深淵がこちらを覗く時

 ケーキ大好き満腹魔女の森を抜けると、深い闇の穴が顔を出した。


 ここは恐らく、カクヨムの深淵。


『自殺について』作・Unknown(敬称略)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054891601861


〇作品概要

 自殺をテーマに、無職の生活を記録してます。



〇信頼できない語り手のエッセイ


 『エッセイ』は、カクヨムが網羅するジャンルの中で、ひときわ粘性の高い作品が揃う印象がある。


 祖父江もそこで随分長いこと書いている作品があるが、あまり日常に則したネタでもないため、それほど粘り気も湿り気もない。カラッとした闇だともっぱらの評判だ。……うむ、闇ではあるのだな。


 さて、当作についてなのだが、語ることが非常に難しい。


 祖父江は☆を付けた作品のほとんどにレビュー文を添えているが、六つだけ、書けていないものがある。そのうちの一つが、このエッセイ(?)だ。


 概要を読む限り、ある種の断崖を生きている人のエッセイだろうと思われる。


 、だが。


 …… …… …… ……。


 ここいらで『サイコ』や『世にも奇妙な物語』のBGMなどかけると、雰囲気が出るかもしれない。各人で用意されたい。


 要するに、このエッセイ、嘘かもしれないのだ。


 それというのも、本人がそう書いている箇所がある。


 まず、2019年12月から「みゃう」氏なる人物と懇意であり、結婚したい旨が書かれている。


 が、Unknown


 BGMのボリュームを上げたまえ。


 後に実際に会うことになったらしいのだが、この時点ではない。だから、みゃう氏との“思い出”なる描写はすべて虚飾である。


 次に、67話(2020年1月6日)から、とある女性と同棲していると語っている。


 が、


 80話で創作であることが告白されている。


 お分かりいただけただろうか。


 これは、エッセイではないのだ。


 いや、細かい定義は知らんので、創作エッセイというのもあるのかもしれん。


 ただ、概要の「生活を記録している」というのとは、やはり違う。


 頭の中にあるものを取り留めなく放出した、文章の溜池だ。


 混沌が混沌としたまま、整理されずに存在している。


 ああ、もう怖いBGMは切っていい。流してすらいないと思われるが。


 なんというか、実験文学とでも呼べる様相を呈しているのだ。


 長らく更新がない。


 入院されたと書かれているが、それが本当かどうかは分からない。


 そもそも、Unknown


 ―――やめておこう。


 深淵が、こちらの物見遊山ものみゆさんに気付く気配がした。

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