第23話
私の受けた恥辱。
父上様の無念。
母上様と弟妹達の受けた恥辱。
それを想えば、簡単に殺すわけにはいきません。
生き地獄を味合わせなければ、恨みを晴らせません。
父上様の敵も討たず、武門の誇りを忘れた一門一族は、それなりの報いを受けています。
嬢子団の仲間達が、自分達手を穢すことなく、報復してくれています。
いえ、彼女達の愛馬達が、入念に仕返しをしてくれています。
丁寧に正確に、一本一本指を蹄で踏み潰しています。
泣き喚いて許しを乞うていましたが、絶対に許されません。
手足二〇本の指を砕かれては、立って逃げる事も出来ません。
這って逃げ回るだけです。
ですが、それで終わらせる仲間ではありません。
私に同情してくれていますので、徹底的に痛めつけてくれます。
馬が肩や膝を噛み砕き、更なる苦痛を与えてくれるのです。
それを見ていたキアン・オハラとスミス・ドゥリスコルは、小便をちびり、地を這いまわって逃げるのです。
「さて、尋常に勝負しなさい。
そうでなければ、この者達と同じように、嬲り殺しになるのです。
嫌ならば、剣を取ってかかってきなさい」
「おのれ、ドブスが。
調子に乗りやがって。
叩き斬ってやる」
キアン・オハラは相変わらず地を這いまわっています。
異臭がしますから、小便だけではなく、大便も漏らしたのでしょう。
情けない事です。
ですがスミス・ドゥリスコルは、剣を取って挑んできました。
父上様が健在であられた時は、激しい訓練にも耐えていた、それなりの戦士です。
しかし、キアン・オハラに媚びへつらうようになってからは、全く鍛錬していなかったのでしょう。
身体もブクブクに緩み、足さばきも悪くなっています。
「父上の敵。
覚えたか!」
父上亡き後は、騎士の誇りを忘れ、キアン・オハラに媚びへつらう外道に成り下がりましたが、それまでは立派ない騎士だったのです。
上に立つ者次第で、騎士も徒士も誇りを忘れてしまうのです。
スミス・ドゥリスコルが元凶と言う訳ではありません。
だから、一撃で殺してあげました。
敵討ちを誓ってから、一心不乱に鍛錬した力と技で、防ごうとした剣ごと、メイスの一撃で叩き殺してあげました。
まず受けようとした自分の剣が、私の一撃を受けきれずに自分の頭にめり込み、次いでメイスの一撃を頭に受けて、頭が柘榴のように爆ぜたのです。
石榴で分からなければ、棒で叩き割った西瓜と言えばいいでしょうか。
それを見ていたキアン・オハラは、今度は腰が抜けたのでしょう。
地面に腰を付けて上を向き、放心しています。
こいつは一撃では殺しません。
産まれてきた事を呪うほどの苦痛を与えてあげます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます