第三章 デートへ行きましょう
第三章 デートへ行きましょう 1
※
遠くで
彼女はクラスの中心人物だった。人気者だった。それは彼女の周りにいる人たちもそうだ。特別な人たちだけのグループの中で、
だって、何も持っていないから。特別じゃないから。彼女といっしょにはいられないのだ。
「何で
真正面からそう言われたとき、
みんなそう思っていたのだろうか。そんなふうに
なんで、
何もないのに。
彼女と
ぐらぐらと
「あ」
でも、もし。そんな
周りに何を思われても言われても、彼女の
けれど、そうはならなかった。
必要とされなかったのだ。
結局のところ、
※
二つ目のミッションをクリアした翌朝。
いつものように妹に起こしてもらい、
……昨夜、ずぶぬれだった
これらをきちんと説明しようとすると、それはもう気合を入れて熱を持って話さないといけない。最初から最後までしっかりと話したい。だけど、それは長くなりそうなので、今回は
「……うーん。わからん」
新しいミッションの文章は、最初のとテイストが似ていた。しかし、似ているだけだ。似て非なるもの。今回のミッションはあまりにわかりづらく、伝えるつもりがあるのかどうかすら
これならば、二つ目の頭の悪そうな文章の方がマシだとさえ思えた。
ミッションが現れてから、
何か思いついたら、彼女に報告するつもりではいるのだけれど、にらめっこしていてもなかなか
『ふたりの男女が心を
……わからない。
顔を上げる。パジャマ姿の妹が、つまらなさそうにパンをちまちま食べている。リビングのテレビからはニュース番組の音が
「
「……なに」
声を
「
「は?」
何かヒントにならないだろうか。
ミッションの一部を切り取って質問にしてみると、思い切りバカにしたような声が返ってきた。
しかし、
「……そりゃだれだってあるんじゃないの。心残りのひとつやふたつくらい」
「おにぃだってあるでしょ、それくらい」
「……まあね。
あるに決まっている。心残りがない人、
結局、答えは出ないままだ。
すると、制服に
「おにぃ。なんか家の外にえげつない美人がいる」
「えげつない美人?」
そんな知り合いはひとりしかいないけれど。しかし、
「や」
「
彼女は
こんな
確かに家は近所だけれど、
そこで気が付く。彼女は制服に
「あ」
そこにはしっかり〝
「……やっちゃったんだ」
「そういうこと。家から出たあとに、はっくしょん、って」
苦笑いを
「これじゃあわたし、ひとりで電車も乗れないから。悪いんだけど、いっしょに登校してくれない? 定期は持ってるから」
「それはもちろんいいけど……」
願ったり
「
「呼んだら来てはくれたんだけどね。
そう言ってから彼女は、「ごめんね」と照れ笑いを
今回の「自分で何とかしろ」という発言といい、以前の「あまり外では自分に
「あぁ、家の中じゃ
出てきてくれた、というのは言葉通りのことなんだろう。
「ドアを開けてもらって、もう
「……
〝
しかし、想像すると自分の中で、こう、なんというか、もやもやとしたものが。いや、これはムラムラか?
……うん。
……こんなことを考えていると、また
「
「いや、一度も使ったことないんだけどね」
「………………」
「
幸せそうな顔で彼女は語る。本当に
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