tr.08 覆面神話-レスラー・ドリーム-

「いざ行け、我がSuper Strong Machine軍団!!」


 シンク――仮面タイガーSSの号令一下、居並ぶマッチョ軍団が戦闘員の皆さんに向かって行く。


[BGM]『いざ逝け!!覆面軍団』

 信じられるか、このパワー! 地上最強の覆面軍団!

 火薬と棘と筋肉と、日本のマットが生みだした!


「S.S.M.1号!!」「イチバーン!!」

 人差し指を立てた両手を高く掲げる銀緑色の仮面の1号。

「S.S.M.2号!!」「ウィー!!」

 人差し指と小指を立てた左手を高く掲げる濃緑色の仮面の2号。

「S.S.M.V3ヴイスリャー!!」「ウォー!!」

 軍団では一番ヴォリュームのある体躯の赤い仮面のV3は、何故か両手にフォークを持っている。

「S.S.M.4号!!」「グォー!!」

 青い仮面から見事な顎髭を覗かせる4号は、野獣のような吠え声をあげる。

「S.S.M.XXXトリプルエックス!!」「シュッ! シュッ!」

 白銀の仮面にターバンを巻いたXXXは、武器であるサーベルを構えている。

「S.S.M.ブラジル!!」「ダダダ!! ダダダ!!」

 鮮やかな緑に鮮紅色の段駄羅模様を浮かべた仮面のブラジルは矢鱈と頭を振っている。

「S.S.M.ジェイ!!」「ジェーイ!!」

 身長が3m近くあると思われる巨躯の濃緑色の仮面から顔がかなりはみ出しているジェイは右手の親指と人差し指を立てて胸の前で構えている。


「こ……濃い……濃すぎてゲロ吐くレベルw」

「何を言うかヴィー、見よあの素晴らしき筋肉を!!」


 そうこうしている間に敵陣に突っ込み、戦闘員の皆さんをちぎっては投げ投げてはちぎるS.S.M.軍団の面々。

 丸太のように太い腕で敵を薙ぎ倒していく1号と2号。

 各々の獲物、フォークとサーベルで敵を血祭りに上げるV3とXXX。


「あの二人は特にめっちゃ悪役っぽいんだけど☆」

「まぁ赤い仮面の人は凶器攻撃というのは日本特撮の伝統だしなぁ。XXXの方は元ネタ通り……だよな?」


 敵を次々とヘッドバットで撃破するブラジル。頭を抑えて悶絶している敵がかなり痛そうだ。

 そして4号とジェイはその巨体を武器に、それこそ襲い来る敵を片っ端から投げ飛ばしている。もはや人の姿をした暴風雨である。


「な……何だ……と……」

 まさかの惨状に言葉を失うローディムーン。


 その時、シンク――仮面タイガーSSはバッターロボの窮地に気付き、声を上げた。

「む、いかん!! ――ジェイ!!」

「サーイェッサー、ジェーイ!!」

 それに応えたジェイが叫ぶや否や、彼の巨体は光に包まれた――。 


<< □ |> ○ || >>


 一方、2体の巨大怪人に挟撃されピンチのバッターロボ。


「あ、アカン~!! なんかあっちの大砲が光っとる~!!」

「紫枝さん、分離できないか?」

「それが、後ろのムカデみたいな奴の触手に絡め取られているのよ」

「そりゃマズいなぁ……」

「蒼太はん、落ち着いとる場合やあれへん~!!」

 もはや風前の灯火、涙目の由布子。

 が、突然その拘束が緩んだ。

「今よ、オープンバット!!」

 隙を逃さず分離し離脱する3機のバッターマシン。

 どういう事かとセンチピータイガーゴスを見ると、後ろから巨人の覆面レスラーに組み付かれていた。


「――何なの、あの巨人は?」

「取り敢えずは味方みたいだねぇ」

「進○か!? ○撃なんか!?」違います。


「――そいつは味方だ。安心してくれ!!」

 地上からシンク――仮面タイガーSSが呼び掛ける。

 そう。S.S.M.ジェイは彼の特殊スキル"巨大化"で敵の巨大怪人と同じサイズになり、窮地のバッターロボを救ったのだった。


「あれ、誰?」

「声はシンクはんやったで?」

「まぁ敵ではなさそうだからいいんじゃないかな――ではこちらも反撃と行きますか」


[BGM]『六甲おろし』(トーマス・オマリー)


「それじゃ、行ってみよう~。チェンジ・バッターバース、ボックスイン」


 バッターマシンが3・1・2の順で縦列編隊になり、次第に接近する。


「3番・バッターバース、合体シークェンス開始」


「3番だけ合ってるって、ホントにイミフ……(´・ω・`)」

「それなw」


 などと行っている間に合体完了、人型の巨大ロボットが地上に降り立つ。今度はかなり太身のシルエットだ。

 背部にロケットブースターを背負っており、両脚の裏にはキャタピラがある。


「こいつなら力負けはしないだろう。じゃ、いっちょ行きますか」

 蒼太が立てた親指で鼻の下を擦り上げて、スロットルレバーを踏み込んだ。


<< □ |> ○ || >>


「ぐ……ぐぬぬ……」

「本日何度目のぐぬぬ?」

 ヴィーが茶化すとギヌロっとそちらを睨み付け、ローディムーンは叫んだ。

「う、うるさいうるさぃッッ!! ならばこうだッッ!! ヂャイアント光線、照射!!」

 いつの間にか空中に浮いていた虎模様の円盤から、先程の再生怪人軍団に虎縞柄の光線が発射された。

「そして仮面タイガーとやら、貴様には、こいつだッッ!!」

 崩落した校舎の柱の上に人影が立つ。逆光でよく判らないが頭頂部には耳が見え、マントを着けているようだ。

「ブラックタイガーゴス先生、やっちゃって下さーい!!」

 ローディムーンの声に応じるように、柱上から豪快に飛び降りる怪人。

 よく見ると外見は仮面タイガーSSにそっくりだが、虎縞の黄色が白いので、白虎モティーフだろうか。そして体を覆うプロテクターはまるで――。


「エビだな」

「蝦ですわね」

美味うまそう……(ジュルリ」

「あー、つまりはエビのブラックタイガーと掛けてる訳ねw」

 ネタバレされたローディムーンは顔を真っ赤にして叫ぶ。

「こ、コイツふぁッッ、そこの仮面タイガーとやらのデータを元に更に甲殻類の防御力を付け足した強化改造型にゃのだッッ!!」

「あ、噛んだw」

「動揺してますわねw」

「流石にあのネーミングは無いわーw」

「作者、テキトー過ぎwww」


 茶化しまくる一同を更に睨み付けたローディムーン、

「貴様らが何時まで余裕ぶっこいていられるか見物だな、覚悟しろッッ!!」

 言うが早いか、こちらはヒビキ――仮面レコーダーBlaMagに襲いかかる。

「美月ちゃん、やめて~~!! 私たちが戦う必要は無いのよ~~!!」

「喧しいッッ、このリア充!! 貴様に我の気持ちが解るものか!!」

「あれって完全に個人的な恨みじゃね?」

「そうですよねー(^^;」

「陰キャの逆恨みは怖いw」


<< □ |> ○ || >>


 一方、ブラックタイガーゴス(w)と対峙する仮面タイガーSS。

 こちらは意外と好カードになっていた。

 瓦礫を利用して華麗なる空中殺法を仕掛けるブラックタイガー。

 それに三次元殺法で相対する仮面タイガー。

 やがて投げ技の応酬から関節技の掛け合いへと移行する。

 互いの血が飛び肉が裂け骨まで軋むセメントマッチに、周囲の戦闘員の皆さんとS.S.M.軍団は闘いも忘れて応援を始めていたw


『ウーッ!! ウーッ!! (ブラックタイガー先生、っちまえー)』

『負ケルナー、姐サーン!! 正義ハ我ニ有リー!!』


 闘ってる方も応援してる方も覆面だらけなのでかなり混沌とした仮面の世界マスカー・ワールドと化している。

 しまいにはビール売りのオネーチャンや氷売りのオッチャンまで徘徊する始末であるw

 とうとう眼鏡のリングアナ風Y○uTuberまで登場して実況配信まで始まったwww


<< □ |> ○ || >>


 こちらは二大怪人と対峙するバッターバース。


「力比べならバースの出番だ!! ……ん?」


 突如、上空の虎縞模様の円盤から地上に向かって光線が放たれ、そこから何かが巨大化してくる。


「えぇっ!?」

「ナンや!?」


 それは先程のブラックタイガーの様な模様を纏った頑強な鎧に包まれた怪人だった。体格的には力士のようでもある。

「だーッッはっはっは!! 力比べならコイツとやるがいいッッ!! 行け、デストラクトワイルドダロー!!」

 足下からローディムーンの高笑いが聞こえてきた。


「まーた新手かいな!! どないする、蒼太はん!?」

「ま、お手並み拝見と行きますか」

「いきなり突っ込んで大丈夫!?」


 ガシィッッ!! とばかりに組み合うデストラクトワイルドダローとバッターバース。


「む、まわしを掴ませないとは――なかなかやるな……!」

「怪人にまわしとかあるんかいなw」

「2人とも、油断しないで。他の2体もいるのよ」


 そう、他の2体――タイガーゴスは彼らから距離をとり砲撃の機会を狙っている。

 そしてムカデタイガー……もといセンチピータイガーゴスは何故か巨大な軍配を手に行司をやっているw


「コラコラコラッッ!! なーにを遊んどるか、センチピータイガーゴスっっ!!」

 ローディムーンの一喝にびくっとなったセンチピータイガーゴス、手に持った軍配を振り上げてバッターバースを強かに打ち据えた。

「ぅおっと!」

「きゃっ!」

「このイケズー!」

 堪らずバランスを崩し、動きが止まるバッターバース。さっと離れるセンチピータイガーゴスとデストラクトワイルドダロー。

 そこにタイガーゴスの砲撃が!!

「おわっ! こいつはしまった!」

「だから言ったじゃないの!」

「アカンアカンアカンー!! 機体被打撃率が三割超えとるー!! 現在3割8分9厘やー!!」

 各機のコクピットからはひっきりなしに警告音が鳴り響いている。

 ジェイがタイガーゴスを止めに行こうとするも、他の2体に阻まれて届かない。手を伸ばし叫ぶジェイ。

「オスカール!!」

「節子、そのアンドレちゃうw」

「? 由布子、何を言ってるのか解らないわ」

「昭和プロレスあるあるだねー(^^」


<< □ |> ○ || >>


 大声援に囲まれブラックタイガー怪人と組んずほぐれつの肉弾戦を繰り広げていた仮面タイガーSSだったが、バッターロボの方をちらっと見て呟いた。

「いかん、このままではジリ貧だ――斯くなる上は!!」


 彼女はブラックタイガー怪人を真空海老車で投げ飛ばすと、立ち上がり両手を構えた姿勢から右腕を高く上げた。

「チャージうp!」


<< □ |> ○ || >>


「私も最後の『オスカール!!』のくだりが全然イミフだったんですけど」

「よく解らなかったよい子は、『ジャイアント・マシーン』『ベルばら』『アンドレ』のキーワードでG○○gle先生に訊いてみよう!!」

「そもそも平成生まれには全編に亘って意味が解らんことだらけだろうがそれは」


 次回、『紅い衝撃波』仏恥義るゼ!!


[L] ||||||||||||||||||||||||||

-dB 40 30 20 10 5 0 2 4 6 8 +dB

[R] |||||||||||||||||||||||


 お正月らしく、海老にちなんだ(ちなんでねぇw)怪人を出してみました。

 しかし虎モティーフの怪人って、意外に少ないんですよねぇ。怪獣や機械獣系まで拡げても。ライオンが多いのはまだしも豹の方が多いくらいで。

 Super Strong Machine軍団は昭和プロレス世代にはお馴染みですが、今回の中の人は全て有名悪役ヒール外人レスラーで統一しています。

 元々が覆面の方(デストロさんとかミルマスさんとかベイダーさんとか)は入れようが無かったので、戦闘員の皆さんに混ざっているということで、ひとつ。

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