タイトルのない詩(うた)
突然のアキレス腱断裂!
クリニックの仕事を半日で早退してスポーツ会に参加した。
その日はどうしても役回りのために参加が必要だった。
バスケットを1時間半やり、何だか疲れたなと思った。
次に大縄跳びがあった。
楽しく跳んでいたが「あと一周で終わりにしましょう」と言うことだった。
突然バットで殴られたような感じがするとそのまま立つ事が出来ずに、その場に座りこんだ。
会に出席していた方が車までおんぶして運んでくれた。右足は大丈夫だったので運転して1番近い病院へ行った。
その時には痛みがひどく、熱も出て来ていた。
母が来てくれた。
病院の医師は「ここは胃腸科外科
なので、どこかの病院を探しますので」と。
2つの病院のうち受け入れ可能の1つの病院を紹介してもらい、受診した。大変流行っている病院で院長先生が診察して足の先だけ出し、膝の上までギブスをした。
温かくてすごく楽になった。
元の病院に帰り1ヶ月したらギブスを外してリハビリをして下さいとの指示だった。院長先生の顔は蒼白で「必ず歩けるようになるからね」と。
なぜそんなに顔が蒼白なんですか~
1ヶ月を待ち、ギブスを外してもらったが全く歩けない。
勤務していたクリニックの医師から電話があり事情を話すと「大きな病院を紹介するから行っておいで」と…。
もう病院選びで失敗をしたくないと2つの大きな病院を受診した。
どちらも元のアキレス腱は固まってしまって繋ぐことは出来ないので35cm切って1番かたい筋膜を途中でクロスさせ足首につないで腱を作り直す手術が必要との事だった。
手術の2日前に入院した。
最後まで主治医は「なんですぐ手術をしなかったのかな」とつぶやいた。
そんな事を私に言われたって知りませんから~!
私は全身麻酔がだめな体質なのは盲腸の手術の時にわかっていたので下半身麻酔でお願いした。
黄金の腕と自衛隊の患者さん に言われる主治医、手術中は無言だった。ただ意識がある私は側で見ている看護師さんがウワッ気持ち悪いという表情が見てとれた。
無言だった主治医が手術直後に若手の研修医に「この手術が今の最善だ」と言った。
それから3ヶ月間、足の先だけ出して膝の下までギブスをして入院した。「先生、そろそろ退院させてもらえないでしょうか?」「いや、まだもう少し入院だけど」と言う返事。
なんなんですか~!3ヶ月間の入院で、もう限界だった。
医師は退院したいと言う私にようやくギブスを外してくれた。
松葉杖をついての退院だった。
手術室にいて顔をそむけていた看護師さんの1人は知り合いで、ギブスを外して歩く私に「歩けるようになるかな」と嫌味ではなく心配して言ってくれた。
確かに足が短くなっている。
家に戻ると勤務先の先生から「〇〇くん、そろそろ出て来てくれないかな」と電話があった。
ナースシューズを履くことも、後ろから人が歩いて来るだけでも怖かった。
「そうか、いつまでも待っているからね」と先生は言った。
それから何をしたら社会復帰出来るかなと考えて掃除の仕事が出来ればと思った。もちろん大きなリハビリ病院で筋力トレーニングに通院しながらだったが、たまたま母に知り合いの清掃の商売をしている人がいて紹介してもらい勤めることになった。
1年半掃除の仕事をした。
大きな建設会社の掃除だった。トイレだけで10数個、掃除機は重く夏は汗が吹き出す「あなた日本語、話せますか?」とある日その会社のお偉いさんから話しかけられた。
なんなんですか~!と思いながら黙っていた。
事務所にいる人たちは汗1つかいていない…まあ当たり前ですよね。
そんな経験は掃除の方々のたいへんさを知る事となりリハビリになっていた。誰も私が足が悪い事にも気がつかないほどになった。
リハビリに通院している医師は「普通に見えるから余計に大変だな」と
言った。
確かにジャンプは出来ない・とっさの事があるともともとのアキレス腱ではないためか脳と繋がっていないからか反応が出来ない・かたい安物の靴やハイヒールなんて論外だった。
まあ、そんなわけで特殊な日々を過ごさなければいけない、このまま付き合っていかなければならない。
なんなんですか~!
で終わろうと思う。
タイトルのない詩(うた) あおい 空 @sora117
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます