第一章 玉砕は始まりを連れて 6
「……それ、本当?」
少しだけ顔色が
しかし、
「確かにわたしは
人々の悪意が
彼女は桜の木に指を差す。
「
わたしはそれを求めるために、ここにいるんです。あなたを救うためにここへ来た」
彼女は胸に手を当てて言う。声に熱はないし、顔も無表情のままだ。しかし、その言葉には力を感じた。彼女の言っていることは本当なのではないか。そう信じたくなるような力がある。
「……わかったわ。あなたを信じる。方法を教えて」
「
けれど、信用していいかどうかはわからないだろう。確証がない。やっぱり彼女は
それは
「はい。この
彼女はそれだけ言うと、さっさと
ただ、場所を変えるのは賛成だ。いつまでもこんな
味方とは言ってくれているものの、やはり彼女の存在は異質だ。
流れていく彼女の長い
「……
そんなことを考えていたタイミングだったせいで、声を
「わたし今、ものすごくまずい
「そ、そうだね」
「なのに、あー、ダメだ」
「あの、
「………………」
先ほどの表情から一転、ぱっと顔を明るくさせて、のんきすぎることを
「あの
まぁわたしも
両手を組みながらハートを出し続ける
しかし、しばらくはしゃいだあと、
まさか目が合うとは思っていなかったので、
今度は
「……なんかさ。
小さな声だった。聞こえていないならそれでもいい、というような声量。だけど、
「そうだね。すごく久しぶりだ」
そりゃ事務的な会話くらいはしたこともある。中学でも同じクラスになったことはあるし、小学校でだって。しかし、それらはすべて、あってないようなものだった。かつての
思えば、「
それを彼女は覚えていてくれて、
「あぁ、そうだ。そういえば、名乗っていませんでした」
突然、前を歩く少女が足を止めた。こちらに
「
彼女──
どこをどう見ても日本人に見えない彼女なのに、名前は実に日本らしい。あまりにミスマッチだろう。
「あっと、失礼。名乗るときはフルネームですね。
「名前の自己主張が
反射的に言い返してしまう。いや、だって。
「
「いや、そのとおりだけども。入れすぎなんだって」
少なくとも、動物を二種類入れるのはやりすぎだ。方角に加えて、場所をふたつ入れてしまった
「名前もアレだけどさ」
「
それは
しかし、
「おかしなことを言いますね、
「は?」
もちろん
その中でひとり、校門のそばにしゃがみこんでいる女の子がいた。
こんなところで座り込んでいるつばさに、周りの生徒は
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