第三章 デートへ行きましょう 8
しばらく歩いているうちに
最初の方はしおらしく、何度かお礼を
しゅんとしている彼女は結構心臓あたりにクる。
家が近所なので近くまでいっしょに。小さい
「それじゃあ、
「うん。またね、きぃくん。今日は本当にありがとう」
彼女は交差点で立ち止まり、小さく手を
「きぃくーん」
少し歩いたところで、彼女に呼び止められた。
「ひとつ
「なに?」
「きぃくんは、いつもわたしを助けてくれるね。
「────」
その問いに、すぐに答えられなかった。どうして彼女を助けるのか。簡単だ、
でもそれはきっと、
と思っていたのに。
何だろう、これは。この質問は。もしかして、
けれど、ちらちらと
それは、背中にある夕日のせいだろうか。口元に
もし、それが彼女の期待する答えだったら、それはとても幸せなことだろう。
けれど、そうでなかったら。
気持ち悪いと思われないだろうか。いや、思われてしまいそう。
そんなふうに思われたら、死んでしまう。
「……
彼女は目を細めながら、こちらの顔を
「そうなの。ざーんねん」
と、全く残念じゃなさそうに言う。
残念って何が。
「……どう答えるのが正解だったんだろう」
置いていかれた
いろいろあったものの、そこからはいつも通りの休日だった。家に帰ってからお
夕食を終えたあと、リビングでテレビを
「コンビニ行きたいんだけど」
「……行けばいいじゃない」
「夜
コンビニへは行きたいけど、夜道は
ふたりしてサンダルを
近所のコンビニへ行くには公園の前を通らないといけない。ここが危ない。
街灯も人通りも少なく、公園の
……まぁ、それを利用してカップルがイチャついているときもあるんだけど。
公園の前を通り、コンビニへ入っていく。
「おにぃ、アイス食べたい」
「自分で買いなよ……」
そう言いつつも、妹にねだられてしまうと兄としては弱い。
結局、
「おにぃ、一口ちょうだい」
「ん」
アイスを
「
「やだ」
「
やりたい放題か、この妹……。
ふたり並んで歩いていたのだが、公園の前で
「……何か聞こえない?」
「やめてよ。
すると、はっきりと「がさっ」という音とともに
いや、これはちょっと大きすぎる。妹が
「どうも、
「……どうしたの、
「お気になさらず。コンビニへ行く
どうやったらコンビニへ行く道のりで、公園の
生活
「………………」
しかし、
「そちらは、どなたですか?」
彼女の目が
「あぁ、妹。妹の
「……どうも」
このまま立ち去ってもよかったのだが、
「
案の定、
「……そっか。ありがと」
やはり達成には至らず、だ。こうなってくると、いよいよミッションの内容がわからなくなってくる。見当もつかない。ため息が出てしまいそうだ。
これは週明け、また
最初からそこにはだれもいなかったかのように、公園に
「おにぃの友達って、
すると、なぜか
「……いや、歩きにくいから。
「……
「ん?」
その
そこに見知った背中を見た。……気がした。暗くてよくは見えない。けれど、
「
その背中はすぐに見えなくなってしまう。
……いや、多分
ひとりで勝手に
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