第一章 玉砕は始まりを連れて 2
「この学校の七不思議ぃ?」
『学校の七不思議』なんていう久しぶりに聞いたその言葉には、安っぽいだとか
しかし、どうやら相手はそう思っていないらしい。
「そうそう。校舎裏に
後ろの席の
ぼさぼさの長い
くりくりとした大きな
スポーツをすれば小さな身体で
大人しくしていれば声や見た目は
彼女の名前は
基本的に男女ともに友達が多い彼女ではあるが、席が
大きな
「高校でも七不思議ってあるんだなぁって思ってよ。おれのとこにも小学校まではあったけどさ。
「七不思議ねぇ……、そういえば中学にはあったかも。夜中に一段増える階段とか、女子トイレの
「最後のはお前、ただの変質者じゃねぇか」
そう言ってつばさはげらげら笑う。彼女なら変質者に
「まぁおれはそういうホラーが苦手だからよ、今度から桜の木には近付かないことにした。
「そうは言っても、
「夜中に忘れ物を取りに行くかもしれねぇじゃん」
「いや、やめなよ危ないから……」
ちなみに今は昼休みではない。教室内は
「うわぁ、これめっちゃかわいい!」
複数の女子の中心、雑誌が開かれた席に座っている彼女。彼女はひまわりのように笑っていた。
そこにいるのは、
「これかわいいよねぇ。こういうの欲しいなぁ」
「駅前のアウトレットにこれに似たやつ売ってたわよ。今度いっしょに行く?」
「あ、ほんと? 行きたい行きたい! あーでも、これわたしに似合うかなぁ……」
「
雑誌をぺらぺらめくりながら、
「あ、あった。これとか
「んん……、確かにいいなーって思うけど……、
彼女は残念そうにしながら、
しかし、周りの女子は慣れたもので、
「
「同じ人種じゃない、と思うくらいでちょうどいい」
「
とさらりと言っている。当の本人も
「そうそう。わたしは世界一かわいいから。世界で一番だから。わたしの方が
そんなことを言う始末。
それと同時だ。その冷たい声が届いたのは。
「──何が世界一かわいい、だよ。ブース」
教室の中をぴりっとした空気が
声の主はわかる。同じ
彼女たちはにやにやとした笑みを張り付けていた。
実際に口に出したのは、おそらく
その
目つきが
意地悪そうな印象を与えるけれど、確かに彼女は美人だ。
それが
……何とも
「──だれだ、今ブスって言ったのはッ!」
……ただまぁ、
静まり返った教室に、彼女の
「今、言ったでしょう。わたしのことをブスだと言ったでしょう」
「あぁ言ったね。何が世界一かわいいだよ、バカじゃないの? 調子に乗ってんじゃねぇよ、鏡見ろやブース」
「ど、こ、が、ブスだ! 鏡なんて毎日見てるっつーの! どこをどう見てもこれ以上ないほどの
声を張り上げていたと思うと、
暴力
「
「はぁー!? ブスじゃないですー、たとえブスだとしても世界一かわいいブスですー!」
などと
なんだろうこれは。
まぁこれもすぐに終わるだろう……、と思っていたら、やはりすぐに収まった。
案の定、「な、なんだよ」と
「……あなた、前の学校では自分が一番かわいいと思っていたクチ?」
「は?」
完全に
「いや、わたしに
「……っ」
どうやら図星だったらしい。
しかし、それさえも聞こえていないように、
「もちろん、わたしほどではないんだけど……、確かにあなた、かわいいわね」
「──は?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます