tr.12 ラップdeファイト!! ラッピングバトル7×7 (後篇)
「YO! YO! そこのオネーチャン! 顰めっ面じゃ愛嬌台無し! 折角のオシャレも甲斐無し!」
『驚異の胸囲は元々無ーし!!』
先に仕掛けたアキラのRAPに合わせて後ろからコーラスを入れる軽トラ四人衆。
最後のコーラスにピキッと青筋を立てたローディムーン。
何故か味方側のソニア、シンク、ヴィーまでダメージを受けている。
「
「――ソニア、言うな。余計哀しくなる(´・ω・`)」
「――大丈夫、ボクまだ成長期。ワンチャンばいんばいんに――」
バトルラッパーズに怒りの電流を迸らせるソニアの肩に手を置き首を振るシンク。ぶつぶつと独り言を唱えるヴィー。
「みんな~~どうしちゃったの~~?」
「ふんッ!! 貴様なんぞに持たざる者の気持ちが解るものかッ!!」
首を傾げるヒビキの胸の辺りを睨み付けて悪態を吐くローディムーンに何故か同意するように頷いている先の3人。
「はーっはっはっは!! 驚異的な胸囲はヒビキ隊員の専売特許ぉーっとくらい♪」
「――司令、それ流石にコンプライアンス案件ですよ?」
昭和のエロ親父なノリで哄笑する雨音指令に投げる六花秘書のジト眼がオホーツクの流氷レベルに冷たい(^^;
<< □ |> ○ || >> ♪ちゃーらららー、ちゃっ!!(アイキャッチ)
「ふ、ふんッ! 仕切り直しだ。――さぁみんなっ、いっくよーっ♪」
『
「おぇ☆」
「何回見てもあのノリは寒気が……」
「マジで人格分裂してんじゃねぇかアレ」
「うたのおねぇさんみたいね~~」
「――ではっ、
さっと指揮棒に見立てたサーベルを振り上げるローディムーン。
『♪昏い空~ with sound of scream~ 滅ぼすの この世界~』
「うっ!?」
「なっ!?」
「えぇ~~!?」
トラップ……もといトラファミゴス合唱団の歌が始まった途端、皆が耳や頭を押さえる。
『♪邪魔者は~ with sound of scream~ 今日も全て殲滅~』
「うげげ……なんか頭、痛くね?」
「耳もキンキンしますよぅー」
「こりゃアレだな、こないだの超音波兵器の同類と思われ」
『♪私の心 魔王になり 羽ばたいて行くの 大嵐に 聞こえるわ 叫喚の声~』
「い、いかんっ!! これは前回の奴より強力だぞ!!」
「し、司令、どうします!? クラリオン音波砲は――」
「――いいねぇ!! この対バン勝負、受けて立つぜぇーっとぉ!!」
皆が頭を押さえて突っ伏す中、タツヲの声が響き渡る。
「愛する音楽を邪道に使うなんて、天が許しても姉さんは許さないわよっと!!」
グラっちも元気に相槌を打つ。
「……」
相変わらず無口なキングがズダダンっ!!とドラムを響かせ、それが合図となった。
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「♪さぁ始まるぜ対バンだい! 景気はどうだい? What's up? 儲かってまっかー!?」
グラっちの軽快なギターのイントロに乗ってタツヲがシャウトする。
「♪ぼちぼちでんなー!!!!」
お約束の合いの手を入れるのは後方の軽トラ四人衆。
「♪ここはウチらのパラダイス! 忘れかけてるspirits! Gokkigen,宜しおまんなー!!」
リードヴォーカルを替わったグラっちがシャウト!!
『♪No more,invasion! 鬱endのように 何もかも
ここでタツヲとグラっちのデュオ!!
「おぉ、これは往年のバ○ビ○ボ○イズのような――」
「司令、喩えが昭和過ぎてよく解りません」
「な、何を言うか六花くん!! バ○ビ○ボ○イズは平成まで活動していたぞ!?」
「どちらにしても私、その頃は生まれてませんよ?」
六花秘書の至極当然な返しに拗ねて「これだから最近の若いモンは――」と独り呟く司令。てかアンタも同い年やろがいw
「――何故ここでNTR?」
「――言ってみたかっただけ、だと思いますわ」
シンクのごもっともなツッコミに溜息を吐くソニア。
「そういや、頭痛消えてね?」
「あ、耳鳴りもですよっ!!」
「怪音波同士が相殺したんだろうなこりゃw」
ヴィーの発言を耳聡く聞きつけたグラっちが「怪音波言うなぁー!!」と叫んでいるw
<< □ |> ○ || >> ♪ちゃーらららー、ちゃっ!!(アイキャッチ)
『♪ドは奴隷のド! レは冷酷のレ! ミは皆殺し! ファはFuckin'のファ!』
『♪藁www to the 侵略! 藁www to the 圧力! 俺たちの藁wwwを聴かせたい~』
『♪貴様らはどんな奴かしーら? "単細胞" "木偶の坊" "独活の大木"』
『♪次元を駆けるTranceform! 熱い想いを乗せて 悪人と馬鹿者を ぶちのめして逝けぇぇー!』
『♪潰せいざ あの敵 恐れを捨てて進み征け 進めいざ 我が道 彼方にある支配の夢』
『♪まだ忘れたわけじゃないんだze☆ あの時の変形を~』
「……なぁソニア、我々は一体何を見せられているのだろうか?」
「……仰らないで、シンク。
「みんな歌、上手ね~~」
「ヒビキパイセンはマイペースだね☆」
「流石はヒビキちゃんw 安定のメンタル」
ここで攻守交代、バトルラッパーズが先攻になる。
『♪Come on vehicles! 命の限り 我が主を 護り続ける Tranceform for you~』
『♪さいなら、あばよ、オネンネしやがれ、永遠に~』
『♪さいでっか? さいでっか? そいでえーのんか? そーやねん! そーやねん! そいでえーちゅうねん!』
『♪えーでんなー えーでんなー 極悪の華よー』
「あ、関西弁が
「ここだけ聞いていると殆ど漫才だなwww」
ヴィーとシンクが笑いを堪え、ソニアは頭痛を堪えているw
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――そして双方、歌うも歌ったり3時間。
巨大怪人と巨大ロボが肩で息をしている。
ぜいぜい言うのが落ち着いて、互いに目が合ったその瞬間――。
「へっ、悪の怪人って奴ぁイケ好かねぇのばかりだと思ったが、なかなかやるじゃねぇか」
「ふん、そちらこそ、機械人形にしては歌心が解ってるようね」
双方、がっちりと握手をした。
これには一同仰天、目が点になる。お約束通りに戦闘員の皆さんはずっこけた。
「……な、な、何を……やって……」
ローディムーンはあまりのことに酸欠の金魚のように口をぱくぱくさせている。
「――これってそういう話でしたっけ?」
「ボクに訊かれてもwww」
「まぁ~~みんな仲良くなれて良かったわ~~」
「ヒビキパイセンはブレないなぁ☆」
「なぁマリア先生、こいつらそんなに悪い奴らでも無いぜ?」
「
猶も感極まってあれこれ言い募るトラファミゴス達に、俯いて肩を震わせていたローディムーンだったが――。
「……ぶわっかもーーーん!!!」
突然叫び出すや否や、彼女の全身から怪光線が迸る。
それを浴びたバトルラッパーズの面々は煙を噴いて機能停止してしまった。
怪光線はトラファミゴス達にも降り注ぎ、全員が同様に倒れてしまった。
「……えっ!? 何!? どうして味方まで――!?」
己が配下まで打ち倒したローディムーンの所業に狼狽えるマキ隊員。
「当然の仕置きじゃ、愚か者共がっ!! 選りにもよって敵と通じるなど!!」
「――それだけでここまでやるのか」
シンクが怒りを顕わにする。
「裏切りは死あるのみ!! 我がゴスゴスの鉄の掟であーる!!」
無い胸を反らし誇らしげに宣うローディムーン。
「ちょっと皆さんっ! 大丈夫ですのっ!? 返事をなさいっ!!」
ソニアが珍しくおろおろして、絶賛機能停止中のバトルラッパーズに向かって叫んでいる。
「――そんな。折角仲良くなれたのに」
俯いてぽつり、と零したヒビキ。
「馬鹿か貴様はッ!! 敵と仲良くだなどとまだそんな世迷言を――」
「美月ちゃん、私、とっても悲しい――」
とても悲しげにそう言ったヒビキこと仮面レコーダーBlaMagの体が青く光った――。
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「結局、今回は歌ってただけというwww」
「それなwww 流石に次回はバトルになるんじゃねぇか?」
「にしても合唱団 vs ロックバンドってw」
「良くも悪くも元ネタに忠実ではあるなぁ」
「それはそうと最後のヒピキ先輩の様子が気になるんですけど――」
「うふふ~~それは次回のお楽しみよ~~?」
次回、『哀と悲しみの
[L] ||||||||||||||||||||||||||
-dB 40 30 20 10 5 0 2 4 6 8 +dB
[R] |||||||||||||||||||||||
……ふぅ。
実は今回、一番時間を喰ったのが替え歌パートでした(^^;
特に敵側。原曲の訳詞があまり無いのもあり、原曲聴きつつ適当にでっち上げたのもあります。
判る方にはバレバレだと思いますが、バトルラッパーズは『マクロス7』、トラファミゴス達はまんま映画『Sound of Music』の劇中歌が元ネタです。
どれがどの歌か判った! という方は感想欄にでもお知らせ下さいませ。
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