タイトルのない詩(うた)

あふれ出す 言葉の流れに

堰をきったような 言葉の流れに

困った顔で作り笑いをしていることを

誰も気づくことはない


幾度となく困った作り笑いを見てきた

その表情が意味することを

誰がわかることだろう

ごめんね 本当にごめんね


いつもと同じ場所に置かないと

持って行かない500円玉

いつも同じ道を通る こだわりに

誰も気づくことはない


頭の中のアンテナは

直通で伝えることができない

言葉という電波

アンテナからアンテナへ

回して回して

ようやく一つの言葉が届く

そんな目に見えない作業を

誰がわかることだろう

ごめんね 本当にごめんね


いつの日か…

皆と同じ数のアンテナが立つ時に

どんなに早い言葉の波も

楽勝に乗り切れる

回路を回す訓練された力は

何にも負けることはない

ごめんね 本当にごめんね

ゆっくり話す訓練をいつも

忘れそうになる

ごめんね 本当にごめんね


マッチ売りの少女のお話し

靴を履いていないから冷たいだろう

現実的な答えだ

仕事が嫌になった時の自分に言う言葉

生きて行くためだろう

まっすぐな答えだ

一緒にディズニーランドに行きたいと

小さな女の子が言っていた

本当に一緒に行きたいと言っているのか

人の気持ちを優先する答えだ


いつの日か…

厚い雲に覆われた空が

晴れ渡るように

頭のアンテナが立つときは

苦しい回路はもういらない

何にだって負けることはない

ごめんね 本当にごめんね


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