【改稿未定】変身美少女と一般男子

うみさき ろうわ

01,始まりは素敵に雑で

1-1


     1―1





 5月。

 新入の学生にとって人間関係を構築する4月を過ぎ、作り上げた人間関係を元に和気あいあいとする月。

 中学を卒業して先月に高校の新入生となった俺は、クラス内にて一人で本を読んでいた。

 俺周りを見回しても、俺の周りには人が極端に少ないように思う。

 そのような状態でクラスで一人ぼっちで本を読む。

 察してくれると助かるのだが、つまるところ“ボッチ”というやつである。


 元々、俺という人間は他人が嫌いというわけでもなく、ましては人と顔を合わせられず喋れないわけでもない。

 自覚症状がない場合は別として、俺という人間はあまり自分から話すという事をしない、いわゆる受動的な人間だった。

 休み時間は基本的に本を読みふけり、自分から話しかけず、話題を振らず、受け答えのみ。

 そんな事をしていたら、俺の周りに意図無しに近づいてくることはなかった。

 その上、毎回毎回本を読みふけっているせいで、一部の悪戯好きの女子を始めに“ブック”なんてあだ名が付けられていた。そしてたった一か月で定着した。

 ブックはブックでおかしな名称だが、そのおかげかボッチである俺に対して話しかける輩は少ないながらもいたりする。

 その会話もモノの数秒で終わることが大半なのだが……。


 そんな青春の青の字があるか不安な俺だったのだが、そんな俺の状態を大きく動かした存在が、今の5月に現れたのだ。

 5月2日の月曜日。4月が終わり、新学期の4月に精神をすり減らした者が五月病になり始める時。

 それは来た。 


 その日のホームルームは4月から変わらず、クラスの担任でありクラスで唯一俺を名前で呼んでくれる生真面目な教師になりたての女教師がクラス中に声をかける。

 漫画だと舐められてそうな年若い女教師の担任に現実の生徒たちはそれなりに従順であり、おとなしく自分の席に戻る。

 ガタガタという椅子や机が揺れ動く音の後、担任は少し声を大きくする。


「急遽、転入生が我々のクラスに入るこなりました!」


 その声にクラスがざわつく。

 5月という微妙な時期に転入とは、話題性があるが、なぜ?

 そんな疑問を余所に、担任の「入ってきて」という言葉が教卓側のドアに掛けられる。

 学校特有の両引き戸の片方が開く。

 その姿を見て俺は、いや、ここにいる担任教師以外は目を見張った。

 男子の中の数人が呆けたような声を漏らすのもしかっりと聞いた。

 それほどに、入ってきた転入生の少女は綺麗だったのだから。

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