(自薦) なにはともあれ、自分なりにやってみる。

 書きたいと思うきっかけはいろいろあるが、もっとも多いパターンは人の作品を読むなり見るなりして「自分だったらこうする」と思うことだろう。


 特段新しい切り口だとか、斬新な展開だとかを思い付くわけではない。「こういう設定であれば、己の手癖でこうなるだろうな」というのを忠実に再現してみせているだけだ。


 だが、やはり実際にやってみると、予想外の部分も多く出る。勉強不足も痛感するし、キャラクターが暴走を始めることもしばしばだ。


 そういったある種のアクシデントを期待して、また、同じくらい恐れつつ、創作活動に向き合っている。大仰な書きぶりではあるが、間違いなくそうなのだ。


 というところでこちら、祖父江なりの『異世界転生ファンタジー』を書いてみた結果である。ご笑覧いただきたい。


『勇者狩り』https://kakuyomu.jp/works/1177354054885186226


最強チートを撃て


〇作品概要


“人命が軽視された所では 時には殺人が金になった そこで 賞金稼ぎが生まれた”

 ―――セルジオ・レオーネ(映画監督)



 勇者によって魔王が倒され、平和が訪れた世界クリサリアだったが、それは人知を超えた異能力を手にした異世界転移者たちによる圧政・暴政の始まりに過ぎなかった。


 “勇者狩り”を生業とする賞金稼ぎのビリーは、ある日、一人の勇者マコトに捕らえられ、衝撃的な依頼を受ける。


「狩って欲しい勇者がいます。クリサリアの王であり、私の兄でもあるシリズ・バーゼです」


 剣と魔法と銃の世界。異世界ウエスタン開幕。



〇ビト氏に頂いたレビュー


Title:暴政の荒野に響く、一穴の弾丸


勇者シリズによって魔王は倒された。

だが、女神から異能を賜った勇者たちは、欲望のままに力を振るう。


圧政に抵抗する賞金稼ぎたちは勇者を狩る。

無敵とも思える異能を、如何にして攻略するか。

緻密な戦略、練り上げられた技術、勝利への執念、戦い抜く覚悟。

チートに胡座をかいた悪徳勇者どもをぶっ飛ばせ!


殺伐としたウエスタン・ハードボイルドの世界。

賞金稼ぎの戦いだけではなく、勇者たちの成長も魅力です。


さあ――――戦う覚悟はよろしくて?



〇書き始めたきっかけ


 まず、タイトルとキャッチコピー、作品概要がシンプルに決まったところに満足している。こてこてとした仕掛けを弄さず、「いわゆる西部劇のガンマンが、いわゆるチート能力者を倒していきます」と一行で説明できるものになってくれた。


 概要のところで、これまた分かりやすく、マカロニウェスタンの傑作『夕陽のガンマン』の冒頭メッセージを引用させてもらった。その他、気付く人は気付いて頂ければと思い、祖父江の好む西部劇の要素を散りばめた。また、なかなかに奥の深い西部劇映画に少しでも興味を持ってもらえれば幸いである。


 さて、冒頭書いたように、これも、異能を授かり異世界を冒険する類のファンタジー作品を読ませてもらって「自分ならこうする」と思い、書き始めた。


 まず、超が付くほど強い能力者は主人公にしないだろうなと思った。


 無双の強者は、倒されるためにこそ存在すると思っている節があるのだ。


 なので、チート異能転生勇者の皆さんには悪党/悪玉を演じて頂いた。


 完全無欠の異能を揃え、逆に異能が完全無欠だからこそ使用者の方は未熟なままで修行も研鑽けんさんも成長もできないだろうと思い、そこから打開策を探った。


 以前書いたように、祖父江はプロットなど書けないので、毎話「どうやって倒すんだこれ……」と一旦頭を抱える作業を繰り返していた。


 何のことは無い、チートにもっとも振り回されていたのは、悪徳勇者ではなく、作者であった。見切りでしか発車できない機関車がこの世にはある。目的地? 後は風に聞いてくれ。


 この物語は二部構成となっており、一部と二部とでは、かなり色が変わる。ここがまさに、想定を超えて自分の中で作品が大きく膨らんでくれた部分で、まったく予期しない叙情的なラストになった。


 こういう思わぬ驚きがあるので、自分で書いてみたくなるのである。


 

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