概要
その時の記憶に良かったことはひとつもない。一緒に務めた芦屋清彦との仲もサイアクだ。二度としたくない。
そう思っていたのに、高校生になったある日、また『ハナタカ』を務めることに。
―――『ハナタカ』は、小学生がするのに。
そう不満に思って祭りの打合会に参加した和奏だが。
どうやら。
今年の祭りは、
いつもと違う。
※カクヨムプライベートコンテストvol.01民俗学部門 参加予定作品
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!奉り祀る、祭りの夜。巡り神にて邪を祓う。
カクヨム プライベートコンテストvol.01民俗学部門、大賞受賞作品。
いつもの祭りと、同じだと思っていた……。
その夜、あの声を聴くまでは。
土地には凝るモノがある。
澱み、沈み、地を冷やす。
ヒトと人ならざるモノ、そして、神。
崇め、建て、奉る(あがめたてまつる)。
そうして封じたり、鎮めたりすることもあれば、神を降ろして威光を示すことで伏せさせることもある。
読み進めるうちに二万文字とは思えなくなってくるスケールでありつつ、展開はスピーディで目が離せない。
「うわぁ、ここで、こう迫ってくるのか!」
ドキドキ興奮も、びくびく恐怖も、キュンキュン動悸まで詰まっています。二万文字…続きを読む - ★★★ Excellent!!!今年の祭りは『特別』――彼らに託された『役割』とは?
地元で毎年開催されているけれど、実は何を目的に行われているのかわからない……そんな田舎のお祭り、あなたにも覚えがありませんか?
今作はそういった『よく知らないままひ参加していた祭り』が『何故か普段とは違った形式』で行われることになったところから始まる、和風ホラー。
まず準備段階から物々しい雰囲気が醸し出され、皆が恐れる『得体の知れない何か』への不安がぐっと高まります。
何を守護し、何から守護したのか、はっきり明言されないのですが、そこが逆にリアルで怖い!
崇める存在と忌避される存在。
それらは我々にとっては『生活の邪魔になるかならないか』という些細な違いでしか区別できず、どういった…続きを読む - ★★ Very Good!!お祭りの夜の、怖い神話と、小さな恋(かもね)の話―――
古事記の天孫降臨神話の引用から始まるこのお話。
わずか二万字足らずにフォークロアとホラー、そしてアオハルが詰め込まれたお得感満載の短編です。
短編にたくさんの要素が入っているので、流行りのラノベのように一から十まで懇切丁寧に描写されていません。
だが、あえて言おう!そこが良いと!
これでもか!と詰め込まれた要素と、作者さまが泣く泣く削ったであろう言葉たちが、背景の、世界の想像を掻き立てるのです。
そして煽られた想像力が、読後に余韻を生んでくれるのです。
だから、短編を読むのは病みつきになります。
みなさんも、焚きつけられた想像力に悶えてみませんか? - ★★★ Excellent!!!これは、夜店とか浴衣とかの全く出てこない祭の話
地元の青葉祭で『ハナタカ』なる役をやらされることになった和奏(わかな)。
小学校のときにもやっているから、これは二度目なのだが、はて? この役、高校生でもいいのだろうか?
どうやら、今年の青葉祭は、例年のものとは何かが違うようだが、だれも詳しいことは説明してくれない。???の連続で迎えた祭の夜。それは起きた……。
武州青嵐さんの作品の面白さは、何といってもジャンル不明なところ。
本作も、ラブコメか、伝奇ものか見当もつかない。謎が謎を呼びそうで、呼ばなそうで、ドキドキびくびくしているうちに話が走り出し、あっと気づいたら読み終えてしまう。
おっかなびっくり、慎重に読み進めて…続きを読む - ★★★ Excellent!!!有所正しきお勤めをする二人の高校生。
『ハナタカ』になんてなりたくなかった。
お祭りの日に不慣れな衣装を着て練り歩く、疲れるだけの役割である『ハナタカ』。小学六年生の時にやらされて、もう二度とやらないと思っていたのに。
高校生になった花丸和奏は、何故かまた『ハナタカ』に選ばれていた。原因は神社の息子であり、昔一緒に『ハナタカ』をやった清彦が指名したから。
どうして自分を選んだのか。不満に思いながらも役目を全うしようとする和奏と、どこか態度のおかしな清彦。
そして聞けば今年の祭りはいつもとは違い、特別な意味を持つものだそうで…
有所正しき儀式、『ハナタカ』にまつわる物語。
和奏と清彦が体験した不思議な春の日の出来事。二人の思わず…続きを読む