第二章 駆け抜けろ青春、まるで転がり落ちるように 5
いつも通り学校に向かう。最初は通うのに
昨日は不可思議な現象の連続で、今もその
彼女は昨日、無事に過ごせただろうか。
残念ながら電車内に
駅から学校まで徒歩十分。学校まではほぼ一本道で、その間も住宅街がある程度なので、その駅で降りていくのは学生ばかりだ。学校へ向かう道中で、学ランとセーラー服だけだった生徒の中に、ブレザーの学生姿が混ざっていく。行き先は同じ。分かれるのは
県立
ふたつの学校があるので
「……ん」
歩いていると、
日本人
「……おはよう、
「あぁ、
彼女はにこりともせずに、そんなことをすらすらと言う。周りの人も
しかし、彼女があくまで学校の生徒だ、と主張するなら、疑問になることがひとつある。
「
「やめてください、こんな
「……別にすけべではない。それにナンパでもない」
どうやら真面目に答えてくれる気はないらしい。それならそれで仕方ない。ならば今度は
「今朝は
「呼ばれたら行きますけど、呼ばれなかったら行きませんよ。それに昨夜、
……そうか。それならよかった。いくら家にいるといっても、あの状態にされてしまったら
そのまま
ほかの席の位置も、
「おはよう、
そんな声が聞こえてぎょっとした。なんだその不気味な言葉は。と思ったが、あれだ。
「おう、
おはようを返してから、「ついてる」と
「おいおい、
ちょうど通りかかった
つばさに
「あのさ、ふたりとも。ちょっと聞きたいんだけど。
「は?」
「あん?」
つばさはバカにしたような目で、
「わけのわからないことを言うじゃないか、
「いや、えっと……。じゃあ、
「見た目? おれは別に特別だって感じたことはねーけど」
つばさは
「
「昨日わたしが見ていたのは
「えぇ、なにそれこわ……」
ほかのクラスメイトも
「変な
つばさは
「……あ、そうだ。
席を
昼休みに
向かったのは、屋上へ続く階段の
内容が内容だけに、ほかの人に聞かれたら
「ミッションはまだ来ていないの?」
「何でもいいから早く来てほしいものだわ」
小さな弁当箱にぎゅうぎゅうに
「……何そのお弁当。
言われ慣れているのか、彼女はフォークを取り出しながら歌うように言う。
「生野菜。それは健康と美しさの
サラダにフォークを
「〝青春ミッションボード〟のルールについて、昨日説明しきれなかったことがひとつありまして」
焼きそばパンを半分ほど食べたあと、
「『
なにそれ、と
「少しややこしいのですが」
そう前置きをしてから、
「青春ミッションを完了した際、その完了の証明として『
それだけ聞くと、何とも重い話ではあるのだが、いまいち実感しづらい。どんな
「……あれ? じゃあ、
昨日、
いや、本当に
「いえ。昨日のミッションで
「質問。
「例えば、『わたしたち三人がお昼ご飯を食べている』という
彼女はちぎったパンを口の中に放り込むと、新しくパンをちぎり、再び前に差し出す。
「『いつも通りのお昼休みを過ごした』だとか『いつもの友達とお昼ご飯を食べた』とか最も
……なるほど。そんなふうにされてしまえば、
「まぁどうせ
しかしそれは、ただの現実
時間を
〝青春ミッションボード〟。突然現れたそれに対して、
彼女はページを開きながら、「これが新しいミッションです」と
昨日のミッションは苦難ばかりで、とても上手くいったとは言えない。今度はどんな難題をふっかけられるというのか。またあの詩のような言い回しを、読み解かなくてはならないのか。
『夜の学校にこっそり
「文体統一して」
読んだ
「なんでこんなに頭の悪そうな文章なの……。昨日のはちょっと詩みたいな、回りくどい文体だったじゃない」
「わたしに聞かれても知りませんよ」
「まぁちょっとアレな文章だけど……、その代わり、わかりやすくはあるんじゃない?」
ただ、その内容が問題ではあるのだけれど。
「夜の学校に
「できるできないで言ったらできるんだろうけど……、まぁ見つかったら
「
「そうねぇ……、まぁ『かわいいあの子』はわたしでいいとして」
「…………」
さらりと言ってのける。
「じゃあ……、まぁ。とにかく行ってみましょうか。それで
彼女の言葉に
それに、なんだかんだでこの
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