=ムは額に手を当てて顔を顰めていた。

「――だから"お嬢"はお止めなさいと言っていますのに……」


「あれ程"お嬢"呼びがしっくり来る女子も居ないと思うんだがなw 流石はリアル悪役令嬢様www」

「しーっ、司令!! 後でソニア隊員にシバかれても知りませんよ!?」


「ほーぅ、ならば貴様らにはこいつらとでも戦って貰おうか? ――トラップファミリアゴス略してトラファミゴス、参れ!!」

 またも上空の円盤から照射される光線――。


<< □ |> ○ || >>


「まーた今回もタイトル回収だけで終わってるよーな……」

「言うな言うなwww 作者は既にオーバーキルだwww」

「それにしてもこの破廉恥な格好は何とかなりませんかしら」

「それ完全に作者の趣味だしw 虎縞のビキニアーマーとかもうねw」

「しかしここまでキャラが増えてしまうともう訳が解らんぞ(´・ω・`)」

「作者も自分でこんがらがってて、しょっちゅう設定wiki確認してたなw」

「自業自得と言うか自縄自縛と言うか(^^;)」


 次回、『ラップdeファイト!! ラッピングバトル7×7』俺のライムを聴けぇ!!


[L] ||||||||||||||||||||||||||

-dB 40 30 20 10 5 0 2 4 6 8 +dB

[R] |||||||||||||||||||||||


 な、長かった……orz

 TFもといダイアミクロンVは設定が二転三転して、書いてる最中に新しい設定を思いついてしまったりとかあり、えらく書き直す羽目になりました。

 正に自業自得な自縄自縛の自作自演……(´・ω・`)

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