久しぶりに訪ねてみたら
誰にでも、書くペースというものがある。
祖父江は決して作者を焦らせない。
とはいえ、だ。
長らく更新がなかった小説が、また息を吹き返しているのは喜ばしい。
今回は、現在連載中の作品に焦点を当てたい。
『彼の地を目指して』 作・おとーふ(敬称略)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054886896675
〇作品概要
……第一部のあらすじ……
アルク。それは、遥か昔に勃発した『聖魔戦争』が遺した負の遺産である――。孤児院で働くしがない少年リョウは、ひょんなことからアルクに隣接する王都エルディアに行くことになる。仲間たちと共に日夜アルクに潜る中、次第に原因不明の出来事が彼の身の回りで起き始める!
〇祖父江のレビュー
Title:がっしりとした土台の上に築かれた、遅行性のハイ・ファンタジー。
※7-後編まで読んだ感想です。
じっくりと考え抜かれた設定のファンタジー小説。3話から4話にかけて、一年一ヶ月ものロングパスを執念で通した作者に敬意を表し、やや早めですが、レビューを書きます。
とある孤児院にて暮らしていた少年リョウ。彼が孤児院の閉鎖をきっかけに、憧れていた王都を目指してケットシー少女とエルフ少年を伴って旅を始めます。
それが、どうにもきな臭い。
彼に旅を薦め路銀を渡してくれた孤児院のシスタークレア(セイレーンのハーフ)には、何やら一物ありそうな雰囲気だし、リョウも、道中、なにやらまがまがしい力を発現したり、記憶が歯抜けになって至り、どう見ても普通の男の子ではありません。
そして、新たに仲間になった女天使カスピエルもそうです。
かつて、天使と悪魔が戦争をしたという世界では、勝利した天使側が情報を統制し、悪魔への憎悪を不必要に煽っているとまで言われます。
あれ、これ、全員信用できなくね? 全員悪人? まさかの異世界アウトレイジですか?
と、とにかく先が気になる内容となっております。
不自然なほど繋がっていないプロローグと一話は、当然、後の伏線になってくるはずなのでしょうが、それが何なのかは、まだ分かりません。
今ならまだ間に合います。腰を据えて、読んでみてください。
〇作者について
レビューにも書いたが、更新日を見ると、2019年2月の次が2020年3月。一瞬、一ヶ月ぶりの更新かと思って二度見するやつである。
一年一ヶ月のロングパスを、執念で通した。か、どうかは分からないが、氏のペースで、これからも書き続けてもらいたいと思う。
確か、前回紹介したもってぃ氏の繋がりで、読みに行ったのだと思う。
同好の士とはまさにこのことというか、SFとファンタジー、畑はやや違うとはいえ、両氏とも、地に足のついた細かな設定と省察がある作品を書かれている。
たとえば、途中、異形の怪物が登場するのだが、この世のものならぬ不気味さを醸し出すために、話し言葉がロシア語で書かれており、「もしや」と思って祖父江がDeepL翻訳に突っ込んでみたところ、見事、意味の通った会話として翻訳できた。
十話程度先まで書かれているが、じっくり推敲しながら更新していくそうだ。
『彼の地を目指して』は未完の長編であるが、何本かの考察甲斐のありそうな短編が出来上がっている。
祖父江は与えられた文章をそのまま丸呑みにする鵜飼の鵜のような読者であるので、あまりそういったことが得意ではない。
あなたはどうであろう。一度、挑戦してみてはいかがか。
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