外しつつも王道の、学園異能ライトノベル。
いわゆるライトノベルと呼ばれるジャンルにおいて、学校という場所は大きい。
舞台として選ばれることが多いという概念的な意味だけでなく、物理的にも校舎が大きく、敷地が広く、生徒の自由度が高く、先生の存在感が薄い。
あと、生徒会というものが無駄に強大な権力をほしいままにしている。
冷静に考えれば、いらんだろ、たかが三年ぽっちで卒業する学び舎に、であるが、なかなかどうして、バカにできない。
それだけ、我々日本人に刺さる要素を、学園が備えているかもしれない。
というわけで、カクヨム学園巡り。記念すべき一校めである。
『俺が無双できないのはチートな生徒会長様のせいだ』作・ザンブン(敬称略)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054891672552
☆やり過ぎチートは、もはやコメディー。学園最下位の俺が1位の彼女を守る?
〇作品概要
会長にからかわれたり、クラスメイトとバカやったり、会長に投げ飛ばされたり、他国のエージェントと戦ったり、会長にセクハラを受けたりします。
【あらすじ】
東ニホン魔法高校の新入生最下位の少年には秘密があった。
その正体は、『魔法狩り』として裏社会で恐れられているステイツ政府のエージェントで、対魔法使いのエキスパート。
彼の任務はランキング1位の生徒会長の護衛だった。
しかし彼女はお茶目で、儚く、そして絶対的な強者だった。
「あれっ、俺いらなくね?」
最強の生徒会長に振り回される魔法×学園ストーリー、シリアス:コメディー 1:1でお送りします。
メインヒロインを大切にしたい方
ファンタジーは好きだけど、戦ってばかりだと飽きてしまうという方
永遠の中学二年生
にオススメです
〇祖父江のレビュー
Title:異能力学園バトル物で魔力ゼロなら最強だと思った?
魔法学園、実質的なプロ養成機関のような学校に、エージェントとして送り込まれてきた少年。彼は対魔法使いのエキスパートで、吸血鬼を母に持つ強者だった。
でも、最強ではなかった。ゼロ章までは血と硝煙の臭い漂うモノクロノワールな雰囲気が、ぶっ飛びヒロインの登場で色彩を取り戻す序盤は読みごたえがありました。
王道の中に「シリアス過ぎない」「ハーレムやらない」「ちゃんと主人公を負かす」と、作者の色を出そうとする工夫が感じられます。
ここで個人的な偏見からくるキャラの紹介をします。「マジか」と思ったら読んで確かめてみてください。
〇高宮・
―――特殊な血統、特殊な能力、ヒロインとの因果な因縁で最強主人公街道をホップステップジャンプしていたら、最後にとんでもない落とし穴があった系主人公。
明らかに自分より強いヒロインの護衛任務を「やる意味ある?」とは口に出さずに職務を全うするムッツリ。モノローグではシリアス成分多目で語るがムッツリ。ヒロインと超エキサイティン! して朝まで楽しんじゃう。ムッツリ。
大丈夫、一章終わりで任務やる意味ありました。
〇九重親方
―――今作のヒロインで、第四の壁をやすやすと突破するデッドプール系俺ちゃん女子。「あまりやってると九重親方って呼ぶぞ」と応援コメントで書いておいたら、二章途中でついに超えてはいけない一線を越えたので、無事、親方を襲名した(レビュー者の頭の中だけです)。
彼女の手にかかると襲い来る刺客が回転寿司の皿のように積み上がる。そんな彼女が芙蓉に護衛される意味を知るとき、割と切実な感動がある、かもしれない。本来は九重紫苑という名前。
〇冴島
―――友人キャラ。女子寮の残り湯を飲んでぶっ飛ばされる規範的な友人キャラで、自らに立っているフラグも叩き折り続ける猛者。紫苑が独断と偏見でやった人物紹介でも無事、「誰だっけ?」の名誉を賜った。
(長いので中略)
お約束で進もうとしつつ、キッチリ外してくる辺りはオリジナリティです。この調子で、ガンガン書き切っていって欲しいです。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054891672552/reviews/1177354054893176194
〇予想を外しつつ、芯を食っていく
芙蓉には魔力が無い。つまり、魔法以外の特別な力を持っており、それを駆使し、工夫して戦う無能力系主人公なのである。
が、しかし、だ。
そんな工夫も、力こそパワーな魔力の十式戦車で轢き潰していくのが今作のヒロイン、紫苑だ。
まるで相撲の土俵にライトセイバーを持ち込んでいるかのような反則ぶりで、問答無用で敵を討つものだから、バトルもシリアスも長続きしない。
本作、略称はチーかまと言うらしいが、大体の流れが決まっている。
芙蓉とその仲間たちが問題に直面し、剣呑かつ真剣な雰囲気になる。
↓
「わたしも混ぜなさ~い!」とばかりに紫苑がしゃしゃり出て台無しになる。
↓
シリアスパートよりだいぶ長いコントが始まる。
↓
由樹がボコボコにされるか、ぶっ飛ばされるか、存在を無視される。
作品独自のお約束を作ることに成功しており、安定した面白さがある。
独自の味を出しつつ
まだ連載は続いており、これを書いている段階では、二章が終わり、現在は三章の構想を練っているところだそうだ。
最初期に比べると、一話当たりの文量がかなり多くなったが、その頃には上記したノリに慣れているので問題はない。
更新するたびに真っ先に読む作品の一つである。是非、読んで追いついてきていただきたい。
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