第四章 心に最後に残るモノ
第四章 心に最後に残るモノ 1
※
中学に上がったばかりの
もちろん
ある日の放課後、ほかのクラスの男子に声を
「悪いんだけど、
彼は
彼女はモテた。中学生になって、より大人っぽくなって、
もうすっかり、
彼女はクラスメイトとおしゃべりをしていた。みんな、
「あの」
そのグループに声を
そして、すぐにその表情が
──と、思うのは
「
初めて口にするその名前。それを聞いた
「あの人が、用があるから来てくれってさ」
そうして、少しだけ笑う。
「ありがとう、
立ち上がって、教室の外へ向かっていく彼女。伝言を終えた
※
週明けの月曜日。
教室内の空気がいつもと
周りを
何だろう……。
次は「
「どうしたのさ、ふたりとも」
「
つばさのシンプルな一言に、
そこで
きっと
どうしようもない
その視線の中に知り合いが混じっていたのだろう。彼女の
そうなれば、あとは話が大きく転がっていくばかり。
つばさの話に乗るようにしながら、興奮気味に声を重ねていく。
「おいおい
「
「聞いたんだけど、お前ら
「くっそぉ、死ぬほど
中には、本気で
「ちょっと待てって、お前ら。
確かに
これは
あれだけ
「ま、待ってって! 誤解だよ、
「別に
水を差すことができたのか、彼らの勢いは明らかに
「でも最近お前ら、何だか仲が良さそうじゃん」
「そういえば、
「あ、
「でも、そのときも
「というか、そんな両手に花で、しかも片方が
「
先ほどまでの熱はないものの、それでも
これを否定できるというのなら、それは。
「お、
教室の出入り口から
それを見て、すぐに彼女の元へと集まっていく男たち。男だけではない。今度はクラスの女子たちもそこに加わっていた。
「え、なに、どうしたの」
急にクラスメイトに囲まれて、
そして、先ほどの
「あぁ、なに。もしかして、だれか見ていたの?」
参ったな、と彼女は照れくさそうに笑う。ほのかに
──待ってくれ。
心臓が大きく
思った通り、みんな
何人かが
そう、
世界一だ。世界一かわいい女の子だ。そんな彼女が、こんなふうに
自分がどれだけ好かれているのか、その気持ちが
このままではダメだ。許されていい
「そんな誤解されるようなことは言っちゃダメだ。
すると彼女は、
「……なに、その言い方。わたしと
「困るでしょう」
君が。
特別である君が、選ぼうと思えばいくらでも選べる君が、
「……あぁ。やっぱり、そういうことなのね」
「はい、みんな聞いたとおり。わたしと
「え」
彼女の
「前の休みは、
急速に場の空気が元に
実際のところ、こういう話は何度か
今回は新たな火種はあるものの、「
ほかの人には
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます