怪獣にはうるさい。
のっしのっしと闊歩する。ビルも家も道路も揺れる。火も吹くかもしれない。原理はよく知らない。とりあえず吹かせておけ。町を火の海に変えろ。
怪獣短編小説を紹介する。
そこには、破壊の快楽がある。
『緊急怪獣速報』作・
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885918039
☆災害としての怪獣。
〇作品概要
怪獣が上陸中の街並みを、寛太はスクーターでひた走る。
ポケットに捩じ込んだスマホからは「緊急怪獣速報」の不快な警告音が鳴り響く。
彼が危険を冒して、被災地に留まる訳とは──。
【アドバイスを頂けると嬉しいです】
岩井喬さんの「怪獣殲滅デッドライン」に影響を受けて作った小説なので、ここで紹介したいと思います。
「https://kakuyomu.jp/works/1177354054885420014」
〇祖父江のレビュー
Title:大きな怪獣の足の下で。
幼少の頃より無類の怪獣好きだったこともあって、こうした作品には目がありません。怪獣が台風津波地震と同等の災害として扱われる世界? そんなの面白いに決まってます。
怪獣は、伝統芸能。
設定としてはSFの中では割とあるものです。なので、どういった世界観を考察し、お見せしてくれるのかという部分にワクワクがあります。
できる限りネタをばらさないように書くと、某『怪獣黙示録』みたいなやべー雰囲気は、今のところありません。
どこか、非日常を日常としている。イカれた雰囲気が当たり前のように進行する伊坂幸太郎さんの短編のような―――そういえば、伊坂さんの短編にも怪獣モノがありました。
―――閑話休題、怪獣警報が出ているにもかかわらず、街はどことなくすっとぼけた空気で、モタモタと避難する人々や、怪獣に家族を踏み潰される人、生きてる人、死んでる人、救われたり救われなかったりする人がいる、まぁつまり、“普通”の世界です。
応援コメントに「ある種の共存共栄、コバンザメみたいな人類」みたいなことを書かせてもらいました。
どこまでも自然の中の人類。怪獣が出てもそれなりにやっていくのかなと、重低音のような無常観が貫く中に、パッと“燃える”瞬間があり、決して人間を突き放さない優しさを感じました。
〇なぜ、怪獣なのか
以前、『ウルティマ・トゥーレの大河』で紹介した緯糸氏、二度目のご登場である。今作も短編であり、心に残る秀作であった。
作品概要にある通り、こちらも当日記でご紹介した岩井喬氏の小説に触発されて書かれたとある。怪獣は怪獣を呼ぶ。キングギドラが暴れていたら、当然ゴジラも現れるように。
何故、怪獣は我々の心を捉えるのか。
最初に書いたように『破壊の快楽』があるからだと思っている。
たとえば、大きなビルの爆破解体映像など観ると、スッキリしないだろうか。
長年放置されていたボロ屋敷がショベルカーで壊され、更地になっていく。一抹の寂しさと共に、「いいぞ、もっとやれ」と思わないだろうか。
人間には、『有が無になる』ことに快感を感じる機構が備わっている、かもしれない。怪獣がもたらす無慈悲な破壊は、そこを刺激するのではないか。ほら、台風が来ると無意味にテンションが上がったり―――
いかんな。
いつにも増して、作品とはあまり関係のない一人語りを繰り広げてしまった。戒めねばならん。
今作は、この手の特撮作品に登場する、怪獣に不気味な憧れを抱き、崩壊に悦楽するクソコテ野郎(女性も含む)は出てこない。
ではどういう話なのか。
読めば分かる。グッとくる。怪獣小説にようこそ。
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