タイトルのない詩(うた)

草原で待っていて いつものだよ

一緒に行くことになっていたはず

用事ができたと冷たく言い放った

何?と聞く隙も与えずに


うる覚えの草原までの道

人混みに押されながら 電車に乗り

窓を流れる景色をただ見ていた


地図を片手に 駅のホームに降り立った

夏はまだだというのに やけに暑くて


木立に囲まれた細い一本道の先に見えた草原

首筋をつたう汗が体に流れて

シャツは背中に張りついた


いつくるの?と問いながら

クローバーに戯れる蝶に誘われるまま

花の冠を編み

四つ葉のクローバーを探す


何時間経ったのだろう

陽は傾き 吹く風の冷たさに

思わず身震いした時


いつものように 私の名前を呼ぶ

貴方が立っていた

遅くなったね少し歩こうと

つないだ手は氷のように冷たかった

一緒に歩ける幸せが全身に広がる


夕陽がやけに眩しくて目を閉じた瞬間

つないでいた手の感触が消えた

夕陽を見ながら 溢れる涙が頬をつたった









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