世界を切り取る未知の渦。その危険地帯の中心へ、今日も奴らは直走る。
- ★★★ Excellent!!!
転移。それは、突如虫食いのように世界に穴を開ける、未知の災害の名称だ。人々はこの転移により住む場所を奪われ、場合によっては命の危険にも晒されながら、流浪の生活を強いられていた。
だがそんな厄介な災害にも、メリットがある。転移が起き、切り取られてしまったそのエリアには、入れ替わるように異世界の土地が広がり、未知の宝が眠っているのだ。それを求める者達、追跡屋《チェイサー》は、日々転移を追って駆け回る。
危なっかしいこの稼業を営む者達の間でも、とびっきりの命知らずがいた。それが本作の主人公、「狂血のチェイサー」ことセイジ・キササギと、彼の相棒であるミサキだ。
兎に角こいつら、ぶっ飛んでる。一周回って馬鹿なんじゃないかって思わせる程の、無謀な作戦を立てては実行し、転移による異世界の宝では無く、転移そのものを追い求めるのだ。命を懸けてまで、何で毎度災害のど真ん中へ突っ込むかって? その理由は、読んで確かめて頂きたい。
転移の正体は? そもそもこいつの原因は? 本当に異世界なんて、どこかに存在しているのか? どうやら国も追いかけているこの現象、ただの災害とは思えない。セイジ達と共に、この謎を追うのも楽しいだろう。
だがその際、忘れてはいけない。彼らは探偵でも役人でも無く、「狂血のチェイサー」であるという事を。
息もつかせぬ怒涛のアクションSF。是非皆様も、ご一読。