タイトルのない詩(うた)
電線が写らない広い空を
いつも見たいと思う
少し遠出して見た広い空
なぜか淋しくせつない恋を思い出した
こんなに広い空なのに
そう、広い空だから
一人ぼっちの自分に気づくことになる
5年前と変わらない風景
あの時も淋しく空を見てたっけ
バスの発車時刻まで何をしよう
野の花を摘んで帰ろう
帰宅する頃にはしぼんでしまうから
テッシュペーバーを水に浸して
コンビニの袋に入れた
清掃の人が聞いた
「これ何ていう花?」
わからないのですけれど小判草かもと答えた
そう、家で待つ猫へのお土産
ここに来た5年前には
産まれていない猫が
私の帰りを待っていることだろう
だから私は今日も生きている
待っていてくれる人はいないけれど
小さな体で慕ってくれる猫
君がいるから生きている
いえ、生きなければいけないと
こんな広い空は
私と小さな猫にとっては必要ない
猫と見上げるベランダの
窓から見える小さな空で十分だ
それがわかった広い空
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