タイトルのない詩(うた)

おばあちゃんが言ってた

「とてもとても美しい男の子だった」

母の次に生まれた男の子は

産まれて何日かでお星さまになった

おばあちゃんが誰かと

話しているのを聞いた

美しい男の子

私にすれば叔父さんにあたる

だから顔も見たことはない

おばあちゃんが言ったことを

覚えているだけだけど


その言葉を思い出した事があった

伯父さんと墓参に付いて行った

お墓に刻まれた名前を見て

この子が本当は長男なんだと

誰かに話していた時

義伯母さんが言った

「きれいで美しい赤ん坊だった」と


子供の頃の私の耳に残った

おばあちゃんと義伯母さんが

言った言葉はどちらも同じだ

そして私が産まれる

ずっと昔に赤ん坊の時に

お星さまになった

叔父さんと従兄はどちらも

「それはそれは美しい子だった」と


私は聞いただけで

見たこともない赤ちゃん

大人になった時に誰かが言った

「そんな子はすごくきれいだったと母親は言うんだよね」と


それを聞いた時に

お星さまになった美しい赤ん坊を

見たように想像していた私は

心の中で

『いえ、お星さまになった赤ん坊は思い違いではなく本当に輝くほど美しかったに違いない』と


二人の母親である

おばあちゃんと義伯母の言葉

「美しい子だった」

写真もないほど産まれてすぐに

お星さまになった赤ん坊

私は心の中でいつも思う

『きっと本当にきれいだったよね』と

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