tr.16 青いボディの異邦人(ストレンジャー)

「弱い怪人はもう飽きましたわ。強い怪人は何処にいらっしゃるの?」

 ローディムーンを煽るベーカムフー。

「ぐぬぬ……」

 もう何度言ったかも知れぬ「ぐぬぬ」を言いつつ、ローディムーンが叫んだ。

「――ならば、こいつでどうだッッ!!」


<< □ |> ○ || >>


「えーい、肉弾戦なら――デストライクワイルドダロー、征けッッ!!」

 ローディムーンの声に応じ、全身鎧の怪人が進み出る。

「これはまた硬そうなのがきましたわねぇ」

「当ッ然ッ!! こいつの装甲はダイヤの10倍の強度を誇るデスメタル製!! 貴様のナマクラでは傷一つ付かぬッッ!!」

「――それではお手並み拝見、致しますわっ!!」

 剣虎サーベルタイガーを構えて怪人に斬り掛かるベーカムフー。その鋭い切っ先が敵の装甲を捉える――!!

 ――ガキィンッッッ!!

「――あら?」

「ぶわーっはっはッッ!! だぁーから斬れぬ、と言ったであろうが!!」

 先程とは一転、ドヤ顔のローディムーン。まぁ表情のくるくる変わる女ではある。

「――なるほど、ならばっ!!」

 と眼を見開いたベーカムフー。右手の人差し指を天高く掲げると、一天俄に掻き曇り、雷鳴が響く。

「これで如何? ――"天使の雷撃エンジェルサンダー"!!」

 ベーカムフーが右手を前に突き出すと、その指先から雷光が奔った!!

 それは指差した先の怪人に命中!! ――したのだが。

「その程度では此奴の装甲は痛くも痒くも無いわッッ!!」

 ベーカムフーを指差し哄笑するローディムーン。

 ゴスゴス怪人中、最強の装甲を誇るデストライクワイルドダローは、ベーカムフーの攻撃を凌ぎきったのだ。


『姉さん、どうします?』

『ラ=ムねぇ、ちょっと面倒そうだよ?』

 一体化したベーカムフー内部で語り合う三姉妹。

「レ=ム、リ=ム、を致しますわ!!」

 ベーカムフーの両眼がギラリと輝く。

宇宙そらよ』

ときよ』

いかづちよ』

「「「我に力を!!!」」」

 三姉妹の声が最後に唱和した刹那、天高くジャンプするベーカムフー。

「はッッ!! 今更何をしても無駄無駄無駄ァァッッ!!」

 調子こいて煽るローディムーンを無視して空中で高速回転を始めるベーカムフー。

「「「東通無電拳・奥義!!!」」」

『スーパー!!』『大車輪!!』『電光!!』「「「キーッッック!!!」」」


「馬鹿め!! たかがそんな蹴りなんぞでこの装甲に立ち向かうなど――気でも触れたかッッ!!」


 三姉妹の脳裏には、かつて彼女らの師である父の言葉が再生されていた。


「いいかお前たち、この矢は」

 ぺき、と手に持った矢をへし折る父。

「1本では斯様に脆い。――だが」

 次は3本を纏めて折ろうとする。が――。

「3本纏まれば、強い。お前たち3人が心を一つにした時、ベーカムフーは――」


「ベーカムフーは、無敵ですわっ!!」


 その叫びと共に、デストライクワイルドダローを貫く青き流星――ベーカムフーのスーパー大車輪電光キック!!

 胴体にぽっかりと大穴の空いたデストライクワイルドダローは、そのままと倒れるや、爆散した。


<< □ |> ○ || >>


「――だから、さっきから強い怪人は何処に、と申し上げて居りますでしょう?」

 すっくと立ち腕を組んだままローディムーンに言葉を投げるへーカムフー。

「ぐぬぬ……ならばこうだッッ!!」

「次から次へとまぁ……」

「征け、トライスターゴスっっ!!」

 それに応えて彼方から飛来する巨大な旅客機――いや、トライスターゴス。それは巨大な顔を持つ飛行機だった。そのかなりおデブ――もとい恰幅のあるボディはトライスターL-1011というよりムーリヤAn-225やベルーガっぽいが。


「ふはははッッッ!! 如何な貴様とて、高空からの爆撃には手も足も出まいッッ!! 我がゴスゴスの誇る空爆怪人の威力にひれ伏すが良いッッ!!」

「アレって怪人ていうかロボとか爆撃機なんじゃね?」

「あの顔って空気抵抗凄そうですねー……それって飛行機としてどうなんでしょう?」

「そこ、喧しいッッ!! そんな些細なことはどうでも良いのだッッ!!」

「図星でやんのw」

「あーもぅッッ!! 口の減らぬ連中がッッ!! もーぅ全員纏めてーっておしまいッッ!!」


 ローディムーンの号令一下、復活した怪人達から砲撃や爆弾が雨霰と降り注ぐ。ベーカムフーはトライスターゴスによる高空からの絨毯爆撃で身動きが取れなくなっている。


「おわっちぃ☆ ヤベヤベ!! パイセン達、ロボが近接戦仕様ばっかでどーしよーもねーじゃんよ」

「ど、どうしましょう、このままじゃマズいですよぅ~(´・ω・`)」

「ぶちょ…ソニア隊員はあんなだし、ふく…シンク隊員はあっちの黒いのとかに係り切りだし、ヴィーちゃんはなんか固まってるし――」

「とにかくあの大砲とか爆弾をなんとかしないと――」


 お互い視線を交わした後、そっと目を逸らし、期せずして互いに同じ事を言い出したミサ隊員とマキ隊員。


「――しょーがない、ここはアタシが!!」

「――仕方ないなぁ。ここは私が――」


<< □ |> ○ || >>


「それにしても我が陣営はつくづく近接戦仕様ばかりだな。脳筋かwww」

「脳筋言うなし、この阿呆司令(- -#」

「そうですわっ!! 我が身を以て剣と為す、これこそ闘いの神髄ですわ!!」

「うわーまた悪役(rっぽい台詞を……」


 次回、『あつまれ!ロボットの森』これが勝利の鍵なのさっ☆


[L] ||||||||||||||||||||||||||

-dB 40 30 20 10 5 0 2 4 6 8 +dB

[R] |||||||||||||||||||||||


 済みませぬ、前回が長すぎた反動で今回は短めになってしまいました。

 今回に限り、三姉妹の声は佐久間レイ(ラ=ム)、日高のり子(レ=ム)、川村万梨阿(リ=ム)、三姉妹の父は若本で脳内再生願います。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る