吸血鬼が影を落とす世界で、主人公が探し求めた結末を見届けろ。

主人公ミシェルは吸血鬼討伐隊の一員。隊の中でも小柄なミシェルは、なんだかんだ皆に愛される存在です。仲間と他愛ない話をして、時に吸血鬼と戦う。そんな日々が続くと思われたある日、討伐隊は他の地域へ異動することに。
そこはミシェルの故郷であり、そこで、ミシェルは自らの重い過去を暴かれ、やがて残酷な現実と向き合うことになります。

物語の流れはシリアスですが、仲間たちとの掛け合いはコミカルで、物語に良い意味での軽さを与えています。

物語の後半、美しい女吸血鬼が現れてから展開が加速していき、ミシェルが抱く感情も激しいものになっています。
ミシェルの感情は正直かなり複雑で、それでいて曖昧で。その不安定さが、地の文の表現にも現れているのは素晴らしいと思いました。
ハッピーエンドとは言えない結末ではありますが、バッドエンドとも言い難い。この作品にふさわしい結末をぜひ見届けてください。


「探し物は見つからなかったのでしょう?」
――いえ、多分、あの子はそれにたどり着けましたよ。

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