アンリの剣
「そ、それでそんなべちょべちょなんですか、カイ様」
アンリは何とも複雑そうな顔でそう呟いた。
「ま、待たせてすまない」
「い、いえ、その……」
ワーウルフ達にもみくちゃのわやくちゃにされながら、俺は何とか抜け出してアンリの前に立っている。
もはや拭き取るのも億劫になるくらい顔中舐め回されて、挙句服も毛だらけだ。
というか今も背後でハッハと息を荒くしたワーウルフ達が『待て』の姿勢で待機しているんだが……再開していいなんて言う気はないぞ?
「あの、その……カイ様?」
「ん?」
「私も、後でいただいてもよろしいですか?」
ぽっと赤く染まる顔でそう言われると、俺の心臓も嬉しそうにトクンと跳ねる。
「シャワー浴びてからでいいならな」
むしろこっちから願い出たいくらいだ。
「……そのままでも」
「え」
さ、流石にそれは……。
「おーいカイっ! いつまで待たせるんだっ!」
「リーダー! 早くまた顔舐めさせてよっ!」
「そうだそうだっ!」
「ああもうこの子たちはっ! しっしっ! カイさん困ってるでしょっ!」
後ろではティキュラの尻尾に阻まれながらギャーギャー騒ぐワーウルフ達。今まで顔舐めを禁止にしていたが、一度タガを外すとこれだ。
ワーウルフ達は思ったよりも狼としての本能を残しており、顔を舐めたがるのもそのせいだ。いやまあ、犬だと思えば舐められるのも別に悪くはないんだが……。
ワーウルフ達は、女だけではない。
「お前らばっかりずるいぞ! リーダー! 俺にもたっぷり舐めさせてくれ!」
「そうだっ! 俺も俺も!」
野太い声で顔舐めたいなんて言うんじゃないっ!
そう、古ゴート族と違いワーウルフ達は半分が雄……いや、男だ。
ワーウルフ達は外見では人間に近いのから、中には顔つきはまるっきり狼みたいなやつまで様々だ。別に狼的な見た目の奴なら男でも舐めさせてもいいんだが……女の子はもっといいんだが。
人間に近い容姿で、かつ男からの熱烈な舐めなめは……ちょっと、な?
「それでも怒らないあたりは流石ですよ」
アンリはそう言って笑うが……い、いや、そんなことで流石だなんだと言われても。
「早く私も……カイ様に追いつきたい」
「アンリ……」
そうして彼女は、真っ直ぐな瞳をこちらに向けて。
「今日も、お願いします」
この場の空気が、いや、彼女の纏う雰囲気が、さっと変わる。
城の前、荒野で俺とアンリは距離を取り向き合う。
彼女のこげ茶色の髪が風になびく。
周りで見物するように古ゴート族やオーク達が見守る中、そうしてアンリは手に持った二本の剣のうち一本を俺に向け……。
「では、行きますっ!」
「ああ、来い」
俺もブルーダラク家の宝剣を手に取り、彼女の気迫を受け止めた。
「やあああっ!」
ダッと駆けるような突進から、流れるような二つの剣閃。
「はっ!」
俺はそれを紙一重でかわし、その隙をつくように一閃。
「ふっ!」
アンリは俺の一撃を片方の剣で受け流し、そのままもう片方の剣でさらなる反撃を繰り出してくる。
そう、アンリは二刀流の剣士だ。
「おおー! いいぞいいぞー!」
「アンリー! 今日こそいけるよー!」
「どっちもがんばれー!」
周りからは、もうこれもお馴染みになった歓声が飛ぶ。アンリの稽古は俺達の娯楽の一つとなっていたのだ。
「はあああああっ!」
距離を詰めた状態からの、二本の剣による息つく暇のない連撃。その攻撃はさながら流星群のように、剣閃はいくつもの光の残像を作り出す。
「いけいけー!」
「アンリー! 押してるよー!」
「カイさんも頑張れー!」
この攻勢にギャラリーも大いに沸いている。見た目が派手な分見ていて楽しいのだろう。
それに、見るものによっては、
アンリは俺が稽古をつける前から、十分に熟練した剣士だった。
二本の手から繰り出される攻撃は変幻自在。そして攻撃ばかりでなくきちんとこちらの攻撃を受け流し、それで次の攻撃につなげてくる器用さ。二刀流の戦い方の基本である、片手で受け、片手で攻撃をしっかりと身につけている。
だが一方で……その戦い方自体は出鱈目だ。
「やあっ!」
まるで素人。防いでくださいといわんばかりの一撃。俺の防御の薄い方ではなく、
「たあっ!」
すぐさま飛んでくる二発目も……剣を知っているものならもっと隙をつく攻撃を繰り出すだろうに。俺は体をひねりながらその一撃も難なく受け止める。
剣術は駆け引きだ。
相手がグーならばパー、パーを出すならチョキというじゃんけんのように、大雑把に言えば『相手に勝つ』手を繰り出せるよう立ち回るためのもの。
そのためのフェイントや、剣を速く正確に振る術を学び、繰り出す。鍔迫り合いから相手の力を利用した引き打ちや、相手の振りかぶる動作に合わせての最速の突きなどは、いかに受けにくい技を繰り出し『確実に勝つ』かを追求して生まれた。
最初から防御のある方向に思い切り剣を打ち込む、なんて論外なのだ。
「それっ!」
そう論外、なのだが……。
面白いことに、彼女は決して『弱くない』。
「ああ惜しいっ!」
「うおお旦那あぶねえっ!」
「か、カイさーん! 頑張れー!」
ギャラリーには俺が押されているように見えるのだろう。いや事実、立ち回りだけを見れば押されているのだ。
「今日こそっ! 一本もらいますっ!」
光る汗を散らせ、整った顔でどこまでもさわやかに、そして楽しそうに笑うアンリに、思わず見とれた。彼女の後ろで一本に結ばれたこげ茶色の髪が、その動きに合わせ、踊る、踊る。
「やあああああああああっ!」
彼女の渾身のラッシュが俺を次々に襲う。でたらめな順序で繰り出される攻撃に、けれど俺はだんだんと受けるのがつらくなってきていた。
剣術が、いかに相手に確実に勝つために立ち回るモノだとすれば、彼女の剣はその真逆だ。
「カイ様っ! 私が勝ったらっ! この後たっぷり撫でてもらいますからっ!」
天真爛漫、とでも言おうか。普段は丁寧口調で俺を様付けで呼ぶが、彼女の剣に触れれば、彼女の本質がもっと自由なものだと分かる。
踏み込みたいときに踏み込んで、引きたいときに引く。その時々の体に合った最適の一撃を最適なまま打ち込む。
大雑把に言えば、それが彼女の剣。
「ホントはっ! あんな狼どもにいいように貪られてっ! 嫉妬してるんですからっ、ねっ!」
「おっ!?」
その感情の赴くままに、心の激情を形にする。鋭い突きや大振りの攻撃で。それは相手に合わせた一撃なんてものじゃない。自分が『したいように打ち込む』一撃だ。
「カイ様はっ! 皆にっ! 甘いんですからっ! もっとっ! 私をっ! 見てっ! くださいっ!」
剣の流れがまた変わった。
彼女の使う剣は、特に工夫のない両刃の剣。古ゴート族が旅商人から買ったという量産品のショートソード。そんな剣でも、いや、いっそ棒切れでもいいのだろう。
この、単純なようで複雑な、圧倒的な連打は武器を選ばない。
「おおおっ! いいぞいいぞっ!」
「きゃー! アンリかっこいいー!」
「アンリ頑張れー!」
「いけーっ!」
周りの応援も最高潮だ。目にもとまらぬ剣戟のラッシュ、ラッシュ、ラッシュ!
ガギギギと凄まじい音をかき鳴らし、少女の心の熱を存分に奏でる。
まるで彼女の独り舞台。独占リサイタル。
これを可能にしているのが、古ゴート族の強靭な『四本の脚』だ。
当たり前だが吸血鬼や人間には足は二本しかない。だから踏み込むごとに地に着く足を一本に減らしたり、きっちり踏み込んだタイミングでしか渾身の一撃を放てない。
それに対し、アンリは常に二本以上の脚で踏ん張り、流れるようにソレを組み替えて踏み込み、
これが一般的なケンタウロス系統なら、その巨体もあり小回りが利かなかったり、そもそもその力を活かした突撃しかしないところだ。
だが古ゴート族にはその巨体も重量もない。それがかえっていいのだ。
加えて高所をものともしないヤギのバランス感覚ときたら、もう……。
「圧巻だな」
「っ!?」
ふっと、俺の力を抜いたフェイントにアンリの攻撃が空を切る。バランスを崩すもすぐに四本の脚がそれを補い次の攻撃を振りかぶる。この動きだけで人間なら達人と称されるレベル。
「だが、甘い」
「っ!?」
アンリの剣は、相手のスキを突く剣術の思想とは真逆。言ってしまえば『自分の心のまま、想うように剣を振るう』を極めた形だ。
だから体の不自由さに縛られない。その一閃一閃が、まさに魂のこもった会心の一撃。
だがそれは裏を返せば、最も攻撃を読まれやすい剣だ。
「ほら」
「あっ」
アンリの体勢から……いや『心理状況』から次の攻撃が分かる。分かっていれば、真正面からソレを潰すことは難しくない。
片方の剣を弾き飛ばし、それを補おうとしたもう片方の一閃をかわして、俺は剣をアンリの首筋に突きつける。
心のまま剣を振るうという事は、その心の隙を突けば崩せるという事。
これで、決着だ。
「……また、負けました」
「別に勝ち負けを競ったわけじゃない。また少し、腕をあげたな」
ハアハアと息を荒くし、玉のような汗を流すアンリに涼しい顔をして告げる。真っ赤になった頬をさらに赤らめて、けれど悔しそうに唇を引き結んだ少女に。
正直、言うほど楽勝ではなかった。
かつての、現実世界で最後に戦ったあの大妖怪の一閃もそうだったが、魂のこもった一撃というのは、かわすのも受けるのも容易ではない。
会心の一刀とは、剣術の理屈で言えば『その時々で体に最も無理のない状態で放たれる最高の一撃』だ。
これはつまり『相手がどう対処するにせよ次も自分が有利になる一撃』と言い換えることができる。避けるにせよ受けるにせよ、撃った自分は無理をせず、受けた相手は無理をするのだから。
だからこれを無理に捌こうとすれば隙ができる。本来ならそれでも状況をひっくり返すことはできるのだが、会心の一刀を繰り出し続けられるのなら話は変わってくる。
あるがままの剣の連撃は、文字通り隙が無い。
俺は無いはずの隙を、剣術という『小細工』で作り出したに過ぎない。
「俺がフェイントを入れたタイミングの一撃は良くなかった。あそこで終わらせようと欲を出したか?」
「お、お見通しですか……その、通りです」
そして隙を作り出せたのは、アンリの剣が、いや、心が未成熟だからだ。
今でも天性の感覚で魂のこもった一撃を連打できる彼女だが、時々気の抜けたような一撃も混じる。集中力が続かないのか雑念が混じるのか、流石にそこまでは俺にも分からないが。
俺は彼女を鍛える身として、その隙だけを的確に突く。心のまま剣を振れとかありのまま戦えとか言葉で伝えたところで意味はないからな。
だからこれは違う、と間違えたところだけ指摘して、しばらくはのびのびと育てたいと思う。
そうして突かれる隙を全て克服した時……誰もアンリを止められなくなるだろう。
「さて、負けたら俺が撫でる、だったか? なら……」
「えっ、んむっ!?」
唇を奪う流れは、絶賛継続中だ。
「か、カイ様っ!? あ、その、今の私はっ、あ、汗まみれで……」
俺もワーウルフ達のよだれまみれだったのだ。固いことはこの際抜きにしてもらおう。
「勝者の権利だ。今俺の瞳には、お前しか映らん」
「あっ、ずるい……んっ」
そうして二度目のキスは、お互いに相手を味わうように。
アンリの自由気ままな剣は、欠点があるとすれば『自分だけで全てが完結してしまう』点だ。
相手が誰だろうと、極端な話、近づいて剣を振り回してさえいればいいのだ。考える必要もない。圧倒的な才能と生まれ持った力でねじ伏せる。
俺達力の強いモンスターにはありがちだが、それはとても危険な事だ。
「んっ! く、んっ、んんっ、ちゅっ」
相手を選ばぬ力はやがて思考を止め、思考を止めた剣は結果という虚像を映し、やがてそれは驕りに変わる。
そうなれば自由な剣は、敵に勝つ喜びに飲まれる。そうはなって欲しくないものだ。
「あ、ん、んん!」
剣で相手と対話できるくらいになれば、その心配はない。俺があの大妖怪の二連閃に魂を震わせたように、強くなろうとも驕ることなく道を進むことができる。
このキスのように、相手を味わうことができるようになれば……。
「あふ! んっ、ちゅっ、ちゅ」
そうなれば、俺が教えることもなくなるな。
まだまだ先のことと笑うかもしれないが、案外アンリの才能ならさっさとその域まで行ってしまうかもしれない。そう考えると寂しいものだ。
今のうちに、未熟でも愛おしいこの少女を味わいつくしておきたい……なんて。
「いつまでやってるんですか?」
「わっ!?」
その声に慌てて飛びのいてしまうアンリ。一本に結んだこげ茶色の髪が驚きに跳ねる。ああ、いい所だったのに。
「全く、大勢が見ている前で何してるんですか? 兄さん」
「誰かさんが火をつけてくれたおかげだ」
「……なかなかいい皮肉を返しますね」
いつの間にかレッサーオークや古ゴート族達の囲いを抜け、マリエは俺達の前に立っていた。
額にはちょっと青筋立てて、その手にはタオルと……二本の刀。
「お疲れ様です。はい」
「え、あ、その……あ、りがとう」
まさかこの流れで、アンリは自分がタオルを手渡されるなど思っていなかったのだろう。周りのちょっと驚くような反応を見るに、そのタオルは俺のモノだと考えられていたようだ。
誤解されやすいが、何度も言うようにマリエは根はやさしい子なのだ。アンリはぎこちない動きで、差し出されたそれを受け取る。
「兄さんにくっついてるだけの金魚の糞かと思ってましたが、少しはやるんですね」
ちょっ! こら! 女の子がそういう言葉を使うんじゃないっ!
「……えと、あの、マリエ、さん」
まだぎこちなさが抜けないものの、アンリは真剣な目で、マリエを見つめて。
「私は……私も、カイ様が好きです」
「……知ってますが?」
「負けませんから」
二人の間に、静かな空気が流れる。
さっきまで大はしゃぎだったギャラリーも、突然の二人の邂逅に目を丸くしながら。
「……あなたは胸しか能のないあの蛇女より、手ごわそうですね」
「ちょっとー?」
遠巻きに見守っていたティキュラが思わず声をあげる。というかマイシスター、お前の基準じゃティキュラですら巨乳枠なのか? ちょっとお兄ちゃん心配になるぞ?
「なら、敵に塩を送るという形になりますが」
「え、こ、これ……」
「兄さんの女が、そんなしょぼくれた剣を振ってたら兄さんまで格が落ちますから」
そうして手に持っていた二本の剣を、アンリの前に。
「私の刀です。どうせ使っていませんでしたから、差し上げます」
「え……ええっ!?」
これには本当に驚くアンリ。いや、俺も驚いたが。
「いいのか、マリエ」
「ええ。別に要りませんし、これ」
マリエはそっけない素振りでそう言うが、手に持つ刀は、俺の刀と対になるように作られたブルーダラク家の宝剣だ。
それは、二本の脇差。
元となった刀は、片方は人間達の世界じゃ重要文化財に指定されていたな。約七十センチの、日本刀を模した吸血鬼の刀だ。
俺の直刀と同じく玉鋼を使っていないので厳密には日本刀ではないが、強度はそれ以上だ。
「こ、こんな綺麗な剣……さ、流石にもらう訳には」
「装飾は気に入ってないんですよ。私の趣味じゃないですし、気にしないでください」
「で、でも……」
鞘や柄には高級感のある黒い光沢。まるで黒い湖を思わせるその表面に浮かぶ、血に彩られた桜の花びら。俺の方の桜は銀だが、こっちも中々に美しいと思う。
「もらってやってくれ」
「か、カイ様」
「照れ隠しでこう言ってるが、本当はアンリの実力を見て渡そうとしててててて」
「カイ様っ!?」
言葉の途中だが、それ以上は言わせないとばかりに俺の頬を掴んで引っ張るマイシスター。中々のツンデレだ。
「もらっふえやってふれ……ひょっとひふい」
「あ、その……では、いただきます」
そう言ってアンリは、マリエから刀を受け取る。
アンリが使っていた量産品のショートソードより格段にモノはいいだろう。日本刀なので使い勝手は少し違うが、使いこなせればアンリはさらに高みに登れる。
「この剣に恥じないくらい、強くなってみせます」
「別に気負わなくていいですよ。ま、せいぜい頑張ってください」
……こう言っているが、マリエも剣術のたしなみはある。アンリのその自由な剣の価値が、分からないはずがない。
魂のこもった一閃は、見るものの心すら震わせるのだから。
「何か細くて不思議な剣だねこれ」
「わー! 凄いキレイじゃないこれ!」
「見てみて! 刃もこんなにキラキラ光って! 宝石みたいっ!」
この世界では恐らく珍しい部類の剣に古ゴート族が集まる。吸血鬼の指揮刀も兼ねるので、その美しさも折り紙付きだ。
ブルーダラク家の格を示すための、威厳ある二振り。
それを渡したという事は、文字通りアンリを認めたという事だろう。
「ふぉんふぉうに、よふぁったのふぁ?」
だがそれでも、まさかブルーダラク家の宝剣を手放すとは思ってもみなかったが。俺は今も俺の頬をつねるマリエに尋ねた。
「何ですか? 言っておきますが、私にはルビーちゃんがありますのでご心配なく。それにこう言っては何ですが……装飾が気に入らないのは本当です」
「ふぉうふょふ?」
「兄さんの刀の装飾が銀なのも含めて、ですけどね」
そう、何故かちょっと含みがあるような言い方で返された。
「それより訓練はまだ終わりじゃないのでしょう? 今度はオーク達とキスするんでしたっけ?」
「ふぃないふぉ」
いや、訓練はするが。
「っしゃあ! 俺達も気合入れるぞっ!」
「今日こそは旦那に一撃入れるぞお前らっ!」
おおー! と、そういう訳で今まで周りでギャラリーしていたオーク達が雄たけびをあげ始める。別にアンリだけを鍛えているわけじゃないのだ。
オーク達、特に留守番組には念入りな稽古を……。
「だ、旦那ー! 大変ですっ!」
「ん?」
そんな中で向こうから見張りのレッサーオークが大声をあげ駆けてくる。その様子にオーク達の猛りは一旦止むが……あの焦りようはまた魔王軍だな?
「ゴブリンか」
一度言ってみたかったんだ、このセリフ。
「ち、違いますっ! れ、例のアイツですっ!」
「何?」
例の、アイツ?
「おーい! 全裸のー!」
……ああ、このバカでかい声は。
「ま、また大魔王が来ましたっ! し、しかもっ!」
地平線から見える、わらわらと動く黒い影。
それを見るに……ああ、成程。どうやら有言実行したらしい。
「何か、お、大勢引き連れてますっ!」
そう、大魔王
<現在の勢力状況>
部下:古ゴート族82名、レッサーオーク51名、ギガントオーク67名、ワーウルフ25名
従者:ベーオウ
同盟:大魔王と交渉中
従属:なし
備考:魔王軍との戦闘継続中、大魔王軍の襲来
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