タイトルのない詩(うた)

小さな小さな猫を拾った

彼女は可愛くてお茶目で

遊ぶのってこんなに楽しいんだよって

そして同居人 大好き大好き大好きって

毎日伝えてくれた


そして1年が過ぎた頃

寝ている顔を見て

誰かに似ていると思うようになった

そして幼い頃よりも

一緒にいたいを示すようになった

仕事に行っているから

夜と休日は近くのスーパーしか

行かなくなった

あっ寝ている!今のうちに買い物へ

少し出掛けても扉を開けると

玄関で待っている君

寝てたのに何で?


その頃に思った

お母さんに何だか顔つきも似ている


小さな小さな猫を拾った日は

病気で入院していた母を

付き添いの兄に任せて帰った日だ

それは夜の10時

じゃあ帰るからと言うと

何か言いたそうにウウウと言った

モルヒネの点滴で意識はなかったのに


そして明け方、兄から電話があった

必死で病院まで車を走らせた

まだ手が温かかったけれど

息はなかった

「もう少しここにいて、行かないで

もうすぐ逝くんだから」

ウウウの意味がわかった瞬間だった


最後に一緒にいた日付と

小さな小さな猫を拾った日が

同じだった


さみしさの限界だった時に

小さな小さな猫を拾ったこと

いつも私と一緒にいたいを伝えること


「お母さん、私といたかったんだね」

小さな猫は貴女の思い

「ずっと愛してる」

小さな猫はそうお母さん 貴女の思い





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る