tr.03 復活のゴスゴス
「――あれはタイガーゴス……どうして……」
何があろうと常にマイペースを崩さないヒビキ隊員が、眉を寄せて眼前の虎怪人を睨んでいる。
彼女の常に無い
しかし、そんな葛藤も束の間。
先の虎怪人の両肩の砲門が僅かに振動を始める。
「ヒビキちゃん、前、前!!」
「ヒビキパイセン、ヤバいってー!!」
後輩コンビの絶叫で漸く我に返ったヒビキ隊員、変身ポーズを取る。
「「「「「「スタート・キャリブレーション!!!!!!」」」」」」
その直後。
虎怪人の両肩のキャノン砲が雷鳴のような呻りを上げ、砲弾の雨が降り注いだ!!
狙いは過たず変身中の6人の元へ。
一瞬の間を措いて、轟音が轟き爆煙が吹き荒れる。
「みんなーっ!!」
それは雨音指令の叫び声すらも覆い尽くすように――。
<< □ |> ○ || >>
「ふっふっふっ、タイガーゴスとやらの威力、なかなかのモノではないか」
「左様ですなぁ。奴らめの技術力、侮れぬものがありますじゃ、フェッフェッフェッ」
「このまま一気に殲滅ですな!!」
「そう上手く行けば宜しいのですがねぇ……」
「何か言ったか?」
「い、いえ……」
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虎怪人の砲撃が止み、もうもうと舞っていた煙が漸く晴れた。
校舎の瓦礫に埋もれかけ、煤で顔を真っ黒にした雨音指令は独り叫ぶ。
「みんなーっ!! 無事かーっ!?」
「げほっ、ごほっ、酷い目に遭いましたわ!!」
「うむ、このマスクが無ければ死んでいた( ー`дー´)」
全員の顔には真っ白のマスクが装着されている。
「シンク隊員、それマスク違いっしょ(^^;」
「……この小説がお笑い枠で助かった件」
「よい子のみんなっ、お出かけの時にはマスクをしようねっ!!」
「……マキちゃんは誰に向かって言ってんのさ?」
「子供番組あるある。気にしたら負け」
「よ、良かった、無事だったか……」
へたり込む司令。
「あ、ちょっとは心配したのかなー☆」
「へ、へんっ、お前らなら殺しても死なないくらいしぶといからなーんも心配して無いねっ!!」
「あ、ツンデレだーw」
「ツンデレだなw」
「ツンデレですわねw」
「これは良いツンデレw」
揃いも揃って草を生やす隊員達に司令が叫ぶ。若干顔が赤いw
「バカモーン!! 早く変身しないか!! 敵が次の攻撃を――!!」
「人にバカって言う奴の方がバカだー☆」
「波平司令乙www」
「皆さん、馬鹿言ってる暇に変身しますわよっ!!」
「馬鹿がゲシュタルト崩壊寸前だな(^^;」
「「「「「「スタート・キャリブレーション!!!!!!」」」」」」
(BGM)『突撃!! キャリブレンジャー
♪鳴らせ音量全開!! スタート!!
振るぞメーター!! 飛び出すぞ!!
叩く相手は強敵G.D.I.
突っ込め!! キャリブレンジャーHEX!!
蹴散らせ!! 突撃!! レンジャーHEX!!
「BGMが替わりましたわね」
「シリーズが長くなるとなー」
「いや、言うてもまだ2回目ですがな☆」
「作者の脳内ではもう冬休みの映画まで進んでると拝察」
「あのー、HEXってなんですか?」
「前回でマキくんが加わって6人体制になったからであろう」
「Hexaのことですわね、恐らく」
「あー……あれ、ヒビキ隊員?」
いつもと違う様子のヒビキ隊員に気付いて声を掛けるマキ隊員。
彼女は先程のようにどこか心ここにあらずといった様子で、黙りこくっている。
マキ隊員の心配そうな顔に、大丈夫と言うように微笑を返すが、それすらも空々しい。
などとくっちゃべってる間に、ベルトが高速回転し内部のカセットを巻き上げる。それが終了し、
6人の体はカラフルな強化服に包まれた!!
「「「「「「キャリブレート・チェンジ!!!!!」」」」」」
「紺碧のエレガンテ!! キャリブルーですわっ!!」
「紅のジャスティス!! キャリブレッド!!」
「黄金のヒ~リング!! キャリブイエロ~~」
「桃色のエキサイティン!! キャリブピンクっ☆」
「漆黒のマニアック!! キャリブラックですがなにか!?」
「新緑のタフネス!! キャリブグリーン!!」
「「「「「「磁帯戦隊!!!!!」」」」」」
一斉に片手を突き出しポーズを決める。背景がど派手に輝く。
「「「「「「キャリブレンジャー!!!!!」」」」」」
ちゅどーん!!とカラフルな大爆発!! 今回は緑色も加わって6色だ!!
「てかここの変身シーン、ほぼ前回のコピペじゃね?」
「ちっちっちっ、そこは"バンク"と言って頂きたいなピンク」
「ばんく、って何ですか?」
「特撮は金かかるから変身シーンみたいな同じパターンのは1回撮ったシーンを後の回でも繰り返し使う。銀行から預金引き出すみたいだから"バンク"」
「言うてもこれ小説やし☆」
「何事も様式美というものだよ、ピンク」
マニアックが過ぎる会話に置いてけぼりを喰らった感のグリーンが(゚Д゚)としているが、その間にも虎怪人の砲門は再び振動を始める。
「あ、ヤベ。波○砲の再充填が始まった」
「皆さんっ、ぐずぐずしている暇はありませんことよ!!」
「うむ、さっきの砲撃が来る前に、ここは一気に片を付ける!! シスコンバズーカ、展開!!」
各人の武器が変形し、四角くなる。
「……イエロー?」
「――あ、御免なさい~~。アンプ~~」
「デッキですわっ!!」
「チューナーよし!!」
「プレーヤーおっけ☆」
「スピーカー完了(`・ω・́)ゝ」
「CDP、セットしまーすっ!!」
「では行きますわよっ!! シスコンバズーカ」
「「「「「「発射!!!!!!」」」」」」
両脇のスピーカー部分から放たれた6色の光芒が渦を巻きながら虎怪人に向かって行き――命中!!
「オトウトヨー!!」
ちゅどーん!!
一瞬の間を置き、謎の言葉を残し爆散する怪人。
やったぞキャリブレンジャー!!
強いぞキャリブレンジャー!!
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「いや、これ絶対この後に碌でも無い目に遭うフラグだろ」
「ブラックよ、それは言わぬが花というものだ」
「それより、イエローの様子が気になるんですけど……(´・ω・`)」
次回、『焔の
[L] ||||||||||||||||||||||||||
-dB 40 30 20 10 5 0 2 4 6 8 +dB
[R] |||||||||||||||||||||||
今回のバンクシーンは「特撮作品に於ける様式美を如何に文章で再現するか」の帰結であって、決して作者が楽をしようと思った訳ではありません。
ら、楽しようなんてこれっぽっちも思ってないんだからねっ!!(ツンデレ)
あと、最後の次回予告は正宗一成氏の声で脳内再生して頂ければより一層お楽しみ頂けること請け合い( *¯ ꒳¯*)
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