第28話

 モア達は王都を逃げ出したそうです。

 皇国を牛耳っているイーハ王が相手です。

 イーハ王が黒幕では、皇国に訴え出ても無駄と判断したそうです。

 ですが何処に逃げても追手がきます。

 イーハ王の逆らえる者はほとんどいません。


 モアを抱えたオフラハーティ家の遺臣達は、ギャラハー国に逃げてきたそうです。

 当然でしょう。

 イーハ王がどれほど横車を押そうと、父上様が引く事などありません。

 断固とした態度で対応してくれます。

 実際そうだったそうです。


 ですが、ダラ・オフラハーティに名誉を回復する事は出来ませんでした。

 イーハ王をはじめ、キラン・バーン等が嘘の証言をしたのです。

 事もあろうに、ダラ・オフラハーティの方が八百長を仕掛けたと口裏を合わせたのです。

 ですが、父上様も引きませんでした。

 イーハ王が八百長を仕掛けたと面罵されました。


 父上様はモアと遺臣を味方をして、皇国の正式な捜査を願い出られたそうです。

 ですが、皇国はイーハ王に牛耳られています。

 勝つ事など出来なかったそうです。

 逆にモアと遺臣の引き渡しを命じてきたそうです。

 父上様は激怒されたそうです。


 皇国の政治にはかかわらず、辺境を護り続けておられた武辺の父上様です。

 激怒なされて、卑怯下劣な王侯貴族を討ち果たすと宣言されたそうでうす。

 大軍を編成して、イーハ王のオキャラン王国に進撃されたそうです。

 父上らしい、武辺な御覚悟です。

 王侯貴族である前に、武人でなければいけません。


 イーハ王に媚を売る貴族士族が、オキャラン王国の手前に陣を張り、父上様を論破しようとしたそうです。

 愚かな事です。

 武人がいったん兵を起こしたのです。

 論戦などに応じるはずがないのです。


 父上様は、ただの一戦で諸侯軍を粉砕されました。

 オキャラン王国軍は、卑怯にも決戦に応じず、城に籠ったそうです。

 イーハ王に脅迫された皇帝陛下から、何度も勅使が差し向けられましたが、父上様は無視されたそうです。

 父上様は、イーハ王に脅迫されて書かれた勅書は無効と申されたそうです。


 イーハ王は皇家直轄軍を動員しようとしました。

 ですがここで、皇家騎士団から漢気のある者が現れたそうです。

 イーハ王の横暴を言い立て、皇家騎士団徒士団に、父上様と共同してイーハ王を討って、皇国を正そうと言い出したそうです。

 イーハ王は慌てたそうです。


 当然でしょう。

 自分が完全に支配していると思っていた、皇国の足許から火が出たのです。

 イーハ王は急いで関係修復に動きました。

 自分がバーン家の親類縁者に騙されていたと言い出したそうです。

 死人に全ての罪を擦り付けたのです。

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