第四章 心に最後に残るモノ 5
「いっそ死にたい……」
穴があったら入りたい、とはこういうときのための言葉だろうか。
あのあと、とりあえず落ち着くために
本当なら飲み物のひとつでも差し入れしたいところだけど、今の彼女は自分で
「いや、だれだって
「そんなの無理に決まってるじゃない!
彼女は両手で顔を
「で、でもでもでもでも! あれはきぃくんも
おっと、責任
急に
泣いていたせいで目まで赤くなっているし、明らかに
「別に仲良くはないけどね……、さっきも説明したけど、くっついていたのは
僕が
さっきからこの調子だ。すっかり意気
何に対して
本当にどうなることかと思ったけど、丸く収まってよかった。いや、丸く収まったどころじゃない。雨降って地固まるというか。お
「……うん、悪いことばかりじゃなかった」
「本心を伝えることって大事なんだなって。
子供の
今の
もう少しで
「うん……」
「本当のことを言うとね、実はずっと
「────」
約束。
それはきっと、
それはどんなに
「まぁ、そうね。わたしもきぃくんに対して、ちゃんといっしょにいてって言うべきだったのよね、子供の
たはは、と照れくさそうに
「いや本当にその通りだよ。
「えっ……」
でも、今回はなぜか
目は
……どうしたんだろうか。いつもの
「……ね、きぃくん」
「うん?」
「もう、どこへも行かないのよね。いっしょに、いてくれるんだよね。わたしがいてほしい、って言えば」
そんなことを彼女は言う。確認のためなのか、何か不安になることがあったのか、か細い声でそう言った。どういう意図なのかはわからない。顔が見えないので、彼女がどんな表情で言っているのかもわからない。でも、答えは決まっている。
「もちろん」
──ふたりの男女が心を
──ともに行き ともに
──昔の
──それは思い出にすべきことではない──
──心残りがある限り 決して前には進めないのだから──
そのときである。
暗かった公園に、
公園の
光だけではない。
あれは青春ミッションをクリアしたとき、〝青春ミッションボード〟から生まれたものと同じだ。しかし、なぜこのタイミングで現れるのか。
その疑問に答えるように、光と風の中心には
開かれたページから
やがて、七色の光と強い風は
彼女はその場に
「ミッション、完了です」
「え……?」
彼女の言葉に、
「
「そもそも、どんなミッションかもわかってないんだけど……」
「いえ、見事な青春でした」
そう短く言う。あとに続く言葉はない。この話はこれっきりだ、と言わんばかりだ。いやまぁ、クリアでいいならクリアの方がいいんだけど……。
「……なんだか、
「本当に」
「クリアだと言っているのに、
すると、閉じたそばから本がはらはらと
彼女が〝青春ミッションボード〟を不思議な力で出したりしまったりするところは何度か
そして、どうやらそれは
「おめでとうございます。青春ミッションはすべて完了
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