短編であり、大河でもある。

 そこは、どこまでも遠い遠い地平線を望む大地であり、いつまでも透明な夜であり、半球の内側のような空に終わらない星が瞬いている。


 そんな、SF小説を巡る場所にやって来た。


 カクヨムのカテゴリはざっくりとしているし、一口にSFといってもいろいろあるのだが、今回ご紹介するのはまさしく直球な、宇宙へのロマンを語る短編である。


『ウルティマ・トゥーレの大河』作・緯糸よこいとひつじ(敬称略)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054888564478



☆キャッチコピー

タコ型火星人の侵略以外は、半世紀にも満たないちっぽけな人生の物語。



〇作品概要


荒涼とした大地で、私はサバイバルしなければならない。しかし、なぜこんな世界に行きついたのか、私はよく分かっている。



〇祖父江のレビュー


Title:宇宙と日常、ロマンとロマンス


 とりあえずタイトルの『ウルティマ・トゥーレ』について知らなければ検索をかけずに、まずこの小説を読んでみることをお勧めします。


 何しろ、先ほど「そういえばロマンとロマンスってどう違うんだろう」と愚かな検索をしたせいでレビューで何を書こうか失念してしまったアホがいますから。物語が連れてくる感動は検索不能です。


 以下、小説本編について。


 宇宙に想いを馳せ続ける人の、人生の物語。一人称で各時代の事件や宇宙的な発見、出来事とともに、やたらと天文学的に物事を捉えたがるユニークな思い出話が続いていきます。


 第三宇宙速度を超えた先のロマンと、地に足のついたロマンス。宇宙と日常、二つの車輪が辿り着く先に、検索を超えた爽快感があります。



〇作者について


 面白い短編というのは語れない。


 語ろうとすれば、本編をそのままここにコピー&ペーストだ。即、お縄である。


 つまり「読め」としか言えないのである。心苦しさは、まさに無酸素の宇宙。


 読め。もう一回URLも貼っておくので、く読まれよ。できれば、読んだらブラウザバックで帰ってきてほしい。強制はしない。


 https://kakuyomu.jp/works/1177354054888564478




 …… …… …… ……。



 お読みになられたか?


 うむ、そういう話であった。


 空高く、広がり抜いた視点が、ただ一点に収束していく爽快感。


 作者は、こういったSF短編の書き手である。


 適当に検索していたら出会ったのだったか。


 現在も精力的に短編を執筆しているようだ。


 おすすめは、ご本人も書かれているが『緊急怪獣速報』 https://kakuyomu.jp/works/1177354054885918039


 怪獣が、地震津波台風と並ぶ災害となった世界を描く。


 面白くないわけがない、と、思った。


 なんなら、祖父江もその題材で一本未発表の短編がある。


 アイデアはまた少し違ったが、大変興味深く、面白い物語であった。


 また、どうやら、以前当日記でも紹介した岩井喬氏の小説に触発されたそうだ。


 思わぬつながりが垣間見えるのも、面白さだ。


 この『緊急怪獣速報』も、読もうと思えば数分で読めてしまう。


 うむ。


https://kakuyomu.jp/works/1177354054885918039


 多くは語るまい。評論の百文は一本の小説に劣るのだ。

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