その後

 彼女とこうして歩いて、どれくらい経つだろう。


 絶え間なく降り注ぐ雪の中、それなりに防寒対策をしているというのに、僕らの身体は小刻みに震えている。

 寒い、と言えば寒く、だけどこの震えは、それだけが理由ではなく。

 しっかりと繋いだ彼女の手だけは、とても温かく、ほんの少しだけ安堵を得られる。


 ──本当にこれでいいのか?


 何度目かの問いを、自分にする。

 もう、引き返すこともできないのに。


 ──本当にこれでいいんですよ。


 何度目かの答えが、隣からした。

 口に出してはいなかったはずなのに。

 視線を向ければ、彼女が優しげな眼差しで僕を見ていた。


 ──あなたの考えていることなんて、お見通しですよ。


 笑った顔が、今にも泣き出しそうにも見えた。


 ──あなたといられるなら、どんな所でもいい。


 繋ぐ手に、力がこもる。


 ──そうだね、行こう。


 僕らは歩みを止めない。

 二人が一緒に、

 引き離されることなく、

 一緒にいられる場所に辿り着く、

 その時までは。

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