可笑く怖くかなしくて、夕闇色のほのぼのホラー。
今日もひとりカクヨムを歩く。
気が付くと、影が長く伸び、陽が暮れたことに気付く。
知らない間に暗くなった街が、少しだけ怖かったことを思い出す。
恐怖というのは、どうしようもないものだ。
踏み出すことをためらっていても、いざ歩き出しても怖い。
そんな、夕闇色のホラー作品を見つけたので、ご紹介する。
『夢漏れの小径』作・ビト(敬称略)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885421581
〇作品概要
めがさめると、わたしはそこにいた。
くらくひろがるよるのまち。
夜の町をわたしは歩く。
暗い世界の中で、たくさんの不思議なものに出会った。
仮面のユメ。
メ。
ゲジゲジ。
七不思議。
化けハサミ。
大きな小鳥。
ブリッジの姉さん。
骸骨列車。
のっぺらぼう。
灰色の無個性。
そして。
この夜の町は、なんなのだろうか。
わたしは進む。
この道の先で、ユメモレさんが待っている。
あの、天高く聳える塔を目指すのだ。
〇祖父江のレビュー
Title:ちょっとばかり調子っ外れな、怖くて優しい真夜中散歩。
在野のフリーホラーゲームに目がありません。尖った個性と作家性。ちょっぴりチープなドット絵や、調整のグダグダな難易度も愛おしくなってきます。
一人の女の子が、様子のおかしな夜の町をさまよい歩く本作は、そういった精神性を感じる装いです。。
わけも分からず、女の子に殺意100%で向かってくる怪異から逃げ惑う。一発食らえばゲームオーバー、人生の残機は一個だけ。電源ボタンはあるかもしれんがリセットボタンはありません。
たとえ、状況がどんどん悪くなる予感がしても、立ち止まることも戻ることもできず、前に進むしかないという恐怖です。ただそこを歩く怖さと面白さ。
しかし、『夢漏れの小径』には一見変なお助けキャラも多数いてくれます。また、某少年漫画のライバルキャラの如く、敵と思ったら次には味方をしてくれます。
「これは一体どういうことだ。分かんないけどとにかくチャンスだ」とばかりにガンガンいこうぜプレイを敢行する女の子のモノローグも、無力な割になかなか不敵です。
この作風であれば、謎を謎のまま放置することも可能ですが、キッチリと回収され、後味は人それぞれでしょうが納得のできる結末が用意されています。
興味の出た方は、是非読んでみてください。少し怖くて優しい夜の散歩に出かけてみましょう。
〇作者について
祖父江が企画した『完結済み小説、読み切り合い』にご参加いただいた縁で出会った。
ちなみに企画の内容は「フォローしたが最後、終わりまでちゃんと読むんだぜメーン」という高圧的かつ挑発的なものである。またやるかもしれない。そのときは奮ってご参加いただきたい。
今作『夢漏れの小径』では、某探索ホラーゲームに着想を得たと思われ、そこからオリジナリティを発揮していった。
具体的には、主人公の内面世界が強く出る辺り。ただ理不尽に、主人公を殺すためだけに襲ってきたと思われた怪異、現象、敵たちに、意味と意思と想いがあったことが紐解かれていく。
いわゆる、“考察系”と呼ばれるホラー探索ゲームの装いながら、小説らしい回答が用意されている作品、と言えるかもしれない。
ややジャンルは違うかもしれないが、ゲーム小説の一種と思われた冒頭、序盤中盤の謎多き展開が、終盤にかけて「そういうことだったか」となっていくカタルシスのある小説だった。
それと、タイトルにも、ひとつ捻りを持たせてあるようだ。
真相は、読んで確かめて欲しい。
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