第四章 心に最後に残るモノ 2
「
休み時間の合間、
おそらくトイレにでも行くんだろう。トイレ前に話しかけるのは心苦しいけれど、彼女はなかなかひとりにならないので、仕方なかった。
後ろから追いかけて、彼女の
目を
「ええと……、ここじゃ話しづらいから、放課後とかダメかな」
彼女はすぐには
「わたし今日
「それでもいいよ。待ってる」
遠回しに断られているのはわかったけれど、話すなら今日じゃないとダメだ。それも直接話したかった。待てと言うのなら待とう。
「………………」
待つと言った
それが何かを
……
世間話でもいいから、口を開きたい。必死で話題を探していると、昨日の光景が頭にふっと
あのとき、彼女に似た人を見た。
「そういえば
「え」
「そっか。いや、一昨日ね……」
「し、知らないったら知らなーい! 何のことやら! それじゃ、わたしちょっとお花を
彼女は強引に話を打ち切ってしまうと、さっさか
どうやら、一昨日の人は
で、放課後。
彼女と約束を取り付けた……、と思うので、
教室からはすっかり
教室に残っているのも、今では
さっきまで
話しかけるような
気が付けば、窓の外は
「……まだ、待ってたんだ」
しばらく経ってから、
「
「わたしのことはお気になさらず」
そう言って、
「青春ミッションに関すること?」
「そう。結局、ミッションの内容も
「…………」
彼女は
「……どうしたの、
「べっつにぃ。悪くなんか、ないでっすけっどぉ」
ぶー、とでも聞こえそうなくらい、
何なのだろう。ここまで
妹はいつもこんな感じだけど、
「青春ミッションに関することよね。結局、休みのときに遊びに行ったのはハズレだったみたいだし、改めて
彼女の言葉に
「そう。ミッションをやろうにも、そのミッション内容の見当がついていないんだから、まずそこから。で、
「そう言われても、難しいのよね」
こうなってくると、ミッションに
「ねぇ、
「なに?」
「
「────」
彼女の動きがぴたりと止まる。しばらくその体勢のままで固まり、顔をゆっくりと
空気が急速的に重苦しいものへと変わっていくのが感じ取れた。
「──どうして」
ようやく
校舎の外では部活をやっているだろうし、校舎内にも人は残っているはずなのに、この教室にはほかの音が聞こえてはこなかった。
重くなっていく空気に
「今朝のことを考えたらわかるでしょう。
今朝の
「ミッションがわかれば教えてくれればいいし、内容
彼女は聞いているのかいないのか、表情を変えないまま動かなかった。目を
「……わたしとそういうふうに誤解されたら、困るんだ」
「え。いや。困るのは
「なんでわたしが困るのよ」
けれど、これは別物に感じた。
なぜ、だろうか。
そんな表情を見たことがなかった
けれどそれが、トドメになった。
「いや、だって。
「もういいッ!」
突然声を張り上げて、
静かだった教室の中に、
「正直に言えばいいじゃない! そんなわざとらしい言葉を重ねたりしないで! わたしと恋人だって誤解されて困るのは、あなたの方でしょう!?」
「な、なにを……」
思い切り声を
彼女がどういう意味で言っているのかわからず、
「だって、そうでしょう? あなたには
再び彼女は
彼女、彼女ってなんだ? あれは、
我に返ったようで、彼女は
一歩二歩、と後ずさりながら、「あぁもう……! こんなんじゃバカみたいじゃない……!」と
「あぁ、ようやくわかったわ。わたしにもわかった。こんなふうなんだ。こんなにも苦しいものなんだ。そりゃ
「来ないでよッ!」
足が止まる。見たこともない完全な
「いい。もういい、無理してわたしを手伝って欲しくなんかない! ミッションもわたしがひとりでやるんだから、あなたはもう関わらないでッ!」
彼女はそう
なんで。
なんでこうなるんだろう。
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