主人公リルジェシカは、令嬢でありながら借金持ち。その上死んだ獣の皮を使う事から不浄とされる靴作りに熱中する性分から、呆れた婚約者に婚約破棄を食らってしまう。
然しリルジェシカは落ち込む所か大喜び。これで心置き無く靴作りが出来ると感謝まで告げ受け入れてしまう。そして家の借金を返す為にもと靴作りにのめり込む彼女に、女王陛下の靴作りの依頼が舞い込んだ。
そのきっかけは以前からのお得意様である王女殿下と、彼女のお付きである近衛騎士フェリクス。王女殿下が履くリルジェシカが作った靴に女王陛下が興味を持ったと、フェリクスがリルジェシカに依頼を伝えにやって来たのだ。
フェリクス自身の靴も依頼されたリルジェシカは一層靴作りに情熱を燃やすが、フェリクスに寄せられている好意には気付かない。婚約破棄されたばかりの令嬢に想いを告げるとはいかがなものかと踏ん切りがつかない堅物さも原因ではあるが、靴で頭がいっぱいなリルジェシカも相当に鈍感だ。
そんな焦れったい二人の遣り取りを阻むように、ドルリー商会が現れる。このドルリーとは女王陛下がリルジェシカへ依頼先を変えるまでの間、女王陛下の靴作りを担っていた大商会だ。貧乏令嬢一人に利益と体面を奪われてなるものかとドルリーは、互いに作った靴を女王陛下に見せ、どちらがより相応しい靴職人であるか決めようと品評会を持ちかける。
フェリクスの協力を得ながら品評会に挑むリルジェシカだが、果たして貧乏令嬢が大商会に勝てるのか? そしていつフェリクスの思いに気付くのか?
一悶着、いや、何悶着と紆余曲折の果てに結ばれる堅物近衛騎士と鈍感令嬢の恋模様、是非皆様もご一読! 甘々よ!!
貧乏貴族令嬢のリルジェシカは、靴職人。タイトルからしてもう、え?それはどうゆうこと?と思っちゃいます。
貴族ではあるのですか、家は貧乏。借金があり、おまけに婚約破棄されてしまうところからスタートするこの物語。
ずいぶんな境遇のリルジェシカですが、彼女は靴づくりに夢中。履く人に喜んでもらえる靴をつくることができれば後は何にもいらないし、そもそも自分には靴作りしかできない。
ところがひょんなことから彼女の靴が王女殿下の目に留まります。そこからリルジェシカの靴が素晴らしいと評判になり……。
リルジェシカの成功をよく思わないライバル。逆に彼女の作品のすばらしさに気づき応援してくれる人たち。さらに王女殿下の素敵な近衛騎士フェリクスに見染められてと、もうどきどきはらはらの連続ですよ。
物語は靴という誰でもが身近にある題材をとりあげ、それを作るというテーマをしっかりと中心に据えつつ、リルジェシカとフェリクスの恋愛が絡みます。
にもかかわらず、ストーリーはシンプルで文章は読みやすく、それがゆえにぐいぐい物語に入り込みめます。
恋愛小説にあまり興味のないぼくも、ずるずると引き込まれたし、読み始めたら止まらない。
靴作りという読者の興味をひくテーマから、シンプルゆえに心を摑む恋愛、そして二人の絶妙なすれ違い。
そして、ラストはもちろんハッピーエンド。おふたりさん、どうぞ靴の右と左が形がちがうけれど決して離れることのない対であるように、いつまでも楽しく二人で歩んでいってください。
本作は、第八回カクヨムコンテストプロ部門応募作です。コンテストということで今回かなりたくさんの作品を読んでレビューを書きましたが、この作品はまさに抜群でした。
にしても。
プロットなしで書いたって、マジか……。
「婚約を破棄してくださってありがとうございますっ!」
婚約破棄を言い渡されたリルジェシカが、真っ先に言った言葉はこれでした。
と言うのも、彼女は貴族の令嬢でありながら靴作りをしているのですが、それに理解を示さないどころか、死んだ動物の革を扱うなど下賎の業などと言い放ちます。
こんな奴、と夫婦になるなんて冗談じゃありません。読者としても、婚約破棄おめでとうです。
ダメ婚約者以外にも、貴族の娘が靴作りというのを奇異な目で見る人は少なくありません。ですが、職業に貴賤なし。誰に恥じる必要もありませんし、世間の目がそんなだからこそ、それを跳ね除け誇りを持って靴作りに挑むリルジェシカの姿が輝いて見えます。
そして、そんなリルジェシカを応援するのは自分たち読者だけではありません。
リルジェシカに密かな思いを寄せる、騎士フェリクス。
リルジェシカのそばに寄り添い、不安な時は優しい言葉をかけ、何かあったらしっかり守る。この手の話にイケメンキャラはつきものですが、その中でも特に真っ直ぐな好青年となっています。
ただし当のリルジェシカは、鈍感だからか靴作りに夢中になりすぎているからか、彼からの好意に全く気づいていないないのです。
読者としては、リルジェシカの靴作りと共に、この恋も気になるところ。靴作りの主役がリルジェシカなら、恋の主役はフェリクスなのかもしれません。
もちろん、どちらも目指すはハッピーエンド。愛すべきこのキャラたちを、最後まで応援していきましょう。
婚約破棄を言い渡された貧乏男爵家の令嬢、リルジェシカ。
さぞ落ち込むかと思いきや、晴れ晴れした様子で「婚約を破棄してくださってありがとうございます」なんて言うもんだから驚きです。
実はこのリルジェシカ、ある理由から自分で靴を作っていたのですが、元婚約者はそれを下賤の業などと言って罵るモラハラ野郎だったのです。
こんな奴とは、婚約破棄して正解ですね。これで心置きなく、靴作りに専念できるってものですよ。
婚約破棄もののお話は数多くありますけど、婚約破棄されてこんな前向きな気持ちになれる作品は稀です。
しかも本作はもう一つ、靴作りという独自のテーマを持っています。
リルジェシカの作る靴はどれもとても丁寧。中には貴族の令嬢が靴作りなんてと、心無いことを言う輩もいますが、それでも彼女は作るのをやめません。
履く人のことを真剣に考え、履きやすく動きやすい靴を作ろうと頑張る姿が、とても健気です。
そしてこの作者様の作品の売り。お砂糖成分も、もちろんあります。
リルジェシカに想いを寄せるのは、イケメン近衛騎士のフェリクス。彼は非常に真面目で紳士的なのですが、恋愛に関しては非常に奥手。そしてリルジェシカはリルジェシカで恋に鈍感なため、いい雰囲気になりそうでもなかなか進展してくれません。
お前たち早くくっつけ! けど、このもどかしさがたまらない!
婚約破棄された靴職人令嬢の、糖度たっぷりのラブストーリー。
恋も靴作りもがんばれー!
あるもののサイズがぴったりの様を「シンデレラフィット」と表現します。
また、ある人物が突然の幸運により栄光を掴む話を「シンデレラストーリー」と呼んだりします。
この作品は、ぴったりサイズの靴をなんと自分で作ってしまう「シンデレラ」の物語です。
婚約破棄のシチュエーションから始まる話は数あれど、その不遇な令嬢が『靴職人』であるという物語は今までなかったでしょう。
嫌味な婚約者と縁が切れたのを機に、主人公・リルジェシカは靴職人として身を立て、借金で困窮する家を救う決意をします。
靴作りにかけるリルジェシカの真っ直ぐな情熱は、応援したくなること請け合い。
「貴族なのに下賎なことを」とか「女のくせに」とかいろいろ言われますが、職人の信念と矜持で前に進もうとする彼女が素敵です。
仮にも貴族令嬢である彼女が靴職人を志した理由にも、胸を打たれました。
そんなリルジェシカなので、色恋にはとんと鈍感。
彼女に密かな想いを寄せる誠実な騎士・フェリクスの、なかなか気持ちが通じずやきもきする様子に、これまた応援したくなります。
じれったい恋のドキドキも挟みつつ、自分の力で前へと進む女性のストーリーでもあり、普段恋愛ものを読まない方にもおすすめしたい作品です!
私そういえば婚約破棄ものってあんまり読んだことないなぁって思うんですよ。なんていうか、正統派のやつっていうんですかね。破棄されたヒロイン視点でお話が進んでいって、婚約破棄されたけど、見返してやるぜ!ていうか、もっといい男捕まえたぜ、ザマァ!みたいな。こんな感じでしょうか。さっぱりわかりません。
そんな予備知識ほぼ0の状態でですね、「さぁーて今年の綾束御大(砂糖盛り盛りラブコメの神)のカクヨムコン新作は何かな?」ってワクワクしてたら、これですよ。
靴職人?!
令嬢が、靴職人とな?!
しかも婚約破棄ものじゃん!
いや、でも、靴職人!?
もうね、『靴職人』の三文字が強くて。一旦『婚約破棄』って言葉が霞んで。
綾束さん、どんな引き出し持ってんだ!って。
さすが普通の婚約破棄ものは書かねぇか、ってごくりと喉を鳴らしましたね。
可愛い。
もうヒロインが安定の可愛さ。
安定の鈍感ヒロインでね。鈍感だけど、純粋でまっすぐでね。
そんでもちろん彼女に想いを寄せる男性の気持ちに全然気付かねぇ!最高!!ヒューッ!(そういう癖です)
借金返済のため&とにかく靴作りが好きすぎるヒロインのリルジェシカちゃんを応援したい気持ちももちろんあるんですけど、そんなリルジェシカちゃんに思いを寄せるフェリクス様にもね、もうマジでエールを贈りたい!あきらめないで!いつかきっと気付くから、この子!大丈夫、これ、綾束作品だから!めげずに頑張れフェリクス様!
作品の楽しみ方は人それぞれですんでね。
もう単純にストーリー丸ごと楽しむもよし、キャラのじれじれもだもだを楽しむもよし、クソむかつくアイツら(たくさんいます)の不幸を願うもよし!ちなみに私は全部ですけど。
リルジェシカは靴づくりで実家の借金を返済しようと努力する男爵家の令嬢。
ひょんなことから王女殿下に靴を献上したことにより、彼女の作る靴は評価されるのですが……。
もともと歴史ものも得意とされている作者様なので読んでいて「へぇ」と思うことも多々あるのですが……。
しかし靴を作るために革を扱ったら「死んだ動物の皮を扱うなど不浄!」と言われるとは……。なんとも言えない気持ちになりますね。
ですが彼女は靴つくりへの情熱を失いません。
より良い靴を! という思いが強いため、自分に好意を寄せている近衛騎士の気持ちにはちょっと鈍感なようで……。
主人公の成長や、くすぐったくなるような恋愛模様も楽しめる物語でもあります。
こちら、カクヨムコン期間内に完結するようなので一気読みするもよし、連載を追うもよし。
ぜひ楽しんでください!
主人公リルジェンカ、かわいいんです。そして、なんと貴族の娘なのに、靴造りが大好き。
実家が借金持ちの貧乏男爵家なので、家計を助けるためと健気です。
靴造りは不浄の革製品を扱うため、下品な仕事と思われています。そのため婚約破棄されますが、そこは天然お嬢様。いやな男だからと喜んでる、その様が愛おしい。
その上、彼女のつくる靴は極上品。王室御用達になりそうな勢いです。
さあ、読んでください。
きますよ! ここにいい男が。最高の男が。
かっこいい近衛騎士フェリクスが。
態度も容姿もイケメンです。読んでいて、リルジェンカに嫉妬するほど、いい男。
さあ、作者さまのお得意のジレジレ糖度200パーセントの作品を、お読みください。
ヒロインのリルジェシカちゃんは、男爵家の令嬢なのですが、そのおうちはとても貧乏。でも、両親からの愛情をたっぷり受けていて、天然だけどとってもいい子です。
王女様の近衛兵のフェリクス様は、そんなリルジェシカちゃんに密かに恋心を抱いています。密かって言っても、周囲には駄々洩れですけど……。
リルジェシカちゃんは、男爵家令嬢ながら靴職人をしている珍しい子なのですが、その理由とかももういい子過ぎておばちゃんは泣けて来ちゃう。
ひたむきで健気で、頑張り屋さんで。
ああ、こんな子今すぐギューってしたくなるよね!? フェリクス様!?
しかし、すぐには相思相愛にさせない、溺愛だけどじれじれなのが綾束乙様の世界です。
毎回キャーキャー言いながら読んでおりますが、「あぁ、もう早くチューしちゃって!」とかせっかちなおばさんは思うわけです。
でも、そのじれじれですら楽しませてくれて、幸せな気分に浸らせてくれる綾束様ワールドは素晴らしいと思います。
恋のライバルや仕事のライバルも出てきますし、この糖分たっぷりのお話がどうなっていくのか楽しみです♬