タイトルのない詩(うた)
まだ若いよ 若すぎる
幼い頃に父を亡くし
今度は母まで
働いて 働いて いつも疲れて
帰宅して台所に立つ母の
後ろ姿が 背中が
疲れたと言わない母の
疲労と苦労を物語っていた
いつも夏休みは さみしくて
帰宅して台所に立つ母が
心配で台所にいた
だから料理は習ったのではなく
見て覚えた ただ側にいて
体調がすぐれない様子が
三ヶ月続いたある日
近くの病院で検査をして
そのまま大きな病院へ入院した
病名はリンパ腫だった
血液の癌だ
細くて小さな体に
抗がん剤は強すぎて
血液中の酸素がどんどん失われていく
モルヒネで苦しさを抑える日が訪れる
病気がわかって1年あまり
呼吸が出来ない発作が起きる
ちょうど到着した病室で
大丈夫と手を握ると
うそのように発作がおさまった
点滴でモルヒネを流しっぱなしの時が 訪れる
何度も入るすぐ来て下さいの連絡に
手を握り 起きない母に目覚めてほしくて
生まれてから言ったこともない言葉をかけた
お母さん ご飯作って
そう言えば起きてくれるような気がして
闘病中もいつも愛を示してくれた
お前髪伸びたね 美容院にいかないと
足元空いてるから横になりなさい
お前の寝姿見ていた 親って不思議なもんやね
たくさんの愛をありがとう
私はだからみんなに愛を示せる
怒られた記憶はないけれど
いつも背中で教えてくれた
もし起きたら ご飯作ってね
きっとそう言おう
甘えて言ってみたいから
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