概要
その都市を根城にして、ゾーンと呼ばれる変位地を巡るのが、追跡屋<チェイサー>である。
狂血とあだ名されるチェイサー、キササギ・セイジは、相棒のミサキとともに巨大変位を追い求めた。
自ら変位に巻き込まれようと、無謀にも現場に突入し続ける二人。そんなセイジたちを捕らえた特務部隊のヒナモリは、彼らに協力を求める。
軍とチェイサーは手を組み、ついに変位現象への突入を成功させたかと思われたが……
※ 『魔弾の少女と障壁の街』の関連作ですが、これだけを読んでもらっても問題ありません。
※ 初出時より、28話を修正して、29話を追加しました。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!世界を切り取る未知の渦。その危険地帯の中心へ、今日も奴らは直走る。
転移。それは、突如虫食いのように世界に穴を開ける、未知の災害の名称だ。人々はこの転移により住む場所を奪われ、場合によっては命の危険にも晒されながら、流浪の生活を強いられていた。
だがそんな厄介な災害にも、メリットがある。転移が起き、切り取られてしまったそのエリアには、入れ替わるように異世界の土地が広がり、未知の宝が眠っているのだ。それを求める者達、追跡屋《チェイサー》は、日々転移を追って駆け回る。
危なっかしいこの稼業を営む者達の間でも、とびっきりの命知らずがいた。それが本作の主人公、「狂血のチェイサー」ことセイジ・キササギと、彼の相棒であるミサキだ。
兎に角こいつら、ぶっ飛ん…続きを読む - ★★★ Excellent!!!青い蛍火は何を切り取るのか
主人公は追跡屋―チェイサー―
追うものは青い転移陣
冒頭から疾走するような展開と確かな文章力にグイグイ引き込まれます。
私はSFやファンタジーに暗いのでその素晴らしさを称える語彙を持たないのが非常に残念なのですが。
格好いいのです。(暗い明るい以前の語彙力)
狂血と渾名される主人公。
ただ無謀なだけではないのです。
格好いいのです。(語彙力)
青い転移陣が、それは美しいのです。
恐ろしいものって美しいんですね。(語……もういいですか。ですよね。)
転移を追う狂血の目的は。
そもそも転移とは。
転移陣の青い渦に巻き込まれるように、彼等の運命も流れうねってゆく――
彼等とともに、私の鼓動も高…続きを読む - ★★★ Excellent!!!病みつきになる文章とは、まさにこのこと
スピード感に溢れるキレッキレの文章を読むのは、それだけで楽しい。
この物語の「世界」がどんなところなのかをゆっくり考える暇も与えず、ひたすら映像を見せるかのように進んでいく文章の切れ味は、まさにこの作者様の真骨頂。
もちろん勢いだけではありません。
「こまけーことはいーんだよ」と言わんばかりの勢いで突き進んだ物語は、いったん読者に一息つかせるように静的な描写で「世界の謎」を語ってから、再びエンジンをふかして怒涛の展開へと移ります。
この展開の妙が素晴らしいの一言です。
謎解きを楽しみつつ文章の切れ味に浸って読み進んで欲しい痛快な作品です。