自身を育ててくれた祖父の言いつけを守り、他者と会うときには顔を隠して生活を送っている桔梗。
普通の農民とは違って、山の民という身分で慎ましい暮らしをしていた桔梗が、とある貴人の世話を申しつけられたところから物語は始まります。
その貴人は、夜叉と呼ばれた罪人。
どんな恐ろしい罪人なのかと、どきどきハラハラしながら読み進めていくのですが……。
桔梗を迎えてくれた貴人は夜叉とは思えぬくらいに温厚でやさしい人であり、まともな飲み水さえ与えられていない状況においても、自らの罪の故と受け入れるほど心の広い人物でした。
そして一方の桔梗にも、自身が知らない秘密があって……??
すこしずつ近づいていく二人の距離と想い、そして絆。
この穏やかな生活をずっと見てみたいと、読めばきっと思うはずです!
山の民として里とは離れて暮らす桔梗。今は亡き祖父の言いつけを守り、人と会う時は素顔を頭巾で隠して生活している。
ある日、村長に罪人の世話をするよう命じられる。その罪人は、元は都で暮らしていた貴人で、今は村で蟄居している状態だというのだが……。
この貴人、戦場での戦いぶりから、夜叉と呼ばれていて、それはそれは恐ろしい噂があるお方。
しかし。実際会ってみると、彼は温厚でやさしく、頭巾で顔を隠している桔梗に対しても、奇妙がることもなく接してくれる。
主に食事の世話を任された桔梗なのだが、罪人とはいえ、相手は貴人。緊張しつつ仕事に取り組もうとするも、信じられない状況が発覚。
用意があると聞いていたのに、ほとんど食べるものがないのだ。これでは準備しようにも出せるもの限られる。それでも工夫して、料理するも、貴人に対して、これはあまりに貧相。
そんな食事でも「うまいうまい!」と食べる夜叉に、桔梗も嬉しくなり、彼が少しでも良い生活ができるようせっせと働いていく。
そして深まる二人の絆!
しかしですよ。相手は罪人なのです。この関係、いつまでも続くわけではなく。
桔梗がなぜ素顔を隠しているのか。
その理由も絡み合い、事態は貴人の友人が訪ねてきたことで急変します。
まず村長一家が、クズです。クズ。
前半はこのクズっぷりに腹を立てつつも、桔梗と貴人で罪人・景親の交流をひっそり覗き見るように楽しむかんじなのですが。
後半。怒涛の展開! 少々血生臭い。だってこの貴人、夜叉だもの!!
というわけで。いったいどんな結末を迎えるのか。
ハラハラしますが、二人の恋路を見守りましょう。
舞台は架空の国、となっておりますが、作者様のあらすじによりますと、イメージとしては鎌倉時代初期から中期なのだそうです。私の勝手なイメージですと、鎌倉時代と言えば、何やら血なまぐさい戦の時代だったりします。全然そんなことないかもですが。歴史のこと、よくわからんのでね。
ただ、私のそのぼんやりイメージが、あながち間違いでもなさそうなのです。
農民と区別されて山の民として暮らしていた桔梗は、少々他の人達と違うところがあり、村人と接する際には頭巾をかぶっています。なぜそんなにも隠すのか?!と思っておりましたが、もちろん、その理由は物語が進むにつれて明らかになるわけですが、そこはまぁ置いときまして。
さて、桔梗は村長からの頼みで、ある罪人の世話を命じられます。
いや、普通に怖いって。
若い娘に罪人の世話させんなよ、村長。
そう私は思うわけですが、要は、そんな役目を押し付けられてしまうような『立場』にある、ってことなんですよね、彼女。
それでですよ。
その罪人も『夜叉』なんて言われてたりするものですから、もうとんでもない極悪非道の化け物みたいな男かと思いきや、って話ですよ。
えっ、ちょっと私の知ってる『夜叉』と違うな……?
恐らく読者の皆さんはそう思ったはず。
えっ、これは自分の知らないタイプの『夜叉』だぞ、と。まぁ、みんながみんな自分なりの『夜叉』を持っているかは別として。
読み進めていくうちに、さすがは鎌倉時代(あくまでもイメージです)という血なまぐさい話になっていきますし、もう一体誰を信じたら良いんだ!この世界に仏はいないのか!と泣き叫びたくなりますが、大丈夫、仏はいます。作者である青嵐さんです。青嵐さんはきっとハッピーエンドにしてくれるはず!なんかもう主要キャラ全員全滅エンドとか、そんなことには絶対ならない!
そう信じて読みましたとも。
大丈夫。
大丈夫です。
あんまりあれこれ言えばネタバレになるから避けますけども、マジでこれだけは言わせてほしい。
大丈夫です。
大丈夫だから、青嵐さんを信じて読んで欲しい。
祖父を亡くし、ひとりぼっちになってしまった少女・桔梗。
農民ではない彼女は、村の者からもつまはじきにされていた。
だがある日、村長がわざわざ桔梗を訪ねてに頼み事をする。
それは、罪を犯して蟄居となった「夜叉」と呼ばれる貴人・景親の世話をしよというもの。
恐ろしい二つ名に不安を覚えながら景親のもとを訪ねた桔梗が出逢ったのは、牢に囚われた美しい貴人で……。
牢の格子越しの桔梗と景親のやりとりにどきどきすることはもちろんですが、桔梗の暮らしぶりなどの丁寧な描写にひたすら感心してました……っ!
こういうディティールをしっかり描かれているからこそ、さらに二人を応援したくなるのだろうな、と……(*´▽`*)
桔梗と景親。本来なら出逢うはずのなかった二人がどんな運命を辿るのか、ぜひその目でお確かめくださいませ~(*´▽`*)
村とは区別された、山の民として暮らす桔梗。
そんな彼女は、訳あって頭から頭巾を被り、村の者には決して顔を見せない生活を送っていました。
村の者は、そんな彼女を自分たちとは違うものとして見下しているのですが、そんな奴らとは関わらなければいいとは言えないのが辛いところ。
生活をしていくには、嫌でも繋がりができてしまうのです。
ある日そんな桔梗のところに村長がやって来て、ある貴人の世話をしてくれないかと言われるのですが、これが彼女の人生のターニングポイント。
とはいえ、ここでいきなりシンデレラになるわけではありません。
その貴人。都で罪を犯したため罪人としてこの地に来たのですが、ただの悪いやつかというとそうではなく、ただならぬ事情を抱えていそう。
ここで桔梗が、あくまで事務的になんの関心もなく淡々と世話をこなしていけば何も起こらなかったのかもしれませんが、それができないのが桔梗の優しさ。
不遇な扱いを受ける彼を放っておけずつい肩入れし、二人の距離は縮まっていくのです。
しかし! それが桔梗にとって幸せになるかというとわからない。
何しろ相手は罪人。それ以外も色々訳あり。そして桔梗にも、本人の知らない秘密があるようで……
運命に翻弄される彼女が、心からやすらぎ笑顔になる日は来るのでしょうか。
鎌倉時代くらいの昔の日本を彷彿させるけど、日本とは違う異世界。
主人公の桔梗は、人に顔を見せるなという祖父の言いつけを守って、頭から頭巾をかぶり、山暮らしをしていた。
しかしそんな奇抜な格好をしていることもあり、近くの村に住む人の桔梗の扱いはひどいもの。
気味が悪いと罵り蔑む、最低な人たちですよ。
しかし、そいつらがある日、桔梗に仕事を頼みます。
それは、都から来た罪人の、お世話をすること。
その罪人の名は、景親。
夜叉という異名を持ち、戦場で活躍をしてきた男。
しかしどんな恐ろしいやつかと思いきや、会ってみれば驚くほど穏やか。
頭巾で顔を隠してる桔梗にも、優しい対応。
お世話をする中、景親に心を許していく桔梗ですけど、彼は罪人。
その上桔梗に隠されたある秘密が、彼女を数奇な運命へと誘います。
どうして祖父は、桔梗に顔を見せるななんて言ったのでしょうね?
胸を締め付ける苦しさの中に、浪漫を感じる和風異世界ファンタジー。
お気に入りのキャラは、夜叉と呼ばれた男、景親です。
優しく、しかし桔梗に仇なす者には容赦しない、力強さにしびれました!