第21話

「先ずは馬鹿殿を成敗しましょう」


「「「「「は」」」」」


 姫様が私の為に嬢子団を動かして下さいました。

 嬢子団の皆も、喜んで手伝ってくれます。

 有難い事です。

 全軍一団となって、オハラ子爵家の城に乗り込みました。


 城門を護っていた兵士も、強大なギャラハー馬が怒涛の勢いで攻め込んで来るので、城門を閉めるどころか、逃げる事も出来ずに、その場で腰を抜かしていました。

 よく見れば、小便を漏らしていました。

 情けない事ですが、当然とも言えます。

 それほどギャラハー馬が突撃してくる姿は恐ろしいのです。


 我ら嬢子団の勢いは凄まじく、三ノ丸の城門を突破した勢いのままに、二ノ丸の城門も通過し、唯一閉じられていた本丸の城門は、ギャラハー馬の蹴りで粉砕して突破しました。

 この頃になって、ようやく城内の兵士も私達に気が付いたようで、それこそ蜂の巣をつついたよう騒ぎになっていました。


「何者だ!

 ここをオハラ子爵家の城だと知っての狼藉か!?」


「わらわはギャラハー王家の第一王女、マカァ・ギャラハー。

 ベイタ・ドゥリスコルから話は全て聞いた。

 貴族の誇りを失ったオハラ子爵家を成敗に参った。

 いざ、尋常にベイタと立ち会え」


「御待ちください!

 ベイタは家族の訃報を聞き乱心したのです。

 卑怯な行いをして、イーとその家族を殺した者達はこの手で成敗いたしました。

 ドゥリスコル家に関しても、一族の者を取り立てて跡を継がせております。

 ベイタから何を御聞きになられたかは存じませんが、マカァ姫に責められるような事は一切ございません」

 

「ならば、キアン・オハラは斬り殺したのだな」


「何故でございますか。

 キアン・オハラは我が後継ぎでございます。

 イーとの一件には何の関係もございません。

 何よりベイタはキアンの側室でございます」


「戯けが!

 わらわが何も調べずにここに参ったと思っているのか?!

 ギャラハー王家の力を使い、全て調べ尽くしておる。

 そしてここに生き証人もおる」


 姫様の御言葉と共に、拷問を受けて全てを自白した者達四人が、馬から突き落とされて転がり落ちた。

 その姿はまるでボロ雑巾だった。

 ここまでの拷問を姫様がするとは思わなかったのだろう。

 その場が水を打ったように静かになった。


「姫様。

 脅迫は勿論、拷問をして口にさせた事など、証拠にはなりませんぞ。

 ベイタの事は悪いようにはしません。

 私に御任せ下さい」


「わらわの大切な嬢子団の一人を、貴様らのような卑怯卑劣な腐れ外道に渡せと言うのか?

 馬鹿を申すな!

 やりなさい」


 姫様の命を受けて、イーヴィンが得意の強弓を放ちました。

 弓は狙い通りブライアン・オハラ子爵の右腕に当たり、上腕を半ばから切断しました。

 

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