第三章 デートへ行きましょう 4
今回は何とかやり過ごせたトイレ
そんなことを考えていると、つい授業も上の空になってしまう。先生の話を聞きながらも、あのミッション内容が
そんな中、ポケットの
『今週の土曜日にどう?』
短いメッセージだった。電車内で話したショッピングモールのことだと、最初はわからなかったくらいだ。今週の土曜日。確か
別にわざわざ授業中に
すると、彼女と目が合ってしまった。彼女はピンクの予定帳を持ち上げながら、にへっと笑った。その
『最初はふたりきりでショッピングモールとかをだらだらデートする予定だったのよ。でも遊ぶって聞きつけた友達が、何人か集まっちゃって。結局みんなで水族館行っちゃったのよね。もちろん楽しかったし、
彼女の声が頭の中で
……やっぱりこれってデートになるんだろうか。
それから土曜日までは生きた
ミッションは土曜日まで実行することができないし、
予定が決まっていくごとに、
結局それは解消されることなく、
『それじゃ、土曜日の十二時に駅前で』
そう言われていたので、
どうせ家が近いのだから、どちらかが家に
服装は迷わないように前日に決めていた。
「女の子とデートへ行くための最適な服装がわからない」と
その結果、シャツにカーディガンを合わせ、下はチノパンという組み合わせに落ち着いた。これくらいでいいらしい。あんまり気合を入れても、相手を引かせてしまうとか何とか。色々
「まぁデートだからってあんまり気合を入れないで、楽しんでこいよ。でも少しは
そう言って、
心臓の音をうるさく感じながら、
土曜日の昼間だからだろうか、
「あ、
彼女は白のストライプシャツを着ており、首元には
いつもは清水のようにまっすぐ流れている
顔には少しだけメイクを
私服。私服だ。
なんて
気の
「晴れてよかったわよねー、
そう言って彼女はにっこり笑う。そして、自然に
しかし、
「さては、わたしのあまりの
「一応、
「ま、わたしがかわいいのは世界の
そう言って
複合
しかし、遊ぶ前に腹ごしらえ。昼食をいっしょに食べることにしているので、まずはご飯だ。もちろんショッピングモール内には様々な飲食店がある。
「
「
「それならわたし、らーめんが食べたい」
また意外なところだ。つばさならともかく、
「いいけど、
「ほら、女の子だけだとらーめん屋なんて
何とも
駅からショッピングモールまでの道のりに、評判のいいらーめん屋さんがあるから、そこへ行くことになった。
それを伝えると、彼女は「三十分くらいなら並びましょ」と列に吸い込まれていく。つばさといっしょだとこうはいかない。彼女はらーめんは好きだが、もっぱらこってり派で、何より列待ちするのが
「わたし、列なら四時間待ったことあるわよ。テレビで
「四時間? それは
「というよりは、あーゆーのって並ぶのも
そう言って笑う。さすがに
「………………」
ただ、横で
あっという間に三十分が過ぎ、運良くテーブル席へ案内される。店内はお客さんでいっぱいだったけれど、いい意味であまりらーめん屋らしくない内装だった。シックで落ち着きがある。外で待っている人もいるので、あまりのんびりはできないが。
「どれがおいしいのかしら」
わくわくとした様子でメニューを
しかし、迷うほどメニューに
その勢いに少し
ふたりがびくっとなっている中、
「ええと、らーめん大盛りで」
「あ、わたしは
「わたしはらーめん大盛りに、あと
……本当にいつの間に、という感じである。さらりと注文に加わったのは、
彼女はいつもと変わらない無表情顔で、いつも通りのセーラー服でそこに座っていた。
「いやぁ、すみません。おいしそうだったもので、つい」
店員さんが行ってから、全く悪びれる様子もなく、言葉だけの謝罪をする
「あ、もちろん、らーめん食べたら帰りますので、ご心配なく」
「……いや、別にいいんだけどね」
いっしょにいたら気を
「でも、
あぁそうか。そういえば、今は青春ミッションを行っている最中だったんだ。デートという言葉にどうしようもなく
「いえ、別にそういうわけでは。わたしはらーめんにつられて出てきただけで、青春ミッションには関係ありません」
彼女は首を
けれど、
そんな話をしている間に、三つのらーめんと
湯気がテーブルの上で混ざりながら
「おー、おいしそう」
どんぶりを
重なる
その
「わ、おいしい」
山吹さんが
「あ、
しばらく
さっきまで外していたはずの眼鏡を、なぜかかけ直して。彼女は
不思議なのは、彼女がその姿勢のまま止まってしまったことだ。
「今わたし、
「出てる。世界新出てる」
思ったことをそのままに口に出してしまう
「それなららーめんより、パスタとかクレープの方が合っているのではないですか」
「いや、かわいい女の子がらーめんを食べている姿がいいんだって」
「あ、でも待って。クレープはちょっとズルい。
「えー……、でもクレープってちょっとあざとすぎない?」
「
そんなことを話しながら、
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