tr.13 哀と悲しみの王女(ベラドンナ)
「美月ちゃん、私、とっても悲しい――」
とても悲しげにそう言ったヒビキこと仮面レコーダーBlaMagの体が青く光った。
「――んなッ!?」
己の
「おぉ!! これはっ!!」
「なんか覚醒したっぽくね?」
「強化モード解放キター!!」
磁帯戦隊の面々はなんか盛り上がっているw
そんな外野の様子をよそに、一層光を強めたヒビキ――BlaMagの
「――おぉ!? これは一体――?」
次々と身を起こすトラファミゴス達。
「――Power on……Reboot sequence……System check……OK……Start up!」
それまで真っ暗だった両眼に次々と光が灯るバトルラッパーズの面々。
「――皆さんっ!! 無事ですのねっ!?」
ソニアことラ=ム姉さんが半泣きで確認している。
「……ば、馬鹿なッ!! こんな
想定外のことに惑乱の極みにあるローディムーンがBlaMagを指差し叫ぶ。
「――今の私は、哀と悲しみの王女、BlaMagユーディワン」
静かに告げる彼女の姿は、癒やしの
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「――ひ、ヒビキ、その姿は、一体――?」
驚くシンクに微笑するヒビキ。
「――え~~っとね~~、2年前に~~、美月ちゃんを倒して~~、ゴスゴスを滅ぼしたんだけど~~」
「な!?」
「滅ぼし……た……?」
「去年だったかしら~~、宇宙からココム帝国って人たちが~~攻めてきて~~」
「は!?」
「う、宇宙……?」
「いきなり太陽に放り捨てられちゃって~~流石にもう駄目かな~~って思ったんだけど~~」
「うぇ!?」
「た、太陽って……(( ;゚Д゚)))」
「なんかよく判らないうちに~~、このベルトがピカーって光って~~、気が付いたらこんなになってたの~~」
「えぇー!?」
「き、気が付いたら、って……」
「まぁ~~ココム帝国滅ぼしたら~~、この姿はもういいかなって思って~~、封印してたんだけど~~」
「ちょ、ちょっと!!」
「そっちも滅ぼしちゃったんかい!!」
なんかTVシリーズ2年分はありそうな内容をあっさりと5行で片付けてしまったヒビキに流石に一同、ドン引きしている。
ローディムーンに至ってはゴスゴスが滅びていた事実が受け入れ難いらしく、何やら虚空に向けてぶつぶつ言っている。
「そんな訳で~~これは治癒能力と超能力に特化した姿なの~~。ちょっと派手かな~~って気もするんだけど~~」
そんな一同にお構いなしに説明を終えるヒビキことBlaMagユーディワン。マイペースっぷりは健在である。
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「――なぁアンタ、なんだって敵の俺たちまで助けた?」
不意に頭上の高いところから声がした。
一同が見上げるとそこには先程BlaMagユーディワンの治癒光線ですっかり回復したトラファミゴスのうち一体、ルーパートが困惑した顔でこちらを見下ろしている。
「え~~っと~~、あれだけ一生懸命戦ってたのに~~、あの仕打ちは可哀想だったし~~、あなたたち、そんなに悪い子だと思えなかったし~~」
「――あの巨体に対して"子"とか言ってるんだけど(^^;」
「恐るべしはヒビキの母性本能、だな」
その言葉に一瞬きょとんとなったルーパートだったが、やがてふっと表情を緩めると、
「――はっ。どーにも参ったねこりゃ。アンタが相手じゃ勝てる気がしねーわw」
「――そうね。助けて貰ったことだし。完全に私たちの負けよ」
ルーパートに続いてもう一体のリーダー格アガーテもそう宣言して微笑んだ。
「これから、どうするの~~?」
「ま、幸い身体は頑丈だし、紛争地やら被災地やら巡ってボランティア兼ねて巡回公演でもやるさ。このガタイなら歌以外でもちったぁ役に立つだろうしな」
「まぁ~~!! いいわね~~!!」
「なんかこっちの方が向いてる気がしてきたよ――アンタのお陰だ」
「ローディムーン様、そういう訳で、今までお世話になりました。私たちは行きますが、ご活躍をお祈り申し上げます」
漸く再起動したバトルラッパーズ達とも「頑張れよ!!」「いいバトルだったぜ!!」などと握手を交わしつつ、7体のトラファミゴス――トラップファミリアゴス達は飛んでいった。
暫し後、各地の紛争地で歌いながら「紛争ヤメロ!!」と威力介入する私設武装合唱団「虎っぷファミリア合唱団」伝説の、これが序章であったと後世に伝わる――。(麟民明書房刊『虎と菩提樹~戦う合唱団の伝説』より)
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「――はッッッ!? 待て待て待てーッ!!」
あまりに衝撃的なヒビキの話に茫然自失していたローディムーンだったが、漸く我に返った。
「あ、こっちも再起動したw」
「随分とフリーズが長かったではないかw」
「だ、黙って聞いていれば、貴様らッ!! なんかいい話っぽく纏めたが、我は騙されんぞッ!!」
「あ、バレたw」
「大人しく退散してくれればいいのにさぁ~☆」
「
ローディムーンの一喝でこちらも我に返った他の巨大怪人達が再び攻撃を開始する。
再び銃弾と怪光線の阿鼻叫喚と化す鹿苑寺高校。――これ、もう休校どころか廃校じゃね?
「そもそも学校の校庭に採石場とかあったっけ?」
「言うなミサ、そこはお約束なので突っ込んではいかん奴w」
「二人とも、そんな暢気なこと言ってる場合じゃありませんよぅ(´・ω・`)」
「ボーットイキテンヂャネーヨ!!」
往年の機械式計算機に見える胴体に昭和30年代のブリキのロボットのような手足と虎の頭部が付いたカリキュレゴスがミサイルを乱発しながらギッコンバッタンと歩いてくる。背中に巨大なゼンマイの取っ手があるのは何だろうか。胸部のスピーカーから「シャバドゥビドゥバ・シャンララン」というコーラスが聞こえているのは入場テーマのつもりなのか。
「これのどこが虎なんよ?」
「機械式計算機でggrksと天の声が仰せだ」
「タキタテー!!」
昭和の炊飯器のような円筒状の胴体の蓋が開いたような身体に虎のような手足が付いたスイハンジャーゴスが体内から巨大な米粒状の榴弾を雨霰と降らせる。白い湯気が立ち上りとても美味そうな香りが鼻腔を擽る。
「――そういやもうすぐお昼」
「お腹空いたねー☆」
「おぉ、お米が立っている!!」
「シンクちゃんそれシャリやない、榴弾や」
「ヨーカーン!!」
細長い直方体のみで構成された身体と手足のヨーカンゴス。両手の先から巨大な小豆状の爆弾を散布する。
「じゅる――ご飯の後はデザート」
「元ネタの方々から怒られねば良いが(^^;」
「テンテンー!!」
こちらはテンフォーゴスは某林檎社のG5本体に似た鈍く銀色に輝く本体に大きく囓り賭けの林檎のようなマークがある。
「OS10.4 Tigerというオチかw」
「これ流石に訴えられんじゃね?」
「ハイトラー!!」
先のテンフォーゴスがフルサイズタワーPCとすれば、こちらは薄型ノートPCとでも言う胴体をパタパタと動かしつつ迫るハイトラゴス。
「んー……これは……伝説のノートPC、DEC Hi-Note Ultra、通称ハイトラか!!」
「作者もそろそろネタが尽きてきたな……」
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「とは言うものの、どうしたものか――」
「バトルラッパーズは再起動しましたけど、エネルギーが心許ないですわよ」
「マジめっちゃピンチじゃね?」
「流石にこれは無理ですよぅ(´・ω・`)」
「困ったわね~~」
と、頭を抱える一同を見渡し眼をキラーン☆と光らせたヴィー隊員。
「――デュフフフ、やはり大トリはボクのようだな( *`ω´*) ≡3」
彼女は学校の裏山に向かって叫ぶ。
「目覚めよ……目覚めよ……RAIDEEN!!」
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次回、『一本刀
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-dB 40 30 20 10 5 0 2 4 6 8 +dB
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えー……怪人のネタもそろそろ尽きてきました(^^;
だがまだアレも無い!!コレはどうした!?と思った貴方、ふっふっふ……それは後のお楽しみ。
尚、ヨウカンゴスの元ネタの羊羹は作者の母の大好物であります。また送ってねー、弟よー!!(おぃ
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