タイトルのない詩(うた)
君は笑うだろうな
僕が恋をしてしまったなんて
君と別れて何年経つだろう
君から別れを告げられた時
僕は君を追いかけなかった
人の心は変えられないからね
それは淋しかったよ 正直に言うとね
暑い夏の日が過ぎ
季節は秋へと向かっていた
僕はいつものようにバーボン片手に
本を読んでいた
裏庭から母親とはぐれたのだろうか
子猫の鳴き声が聞こえてきた
初めはね 僕は気にとめなかった
君も知っているとおり
僕は動物が苦手だからね
しかし毎晩こうも鳴かれると
僕も根負けしたよ
飲んでいるバーボンを机に置き
本を閉じると 外に出たんだ
それはそれは小さくて
僕の手のひらに収まる子猫だった
女の子だよ 君と同じね
仕方なく家に連れて帰ったよ
どれだけ知らん顔しても
目を輝かせて僕のあとに付いてくる
君は笑うだろうな
まだ一人でいるには若すぎると
素敵な女の子を見つけなさいと
でもね 僕は彼女に恋をしているというよりも
愛してしまったんだ
動物嫌いの僕が
完全に彼女の虜になったんだ
もうバーボンはいらないな
この子はバーボンの匂いが嫌いなんだから
笑ってくれよ 僕は彼女を愛してる
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます