第三章 デートへ行きましょう 2
電車待ちの行列に並びながら、「それでねー」と話す
その視線はどれも
「そういえば、
「ぜんぜん意味はわかんなかったけど、心残りを解消して前へ行けってことはわかった」
『ふたりの男女が心を
それは
「
「……んー」
「色々考えてみたんだけど、最近の出来事で心残りっていうと、もしかしてアレかなーっていうのは一個だけあったのよ」
「おお」
「いや、期待しないで。この前ね、
だれかと思えば、クラスメイトの
「最初はふたりきりでショッピングモールとかをだらだらデートする予定だったのよ。でも遊ぶって聞きつけた友達が、何人か集まっちゃって。結局みんなで水族館行っちゃったのよね。もちろん楽しかったし、
なるほど。言わんとしていることはわかる。女の子同士で遊ぶことに対して、
それならば、と
「なら、また改めて
予定が変わったのなら、また立てればいいだけの話だ。
けれど、
「……いや、別にそれでもいいんだけど。改まってまた
心配しなくても今でもかなりマジっぽいけど。
ホームに電車が入ってきたので、ぞろぞろ乗り込んでいく。電車内は混雑していた。座ることもできないので、
がたん、と
「ご、ごめん……」
身体を
取り出したのは破ったノートのメモ。そこには昨日の〝青春ミッションボード〟の文言が書かれている。
再び青春ミッションについて考えていると、同じように
「いやね、心を
さっきの
「わたしってだれかと遊びに行くときは、大人数になりがちだから。それはもちろん楽しいし、わいわいするのも好きなんだけど、たまにはだれかとゆっくり休日を過ごしたかったのかもしれない。ぶらぶらしながら、そのときの気分
その気持ちは何となくわかる。
片方がよりいい、という話ではなく、たまには
ということは、
それならば。
「なら、
「え? いやぁ、どうだろ。それだと、ここだけしか合ってなくない?」
言いながら、
実際あのときは、
「なら、
しかし、出た言葉は引っ込められない。
「……え、えーと。
彼女の固まった顔を見ながら、
「行く! 行きたいっ!」
ぎゅっと服の
「あ、待って待って! 予定帳見るから! 今週空いてたかしら……」
ほころんだ顔で、予定帳を取り出そうとする
どうしたの、と
「……予定帳が見られるようになったら、また言うわね。待ってて」
「うん……」
あまりのテンションの落差に、何も言えなくなってしまう。彼女は前を向いたまま、軽く息を吐いた。
「楽しみだ」
独り言だったのだろう。彼女は視線を落としながら、静かにそう言った。ふにゃっとした笑みはだれかに向けられたわけではない。彼女の手は自然に
「………………」
そんなにも
車両の
けれど、その表情がにわかに
しかし、こんな姿では誤解されるのは仕方がないし、何であれ彼女の
その上で乗せられる、「なんであんな
そう言いたくなるのはわかる。容姿が
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