tr.05 Girls of Destiny

「――変身」


 ヒビキが先程の美月のように胸の前で両手をハートマークに組む。

 そのまま腰へ持って行き、両手とも180度捻った!!

 突如として腰部に装着された漆黒のベルトから鮮紅色の光が迸り、一瞬、視界が奪われる。

 それが収まり、視界が戻ったとき――


「何ぃっ!!」

「何ですのっ!?」

「ええーっ☆」

「ヒビキちゃん?」

「ヒビキ先輩?」


 そこには先程の美月が変身した姿――ローディムーンとそっくりな、しかし全身が黒い鎧を纏ったヒビキの姿があった!!


「――仮面レコーダーBlaMagブラマグ!!」


 一瞬、見蕩れたように動きを止めていたローディムーンだが、不敵に嗤うと、

「遂に正体を明かしたな、ブラマグサン」

 まるで愉悦に浸るかのように高笑いを始めた。

「――ふッ、ふッ、ふはははははッッッッッ!!」

「――違うわ、その名はゴスゴスから逃げたときに捨てた。今の私は仮面レコーダーBlaMagブラマグ、そして磁帯戦隊のキャリブイエロー」

「はははははッッッッッ!! そんなことはどうでも良いッ!! 貴様の正体を知ったお仲間とやらがどういう反応をするか、見物みものだと言っているのだッ!!」

「――そ、それは……」

「貴様に待っているのは偏見、迫害。そしてただ殺されるだけでは飽き足らず、解剖されたりするかも知れんなぁ~~?」

「――それでも、私は――」

「それでもこの下等な、我がゴスゴスの奴隷たる人類どもを護る、などとほざくかッッ、ブラマグサンっ!!」


 ローディムーンの絶望へと誘う未来予想と罵倒に唇をぐっと噛み締め、それでも覚悟を決めたように仲間達を見遣るヒビキ――仮面レコーダーBlaMagブラマグ

 それをニヤニヤと見つつ、かつての仲間達からヒビキに浴びせ掛けられるであろう罵倒を想像して悦に入るローディムーン。


「――みんな……ごめんなさい……隠してたけど……私……」


「――か、かっこいーですー!! ヒビキ先輩!!」

「え!?」

「んなッ!?」


 想定外のキャリブグリーンことマキ隊員の反応に固まってしまう二人。


「良き良き。黒がボクと被ってるのがアレだけど、こりゃイイネ!!」

「すげー!! めっちゃえるー!! ヒビキパイセン、後で写真撮ろ写真☆」

「……燃える……これは燃える……劇場版で超覚醒モード……なんと羨ましい」

「――そもそも乙女には秘密の一つや二つくらいあるものですわ。何を今更」


「――みんな……」

「い、いや、ちょっと待て待て待てッッ!!」


 感動にうち震えるヒビキを余所に必死にツッコむローディムーン。


「お前らおかしいだろー絶対!! こいつ、改造人間なんだぞッッ!!」

「それが何か?」

「しかも改造したのは有史以前から人類の歴史を裏から支配してきた我が秘密結社ゴスゴスなんだぞッッ!!」

「まぁ敵の設定としてはありがちではあるな」

「そいつは我と同じ、ゴスゴスの次期基準王候補、つまりはラスボス候補なんだぞッッ!!」

「あーヒビキパイセンの鉄壁メンタルの理由はそれかー☆」

「そんな物騒な、いつ敵に回るかも知れん奴をだな――」

「それを敵に言われても説得力ゼロだろボケ」

「あーもー!! あー言えばこー言うー!!」

「だってどっちを信用するかって言われたらそんなの決まってますよー!!」


「それに、ね」

 ブルーがヒビキの肩を抱いて優しく言う。

「もし万が一、貴女あなたの仰るような事態に陥ったとしても」

 レッドが反対側の肩を抱いて力強く言う。

「その時には我々が止めるまでのこと」

「ソニアちゃん、シンクちゃん……」


「……ぐ……ぐぬぬ……」

 完膚なきまでに論破され、最早言葉も無いローディムーン。


「おぉ……尊い……なんという百合……これは眼福……」

 抱き合う3人の尊さに震えているブラック。

「あはは、敵の顔見てよー☆ ウケるー☆」

 屈辱に震えるローディムーンを爆笑しながら激写するピンク。

「ぐすっ……流石は先輩たちの絆……良かったぁぁぁ(つд`)」

 感極まって貰い泣きを始めるグリーン。


「ふ、ふんッ、せいぜいお友達ごっこでも何でもやっておれば良いわッ!!」

「あ、開き直った」

「完全論破されちゃったしねー☆」

「う、うるさいうるさいッッ!! 斯くなる上は、戦闘員の皆さんーッ!!」


 ウーッ!! という大音声が轟き、鹿苑木ろくおんぎ高校の旧校舎の裏山から大勢の戦闘員が現れた。

 なんかBGMでマンボが鳴っているようだが、気のせいだろう。


「――からの~、起動せよ、タイガーゴス・ヂャイアント!!」


 その裏山から、先程倒した虎怪人がそのまま30倍ばかりスケールアップしたような巨大怪人が出現する。

 怪人というか、スケール的にはもう怪獣サイズである。


「ありゃぁ~☆」

「よくもまぁ次から次へと出しやがるな」

「ど、どうしましょう~キャリブレイバーはまだ修理中でエンジン降ろしてますよぅ~(´・ω・`)」

「これはちと、地味にピンチかな?」

「そうですわねぇ……」


「だーっはっはっは!! 大丈夫どわーいじゃうぶむぅわ~かせ給え!!」

「あれ、司令?」

「なんだ、居たんだ☆」

「さっぱり出てきやがらねぇからトンズラこいたかと思った」


「言うに事欠いて無礼だなチミたち!? ――まぁいい、あのデカブツはこちらに任せ給え。君たちは戦闘員の方に集中を」

「そう言うが、あのデカいのをどうするのだ、司令?」

「チッチッチッ、そこはそれ、応援を呼んだのだよ、レッドくん」

「応援……って、他にわたくしたちの様なチームでもありますの?」

「俺の知り合いの吉田博士に連絡を入れておいた。もうぼちぼち到着する筈だ」

「吉田博士?」

「うむ。ロボット工学と冶金学と宇宙放射線研究の権威でな。研究中の巨大ロボットを回して貰った」

「そんなの初めて聞いたぞコラ」

「あっちはそもそも部署が違うからなぁ。君たちが知らんのも無理はない」

「縦割り組織あるあるだねー☆」


 などと無駄口を叩いている間に、裏山からタイガーゴス・ヂャイアントと戦闘員の皆さんが迫る。

 が、その時。空の彼方より雲をつんざくエンジン音が聞こえてきた!!


「お、来た」

「鳥か!?」

「飛行機だ!!」

「いや違う、あれこそが――」

 雨音指令がポーズを決めてドヤる。ウザい。てかアンタのじゃ無いだろw


「宇宙開発用変形合体ロボット・バッターロボだ!!」


<< □ |> ○ || >>


「バッタもの?」

「違う違うw マキちゃんナイスボケwww」


 次回、『不滅の阪神・バッターロボ』仏恥義るゼ!!


[L] ||||||||||||||||||||||||||

-dB 40 30 20 10 5 0 2 4 6 8 +dB

[R] |||||||||||||||||||||||


 私は野球のことはとんと存じませぬが(知識の殆どは野球漫画経由w)、寅年となればこのネタを使わずに済みますまい。

 次回、トラキチの皆様、(もしいらっしゃったら)お待たせ致しました!!

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