Bonus.2 『接種しちゃうぞ!?』
Bonus.2 - tr.1『接種しちゃうぞ!?』
「だから言ったじゃないの!!」
「だってだってなんだモン(´・ω・`)」
「ぐすぐず言っても始まらないね(-_-;」
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「皆さんっ、接種クーポンは御座います? 問診票は記入しましたか?」
「はーい先生☆」
「先生、じゃありませんっ!!」
ここ、鹿苑寺商工会議所のエントランス前で騒いでいる面々。
鹿苑寺高校電音部のご一行様である。
現在、10月某日金曜日午後7時過ぎ。陽は既に落ち、辺りはとっぷりと宵闇に沈みつつある。
何故、一介の高校生に過ぎない彼らが関わりのなさそうな所で騒いでいるかというと――。
『K-市 ワクチン接種会場』
所謂ひとつの近頃とみに話題の新型ウイルスの予防接種に来ているのであった。
学校側である程度の予約枠を確保してあり、都合の良い時間を任意に選ぶようになっているため、電音部はソニア部長の強力なリーダーシップの元、一同揃って接種に来たのである。
「てか、ソニアがいつの間にか強引に決めてたし(--#」
「そうでもしないといつまでたっても致しませんでしょう、特にヴィー、ミサ!!」
「いやーだってねー(^^; 痛そうじゃん? なんか副反応?ってのもあるって言うし☆」
「そこはまぁ、個人差があるから何とも言えないのだが」
「でも~~みんなで射てば怖くない?って言うじゃない~~?」
「いや、ヒビキ、それはちょっと違う気が……というか色々とアウトな感じが……」
「そういや後輩どもが見当たらない今日この頃」
「あら、そう言えば――」
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「よぉーし、現在俺は絶賛体調悪化中。よって帰る。後は任せた!!」
「ちょっと雨音くん、悪化どころかむしろ元気が有り余ってる感じだよ!?」
「何を言うかチミ、見よ、この蒼褪めて今にも昏倒しそうな顔色を」
「貴方の顔が悪いのは今更言われなくても判っておりますから、とっとと受付をなさい」
「し、失礼な!? 顔、じゃなくて顔色。understand?」
「いや、アレは解ってて言ってる奴だな(^^;」
「ソニアちゃ~~ん、程々にね~~」
「ヒビキパイセン、止める気は無いんね(^^;」
「流石は毒舌悪役令嬢乙www」
「何か仰ったかしら、ヴィー!?」
「ワタシナニモイテナイヨーw」
「全くどっちもこっちも……」
その騒ぎの隙にしれっとエントランスから回れ右をしようとした響一郎。
しかし敵も然る者、ソニアと真貴が左右から素早く腕を掴んで引き留めた。
「大体、何を今更嫌がっているのです? 子供じゃあるまいし」
「それが……なんかトラウマがどうとか先端恐怖症がなんとか……(´・ω・`)」
「「はぁ?」」眉を顰めるソニアと真紅。
「「マ?」」ジト眼のヴィーと三沙織。
「あらあら~~」困っているのか喜んでいるのか判らない日々希。
「ちっちっ、幼児期からのトラウマというのはそうそう克服できる物ではなくてだな諸君。そういう訳で俺は――」
「レコードは?」
「?」
「レコードプレイヤーにも付いてたと思うがな、針が?」
「Σ(゚Д゚;)!!」
真紅の尤もな指摘にビクゥッ!!と顔を引き攣らせる響一郎。
その隙を逃す面々では無く――。
両腕を真貴とソニアに引っ張られ、後ろから真紅と日々希に押され、ヴィーと三沙織に囃し立てられながら先導され、哀れ響一郎は予防接種の受付窓口へ拉致されたのであった。
「傍目から見りゃ両手どころか全身花だらけのハーレムだろうが四の五の言うなヴォケw」
「それって相手にも依るんじゃないかなー(^^;」
「いいからさっさと受付なさい。他の方々の迷惑でしょうに」
「やれやれだ。まさか雨音にこんな弱点があったとはw」
「真紅ちゃん~~笑っちゃ駄目よ~~」
受付を済ませ、待機席についたものの下を向いて眼が虚ろな響一郎。
隣の席で心配そうに話しかけている真貴。
それを溜息をついたりニヤニヤしたり苦笑したりしつつ見ている先輩一同であったが。
読者諸賢はお気づきであろうか? 実はまんまと誘導されたのは彼だけではないことを――。
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「……ありゃ、そういやウチらもいつの間にか受け付け終わってたや☆」
「(; ・`д・´) ナ、ナンダッテー!! (`・д´・ ;)……しまった、ハメられた…orz」
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-dB 40 30 20 10 5 0 2 4 6 8 +dB
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例の予防接種を受けてきました。
特に体調面では問題無く、注射跡が筋肉痛のように痛むくらいです。
折角なので未接種の方の不安を多少なりとも軽減できれば――と、レポ風短編にしてみました。
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