さいごのひに

 人生最後の日に、あなたは何を食べたい?


 たとえば本で、ドラマで、知人に直接訊かれたりするそれ。

 偏食家の自分としてはどうにも思い浮かばない。

 好きな食べ物もあるにはあるが、飽きっぽい性格も相まって、食えれば何でも良くね? というのが正直な所。

 てか、人生最後の日に、食べ物を食ってる暇はあるのか? とも。

 人生的にどうでもいい質問だったりするけど、暇な時、何となく考えた。

 答えにくい質問なら、答えやすい質問に変えればいいか。


 じゃあ、改めて。

 ──人生最後の日に、自分は何がしたい?


 なんて訊かれたら、答えられる。

 な~んにも、したくない。

 ゴロゴロゴロゴロ、怠惰に過ごしたい。

 好きなものを読んで、

 好きなものを観て、

 好きなものを聴いて、

 そんな幸せな時間を過ごした上で、最期を迎えたい。


 だけど、そんな暇を与えられないというなら、

 せめて、これだけは叶えさせてほしい。

 他の何もかも諦めるから、せめて、そうせめて、


 ──世界で一番好きな、あの人の声を聴いていたい。

 さいごの瞬間まで、ずっと、ずっと──

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