第一章 玉砕は始まりを連れて 5
「どうしたのぉ、ふたりともー」
そんな第三者の声が届き、「うわぁ!」「ひぃ!」と同時に
その人は校舎の中にいた。窓を開けて、そこから
ふわふわとした
大人しい服装が多い人で、今日は白のワンピースに
彼女は首をこて、と
「それで
言われてみればその通りで、確かにこんな場所にいるのは変だ。先生が声を
「あぁええと、ゴミ捨ての帰りなんです。
「そういうこと。それはそれは、ごくろうさま」
ふわりと笑って、もも先生は
「あれ、
一言も発しないで地面を見つめていた
まだ落ち着いていない彼女は、「あぁえっと、その」としどろもどろになってしまう。
……そこで気が付く。
「あ、あの、これは……その……」
「………………」
もも先生は
ぐるぐるとかきまわされた頭の中では、何も
しかし、予想外にも彼女はふふ、と笑みを
「
「あ、はい。世界一です」
明らかに反射で答える
「………………」
「
「うん……、明らかにおかしい。そんなマークを付けていて、何も言わないなんて変だ。ということは……」
「見えて、いない……?」
バカげていると思うだろうか。しかし、
「えぇ、その通りです。そのマークは、無関係の人には見ることができません」
そして、それはどうやらもうひとつ増えるようだ。
突然
声の主は少女だった。
何より目を引くのが、陽の光を反射してきらきらと光る長い
三つ編みであれほどなのだから、ほどいてしまったらどれほどの長さになるのだろうか。
その銀色の
眠たげな
けれど、こんな容姿の人が学校にいれば、だれもが
おかしな見た目の彼女は、なぜか桜の木の枝にぶらさがり、地に足を着けないまま口を開いていた。足と三つ編みが
「あ、あなたは……?」
「わたしも〝青春の
……
「
彼女は
「さっきから
「はい。
彼女はそう言いながら、地面に落ちていた石を拾い上げた。それを
……何度見ても背筋が寒くなる光景だ。
実際に体験している
「あなたはこのように、物に
「
ゴミ箱にも、自分のポケットに入っていた物にも、
ぞっとした。
彼女はこれから、どうやって生きていけばいいのだろうか。何にも
それは
「ちょ、ちょっと待ってよ。そんなの、そんなの困る、よ。物に
不安と絶望が入り混じった声が
しかし、彼女はそれに加えてさらに追い打ちをかけてきた。
「いえ。それだけでは済みません。このまま放っておけば、
静かに、彼女はそのようなことを
背筋に寒いものが走る。
「……え」
たった
「……え?」
突然の出来事に、
「や、
思わず、彼女の名を呼ぶ。しかし、当然のように返事はない。彼女の姿はどこにもない。
「……彼女に、何をした?」
「一度、
物にも人にも
そんな
「や、
「一分後には。それで十分、彼女もわかるはずですから」
……軽い感じで言ってくれる。それが本当だとするならば、今
しかし、
そして一分後。ドサッという音とともに、
「
彼女は返事をしなかった。その表情にぎょっとする。真っ青な顔で歯を鳴らし、
たった一分間、たった六十秒でこんなことになるなんて、一体どんなものを見せられたというのだろう。
「……あ、あぁ
「空に投げ出されて、わたしそのまま……。あぁ、よかった。
どんなものを見せられたのか想像もできないけれど、
「………………」
ただ立っているだけなのに、彼女からは
それを見て、なぜだか
「そこまで
「いや無理でしょ」
すぐさま言い返す。どの口が言うんだ。敵も敵、これ以上ないほどの悪役っぷりじゃないか。
しかし、彼女は
「先ほど
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