主人公ミシェルは吸血鬼討伐隊の一員。隊の中でも小柄なミシェルは、なんだかんだ皆に愛される存在です。仲間と他愛ない話をして、時に吸血鬼と戦う。そんな日々が続くと思われたある日、討伐隊は他の地域へ異動することに。
そこはミシェルの故郷であり、そこで、ミシェルは自らの重い過去を暴かれ、やがて残酷な現実と向き合うことになります。
物語の流れはシリアスですが、仲間たちとの掛け合いはコミカルで、物語に良い意味での軽さを与えています。
物語の後半、美しい女吸血鬼が現れてから展開が加速していき、ミシェルが抱く感情も激しいものになっています。
ミシェルの感情は正直かなり複雑で、それでいて曖昧で。その不安定さが、地の文の表現にも現れているのは素晴らしいと思いました。
ハッピーエンドとは言えない結末ではありますが、バッドエンドとも言い難い。この作品にふさわしい結末をぜひ見届けてください。
「探し物は見つからなかったのでしょう?」
――いえ、多分、あの子はそれにたどり着けましたよ。
最近はコメディ多めで、おおいに笑わせてくれる作者さまの久しぶりのシリアス長編です。
舞台は中世フランス風の世界。主人公は吸血鬼退治が専門の騎士団に所属しますが、身体も小さく剣技もまだまだでひよっ子扱い。それが気にいらず他の団員に食って掛かっては、よけいに子供扱いの悪循環。しかしながら剣技に神聖力と抜きんでた隊長と、気の許せる仲間たちにかこまれて、面白おかしい毎日を送っています。
その騎士団が、主人公の生まれ故郷へと移動させられることにより、物語は動き始めます。
主人公が思い出したくもない重い過去。そして宿命。それが吸血鬼の王レゾンと出会ったときに!
すっかり笑いを忘れてしまった作者さまの筆は冴えわたり、終盤に近づくにつれ加速度的に物語に引き込まれること請け合い。いつものコメディとは違った奥の深い味わいを、どうぞその目で確かめてください。
これがあるからこそ、わたしはこの作者さまが好きだったりして。(笑)
聖騎士見習いのミシェルは、吸血鬼討伐集団「シアン・ド・ギャルド」の一員。その若き隊長のリュシアンは、ミシェルのことを気にかけていた。
そんなある日、彼らの転属が決まる。新任地はミシェルの故郷、プリュイ領。
しかし彼らの管轄内では、吸血鬼の出没件数はゼロ。ただ、リュシアンだけは何かと呼び出されていた。
なにか怪しいと調査に乗り出した彼らは、貧民区にいた少女の腕の傷と、行商人が落とした真っ赤な液体をいれた瓶を見つける。
そこからたどり着いた答えは、貧民区の住人の血液を採取した教会が、『レゾン』と呼ばれる吸血鬼と裏取引をしている可能性だった。
獣のように血を求める他の吸血鬼とは違い、理性を保ち、不老不死として存在するレゾン。
彼らは、その闇を明らかにしようと動く。そんな中、ミシェルはラミアと名乗る女性に出会う。
その女性は、幼い頃に出会った女性とよく似ていた……。
自分の大切な居場所のために、自分の大切な人を傷つけて、
銀の杭を自らの首元にあてながら、相手の運命を握ろうとして、
あたたかな夢を見ようと、冷たい身体になるように、
不確かなものより、確かなものを手に入れる。
吸血鬼討伐集団「シアン・ド・ギャルド」に所属する聖騎士見習いミシェルは、強大な神聖力を持つ隊長のリュシアンや武器開発担当のカロン助祭など、愉快な仲間たちと充実した日々を過ごしていた。しかし小隊全員で新任地へと異動することになり……?
ミシェルの過去と秘密。
そして、美しき女吸血鬼との邂逅。
コミカルな場面でも、ほっこりやさしい場面でも、常にどこか緊張感をはらんだ危うい空気感が漂っています。
その危うさの正体は中盤以降に明かされますが、それと同時に逃れようのない悲劇の足音が着実におおきくなっていくのです。
ゴシックな雰囲気が素敵なダークファンタジー。
美しくあやしい、その世界観にとっぷりひたってみませんか?
主人公のミシェルは、吸血鬼討伐集団「シアン・ド・ギャルド」に属する聖騎士見習い。特注の弩(いしゆみ)を武器に、活躍を夢見て日々奮闘中。若く優秀な隊長のリシュアンを筆頭に、血生臭くも充実した生活を送っていた。
だがある日、「シアン・ド・ギャルド」は異動が決まる。何故か異動先は吸血鬼被害が無いような平和な交易都市。同時に新しく配属された副隊長は嫌味な奴でつまらない。活躍の機会を得られないまま過ごす「シアン・ド・ギャルド」のメンバーは、隊長のリシュアンに秘密で吸血鬼探しに繰り出すと、貧民区で吸血鬼と教会支部の裏取引の疑惑を見つけた。真相を突き止めるべく動き出すが……。
作品の紹介文にもある通り、中世フランス風の異世界を舞台にしたダークファンタジー×恋愛×サスペンス。恐ろしい姿の吸血鬼に教会の胡散臭い疑惑と、緊張感溢れる要素が多々登場しますが、「シアン・ド・ギャルド」の陽気なメンバーにちりばめられたコメディ要素で緩急のバランスが取られており、とても読みやすい世界観に仕上がっています。
そして、何故吸血鬼討伐が目的である「シアン・ド・ギャルド」が吸血鬼被害の無い地へ異動になったのか、突然配属された嫌味な副隊長の目的は何なのか、貧民区の吸血鬼と教会の裏取引は実在するのかというサスペンス要素がストーリーを引っ張ります。恋愛ともありますが、それはミシェルが抱える重大な秘密にも関わっており……。と、兎に角色んな要素がてんこもり。私はダークファンタジーが好きなので読み始めましたが、どの要素もしっかり描かれており退屈しない筈。
果たして新任地に吸血鬼は実在するのか。ミシェルが抱える秘密を暴く恋の行く末は。そして、時代と運命に翻弄されるミシェルが選び取った結末とは、本当にミシェルにとっての〝破滅〟であるのか。
人間の美醜と幸福の定義について考えさせられる、極上のホラーファンタジーをご覧あれ!
主人公のミシェルは、とある事情で吸血鬼を憎んでいます。
吸血鬼と戦うと決めた彼は聖騎士見習いになり、今はリュシアンという隊長の部隊に所属しています。
そんなリュシアンの部隊にいるのは、性格も体格もゴブリンみたいな隊員ばかり。だというのに、ミシェルは小柄で女の子のような見た目。
ひよこ騎士見習いのミシェルは、同じ部隊の隊員たちにからかわれる毎日です。
ある日。
部隊のみんなとともに、ミシェルは交易都市プリュイ領に異動することになって……
基本的には血なまぐさいシーンもあるダークファンタジーです。
なのですが、コミカルなシーンも盛り込まれていて、メリハリが効いた物語構成になっています。
それに、ミシェルはからかわれがちな主人公なのですが、部隊のみんなに愛されてるからこそだなって思えるシーンもたくさんあって、ときどきほっこりもしました(●´ω`●)
あと、部隊長のリュシアンがカッコイイのも推しポイント!
莫大な神聖力を持っていて、頼もしい!
しかも、ミシェルにめちゃくちゃ優しい!!
彼が登場すると、思わずニマニマしちゃいます☆
私はね、基本的にハッピーエンドが大好き。
メリーバッドエンドっていうんですか、ああいう、『見方によってはハッピーエンド』っていうのも好きです。
ですが本作!どうやらハッピーエンドではないようでして!
な、なんだと!?
そうも思いましたが、大丈夫です。何が大丈夫かわかりませんが、大丈夫です。
何せ私はこの作者様の大ファンなのです。例えハッピーエンドじゃなかろうとも、絶対に私が納得のいくラストが待ってるのです。もう断言しちゃったけど(笑)
いや、もうマジで信頼と実績があるから。
舞台は中世フランス風の異世界、聖騎士見習のミシェル君は吸血鬼討伐集団「シアン・ド・ギャルド」に所属しております。このミシェル君、小柄で何とも可愛らしい!個人的に、小柄な子がでっかい武器をぶん回すとか、実は最強とか、そういうのが大好物ですので、そういう癖(ヘキ)がある方はこれだけでも一読の価値があります!
使う武器は特注の聖武器である弩(いしゆみ)で、これがまたね、カッコいい。ドカンと当たって結構とんでもないことになるんですが、それもリアルですよね。ええ。
それでですよ。
私がこの作者様に惚れ込んでるのは、キャラもそうですけど、なんといっても描写。内面を吐露する時の描写がね、ものすごく良い。ねぇ、そういうのってどこで身に着けるんですか、ってお酒でも飲ませて全部吐かせたいくらいです。すごいんですよ。すごいこっちを抉って来る。こんなの絶対プロでしょって。かといって、ものすごく知的で崇高で格式高い文章かって言ったら違うんですよ。誰にでも伝わる言葉で、誰にでも伝わる表現なんだけど、こんなの普通思いつかねぇだろって選び方をしてる感じ。もう絶対敵わないですね。あっ、もちろんキャラも最高です。台詞回しも最高で、いやそれを言ったら全部最高なんじゃねぇかよ。
要所要所でチラ見えするコメディに腹をくすぐられつつ、けれどどきりとするようなシリアスもある、魅力のある作品です。
竹神さん、私はどんなラストでもばっち来いだよ!信じてるぜ!
吸血鬼討伐集団「シアン・ド・ギャルド」の一員、ミシェル。
吸血鬼との戦いという過酷な環境に身を置く彼ですが、その容姿は小柄で可愛く、他のメンバーにいじられることもしばしば。
そしてこの討伐隊。その大変さとは裏腹に、血なまぐさい職務内容からか、低く見られることも多いのですよね。
こっちは命がけで戦ってるんだぞ! なんならお前らやってみるか!
時に激しく戦い、時にコミカルでわちゃわちゃしたやり取りをする討伐隊の面々の様子が描かれます。
ただ本作、他の方のレビューでも書かれていますが、あらすじを読む限りではけっこう不穏な雰囲気。
このレビューを書いている時点では、まだ物語はそこまで進んではいませんが、ある程度覚悟して読んでおいた方がいいのかも。
ただし、この作者様の力量や作風については大いに信頼しているので、例えどんな展開、結末になったとしても、面白いと思えるものになるというのは、自信を持ってオススメできます。
タイトルやあらすじやタグを読んで、
切なく美しい話だと想像し、
ひとりで涙を流す、心の準備をして、
雪が降る夜、静かで清らかな空気を感じながら、
この作品を読み始めた貴女へ。
最初は、驚いてしまうかもしれませんね。
「あら? 男性向けのバトル小説だったのかしら?
かっこいいかもしれないけれど、泣けないわね」
薔薇の刺繍が施された白いハンカチーフを握り締め、貴女は呟くかもしれません。
ピンクの薔薇の蕾のような可憐な乙女である貴女には、刺激的だったかもしれませんね。
でも、まだ諦めないでほしいのです。
「第4話 かわいそうなママン」を読んでみませんか?
わたしはこの文章を読んで、繊細さと切なさ、美しさを感じました。
この物語は、気づけばコメディになっていたりもしますが、
多彩な才能をお持ちの作者様なので、読み続けていくと、
たくさんの感情と出会うことができるかもしれません。
貴女にとって、この読書体験が、幸せなものとなりますように、お祈りしております。
主人公のミシェルは吸血鬼討伐部隊「シアン・ド・ギャルド」の見習い聖騎士。
弩を使って吸血鬼を粉砕したり、若き隊長リュシアンが聖剣でふっとばしたりする冒頭シーンはもう圧巻。
ってか、吸血鬼ですよ。聖騎士ですよ! ……名前が全員フランス名ですよ……っ。登場人物全員男性ですよ……っ!
もう……! いいでしょう、これ!!!
設定だけで大好きですよ、私。
現在2話目ですけど、更新が楽しみです!
ただ、ただですよ。
あらすじを読む限りでは……このあと大分不穏な感じになるのでは、と思っています。
しかし、そこも大丈夫。
この方、コメディもお上手ですが、危なっかしく、あやしく、不憫で灰色がかった世界を本当に上手にお書きになるんです。読んでから誰かと話し合いたくなるお話が本当にお上手。
カクヨムコンは新作と出会うチャンスでもあります。
ぜひご一読を。